織物
本場黄八丈
ほんばきはちじょう
東京都八丈島で生産される絹織物。島の植物染料による黄・樺・黒の三色が特徴。
History
歴史
本場黄八丈は東京都八丈島で織られる絹織物で、室町時代末期から租税として幕府に献上されていた記録がある。その鮮やかな黄色は「黄八丈」の名の由来となり、江戸時代には大奥の女性や富裕な町人の間で大いに珍重された。八丈島の温暖で湿潤な気候と豊富な植物資源を活かし、島の女性たちが母から娘へと代々技を伝えてきた。黄、樺(茶)、黒の三色のみを基調とした鮮やかな格子柄や縞柄が特徴で、天然染料ならではの堅牢度の高さで知られ、何十年経っても色褪せしにくい。1977年に国の伝統的工芸品に指定された。孤島で守り続けられてきた染織の伝統は極めて貴重である。
Technique
技法
本場黄八丈は八丈島に自生する三種の植物のみで染色する点が最大の特徴である。黄色はコブナグサ(刈安に似た島の植物)を大量に煮出した汁に糸を浸し、椿の木灰による灰汁で媒染して鮮やかな山吹色に仕上げる。樺色はタブノキ(マダミ)の樹皮を煮出した液で染め、木灰で媒染することで深い茶褐色を得る。黒色はスダジイ(椎の木)の樹皮で染め、泥田に漬けて鉄分と反応させて発色させる。いずれも数十回の浸染と媒染を根気よく繰り返し、堅牢で美しい色に仕上げる。染め上がった絹糸を高機にかけ、格子や縞の模様に手織りする。
Process
制作工程
全7工程
- 1
染料採取
八丈島に自生するコブナグサ、タブノキの樹皮、スダジイの樹皮の三種の植物を採取し、それぞれの染液を煮出す
- 2
黄染め
コブナグサを大量に煮出した汁に絹糸を繰り返し浸し、椿の木灰による灰汁で媒染して鮮やかな山吹色に染め上げる
- 3
樺染め
タブノキの樹皮を煮出した染液に糸を浸し、木灰で媒染することで深い茶褐色の樺色を得るため数十回の浸染を繰り返す
- 4
黒染め
スダジイの樹皮で糸を煮染めした後に泥田に漬けて鉄分と反応させ、堅牢な黒色を発色させる工程を繰り返す
- 5
整経
三色に染め分けた絹糸を格子や縞の設計図に基づき所定の配列に整え、高機に仕掛ける準備を行う
- 6
手織り
高機を用いて黄・樺・黒の三色の糸を格子や縞の模様に組み合わせながら一段ずつ丹念に手織りで織り上げる
- 7
仕上げ
織り上がった反物を湯通しして幅を整え、検反で色の堅牢さと模様の正確さを確認して製品に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
山下 めぐみ
伝統工芸士
山下染織工房
東京都八丈島に生まれ、島に自生する植物——刈安(黄色)、椎の木(鳶色)、タブノキ(黒色)——のみを用いた草木染めと手織りを五十年近く続けている。黄八丈の三色の組み合わせによる格子柄の美しさを極め、島の伝統を体現する存在。
制作哲学
八丈島の植物が与えてくれる三つの色だけで、無限の表情を生み出す。制限の中にこそ、創造の自由がある。
“「黄色、鳶色、黒——たった三色なのに、組み合わせは無限。それが黄八丈の面白さです。」
沖山 大輔
若手作家
沖山織物
東京都八丈島出身。島を離れて美術大学で学んだ後、Uターンして黄八丈の制作を開始。刈安の栽培から染色、織りまでの一貫した工程に取り組み、島の自然と共生する暮らしの中から作品を生み出している。
制作哲学
島の植物だけで染め、島の風の中で織る。この限られた環境が、黄八丈の唯一無二の個性を育んでいる。
“「島に戻って黄八丈を織ることは、自分のルーツに向き合うことでもありました。」
FAQ
よくある質問
本場黄八丈とは何ですか?▼
東京都八丈島で生産される絹織物。島の植物染料による黄・樺・黒の三色が特徴。
本場黄八丈の産地はどこですか?▼
本場黄八丈は東京都で生産されている織物です。
本場黄八丈の技法・特徴は?▼
本場黄八丈は八丈島に自生する三種の植物のみで染色する点が最大の特徴である。黄色はコブナグサ(刈安に似た島の植物)を大量に煮出した汁に糸を浸し、椿の木灰による灰汁で媒染して鮮やかな山吹色に仕上げる。樺色はタブノキ(マダミ)の樹皮を煮出した液で染め、木灰で媒染することで深い茶褐色を得る。黒色はスダジイ(椎の木)の樹皮で染め、泥田に漬けて鉄分と反応させて発色させる。いずれも数十回の浸染と媒染を根気よく繰り返し、堅牢で美しい色に仕上げる。染め上がった絹糸を高機にかけ、格子や縞の模様に手織りする。
本場黄八丈はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。