織物
久留米絣
くるめがすり
福岡県久留米地方で生産される綿の絣織物。括り技法による繊細な柄が特徴。
History
歴史
久留米絣は福岡県久留米市を中心に生産される綿織物で、江戸時代後期の1800年頃、井上伝という当時12歳の少女が古着の色落ち模様にヒントを得て考案したとされる。その後、大塚太蔵が絵絣技法を、牛島ノシが小絣技法をそれぞれ発展させ、この三者の功績により久留米絣は飛躍的に発展した。明治・大正期には全国的な人気を博し、年間数百万反を生産する一大産業に成長した。藍染めの深い青と白の対比が美しく、庶民の日常着として広く普及した。1957年に国の重要無形文化財に指定され、日本三大絣のひとつとして高い評価を受け続けている。
Technique
技法
久留米絣は括り技法による防染で模様を生み出す綿織物である。まず図案に基づき経糸・緯糸の括り箇所を精密に計算し、綿糸を荒苧や綿糸で一箇所ずつ固く括って藍甕に浸ける。括った部分は染まらず白く残り、これが絣模様となる。天然藍による浸染を数十回繰り返して深い藍色に染め上げた後、括りを丁寧に解いて整経し、投杼式の手織り機で一反一反丹念に織り上げる。経糸と緯糸の絣を正確に合わせる「絣合わせ」が最も重要かつ高度な工程であり、職人の長年の経験と勘が求められる。約30の工程を経て完成する。
Process
制作工程
全7工程
- 1
図案設計
絣模様の図案を方眼紙に描き起こし、経糸・緯糸それぞれの括り箇所を精密に計算して配置図を作成する
- 2
括り
図案に基づき綿糸の所定の位置を荒苧や綿糸で一箇所ずつ固く括り、染色時に染料が浸透しないよう防染処理を施す
- 3
藍染め
天然藍を発酵させた藍甕に括った糸束を繰り返し浸染し、数十回の浸けと乾燥を重ねて深みのある藍色に染め上げる
- 4
括り解き
染色が完了した糸束から括り糸を一本一本丁寧に解き、防染された白い模様部分を露出させて絣糸を完成させる
- 5
整経
経糸を所定の本数と長さに揃えて整経台に巻き取り、綜絖と筬に通して投杼式の手織り機にかける準備を整える
- 6
絣合わせ
経糸と緯糸の絣模様が正確に重なるよう、一段ごとに緯糸の位置を針先で微調整しながら手織り機で丹念に織り上げる
- 7
仕上げ
織り上がった反物を検反して傷や絣のずれを確認し、湯通しと天日乾燥を行って風合いを整え製品として完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
松尾 義信
伝統工芸士
松尾絣工房
福岡県久留米市に生まれ、十五歳で祖父の工房に弟子入り。五十年以上にわたり括り技法を極め、藍染めの深みと絣模様の精緻さで全国に知られる。国の卓越した技能者として表彰を受け、後進の育成にも力を注いでいる。
制作哲学
藍は生きている。糸一本一本に語りかけるように染め、括りの一つ一つに魂を込めることで、布は初めて命を宿す。
“「絣の美しさは、ずれの中にこそある。完璧を求めながらも、人の手の揺らぎを受け入れる——それが久留米絣の懐の深さです。」
田中 美咲
若手作家
藍織舎みさき
東京藝術大学でテキスタイルデザインを学んだ後、久留米に移住し伝統的な絣技法を習得。現代的な幾何学模様と伝統的な藍染めを融合させた作品で注目を集めている。地元の若者向けワークショップも積極的に開催している。
制作哲学
伝統の技法は変わらない骨格であり、そこに今の感性を吹き込むことで、久留米絣は次の百年へと歩み続ける。
“「古い技法で新しい景色を織る。それが私の挑戦です。」
FAQ
よくある質問
久留米絣とは何ですか?▼
福岡県久留米地方で生産される綿の絣織物。括り技法による繊細な柄が特徴。
久留米絣の産地はどこですか?▼
久留米絣は福岡県で生産されている織物です。
久留米絣の技法・特徴は?▼
久留米絣は括り技法による防染で模様を生み出す綿織物である。まず図案に基づき経糸・緯糸の括り箇所を精密に計算し、綿糸を荒苧や綿糸で一箇所ずつ固く括って藍甕に浸ける。括った部分は染まらず白く残り、これが絣模様となる。天然藍による浸染を数十回繰り返して深い藍色に染め上げた後、括りを丁寧に解いて整経し、投杼式の手織り機で一反一反丹念に織り上げる。経糸と緯糸の絣を正確に合わせる「絣合わせ」が最も重要かつ高度な工程であり、職人の長年の経験と勘が求められる。約30の工程を経て完成する。
久留米絣はどこで購入・体験できますか?▼
福岡県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福岡県の工芸品については福岡県の伝統工芸品一覧もご覧ください。