染色品
京黒紋付染
きょうくろもんつきぞめ
京都で生産される黒染め。冠婚葬祭用の黒紋付を深い黒色に染め上げる技法。
History
歴史
京黒紋付染は、平安時代の宮廷で用いられた黒染めの技術を起源とする。鎌倉・室町時代には武家社会で黒色の衣服が礼装として重んじられ、江戸時代には五つ紋を入れた黒紋付が武士の正式な礼服として定着した。明治時代以降、黒紋付は男女を問わず最も格式の高い礼装として広く普及し、京都の染色業者が高品質な黒染めの技法を磨いた。昭和54年に伝統的工芸品に指定され、現在も慶弔の礼装として欠かせない染色品である。
Technique
技法
京黒紋付染は、深みのある漆黒を実現するため「黒染め」に特化した高度な技法を用いる。主な技法に、植物染料のログウッドや五倍子を用いて繰り返し染める「三度黒」と、黒色染料に生地を浸す「引き染め」がある。三度黒では媒染剤としてクロム塩を用い、複数回の染色と媒染を繰り返すことで光沢のある深い黒を生み出す。紋の部分は紋糊で防染し、染め上がり後に「紋上絵」で家紋を精密に描き入れる。仕上げに蒸しと水洗を行い、色の定着と光沢を高める。
Process
制作工程
全7工程
- 1
紋糊置き
家紋を入れる位置に紋糊を正確に置いて防染し、染色時に紋の部分が白く抜けるようにする
- 2
下染め
ログウッドや五倍子などの植物染料を用いて生地を繰り返し下染めし、黒の深みの基礎を作る
- 3
媒染処理
クロム塩などの媒染剤に生地を浸して染料を繊維に定着させ、複数回の染色と媒染を繰り返す
- 4
本染め
三度黒や引き染めの技法で黒色染料を重ね、光沢のある奥深い漆黒に染め上げる
- 5
蒸し水洗
染め上がった生地を蒸して色を定着させ、水洗いで余分な染料と紋糊を洗い落とす
- 6
紋上絵
紋糊を除去した白抜き部分に、上絵師が筆で家紋を精密かつ正確に描き入れる
- 7
仕上げ
生地全体の光沢と色むらを確認し、湯のしで幅を整えて艶やかな黒に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
荒木 重蔵
伝統工芸士
荒木黒染店
1944年京都府京都市伏見区生まれ。京黒紋付染の染師として半世紀以上にわたり、冠婚葬祭に欠かせない黒紋付の染色に従事。黒染めの最高峰とされる「引き染め」の技法を極め、深く艶やかな漆黒の色を生み出す。紋章上絵の技術にも精通し、京都府伝統工芸士に認定されている。
制作哲学
黒は最も難しい色。何十回と染め重ねて到達する深い黒にこそ、日本の美の極致がある。
“本物の黒は光を吸い込むのではなく、奥から光を放つのです。
大西 翔
若手職人
大西染色研究所
1993年京都府京都市山科区生まれ。京都産業大学を卒業後、家業である黒紋付染の工房を継ぐことを決意。伝統的な黒染めの技術を学ぶ傍ら、黒染めの技法を活かしたアパレルリメイクサービスを立ち上げ、色褪せた衣服を深い黒に染め直すプロジェクトが話題を呼んでいる。
制作哲学
黒染めの技術をサステナブルファッションに活かし、伝統技法の新しい価値を創出したい。
“古い服が黒く染まって生まれ変わる瞬間、お客様の目が輝くのが嬉しい。
FAQ
よくある質問
京黒紋付染とは何ですか?▼
京都で生産される黒染め。冠婚葬祭用の黒紋付を深い黒色に染め上げる技法。
京黒紋付染の産地はどこですか?▼
京黒紋付染は京都府で生産されている染色品です。
京黒紋付染の技法・特徴は?▼
京黒紋付染は、深みのある漆黒を実現するため「黒染め」に特化した高度な技法を用いる。主な技法に、植物染料のログウッドや五倍子を用いて繰り返し染める「三度黒」と、黒色染料に生地を浸す「引き染め」がある。三度黒では媒染剤としてクロム塩を用い、複数回の染色と媒染を繰り返すことで光沢のある深い黒を生み出す。紋の部分は紋糊で防染し、染め上がり後に「紋上絵」で家紋を精密に描き入れる。仕上げに蒸しと水洗を行い、色の定着と光沢を高める。
京黒紋付染はどこで購入・体験できますか?▼
京都府の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。京都府の工芸品については京都府の伝統工芸品一覧もご覧ください。