染色品
浪華本染め
なにわほんぞめ
大阪で生産される注染による本染め。手ぬぐいや浴衣地の染色に用いられる。
History
歴史
浪華本染めは、大阪で発展した注染(ちゅうせん)による染色技法である。江戸時代から「天下の台所」として商業の中心地であった大阪では、手ぬぐいや浴衣地の需要が高く、染色業が盛んに営まれた。明治時代中期に大阪の染色職人が注染の技法を考案し、従来の手染めに比べて効率的で美しい染め上がりを実現した。大正・昭和期を通じて大阪は注染の一大産地として発展し、平成29年に伝統的工芸品に指定された。現在も手ぬぐいや浴衣を中心に生産が続けられている。
Technique
技法
浪華本染めは、注染と呼ばれる独特の技法を用いる。まず生地を屏風たたみに折り重ね、型紙を使って防染糊を置く「板場」の工程を行う。次に「壺人(つぼんど)」と呼ばれる染め職人が、糊で区切った部分にやかんで染料を注ぎ、下から吸引して生地全体に染料を浸透させる。複数の色を染め分ける「差し分け」では、糊の土手で色の境界を作り、異なる染料を注ぎ分ける。両面が均一に染まることが特徴で、水洗いで糊を落とした後、天日干しで仕上げる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
生地準備
晒した木綿生地を所定の長さに裁断し、屏風たたみに丁寧に折り重ねて型付けの工程に備える
- 2
型付け
板場の職人が型紙を生地の上に置き、防染糊をヘラで均一に塗布して染めない部分を正確に防染する
- 3
糊置き
複数の色を染め分けるため、糊で土手を作り染料が他の区画に流れ込まないよう境界線を丁寧に形成する
- 4
注染
壺人がやかんで調合した染料を糊で区切った部分に注ぎ、下方から吸引して生地の両面に均一に染料を浸透させる
- 5
差し分け
異なる色の染料を糊の土手で区切られた各区画に正確に注ぎ分け、多色の鮮やかな染め模様を実現する
- 6
水洗い
染め上がった生地を豊富な流水で洗い、防染糊と余分な染料を完全に除去して鮮明な文様を浮かび上がらせる
- 7
天日干し
水洗い後の生地を屋外の干し場に広げて天日で乾燥させ、染料を安定させて鮮やかな発色を定着させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
堺 忠次郎
四代目
堺染工場
1948年大阪市中央区生まれ。堺家は明治初期から浪華本染めを営む家系で、忠次郎は四代目として家業を継いだ。注染の技法において卓越した技術を持ち、大阪府無形文化財の保持者にも認定されている。
制作哲学
大阪の町人文化が育てた染めの粋を、次の百年に伝えることが私の使命である。職人の手の温もりが宿った染物こそ、人の心を動かす。
“注染は水と染料と布の対話や。職人はその仲立ちをしているにすぎません。
西川 萌
若手作家
1995年大阪府堺市生まれ。大阪芸術大学でデザインを学び、浪華本染めの手ぬぐい文化に惹かれて弟子入りした。SNSを活用して若い世代に注染の魅力を発信し、現代的なデザインの手ぬぐいが人気を集めている。
制作哲学
昔ながらの注染技法で、今の暮らしに寄り添うものづくりを目指しています。
“手ぬぐい一枚に大阪の元気と職人の技が詰まっている、そう思うとわくわくします。
FAQ
よくある質問
浪華本染めとは何ですか?▼
大阪で生産される注染による本染め。手ぬぐいや浴衣地の染色に用いられる。
浪華本染めの産地はどこですか?▼
浪華本染めは大阪府で生産されている染色品です。
浪華本染めの技法・特徴は?▼
浪華本染めは、注染と呼ばれる独特の技法を用いる。まず生地を屏風たたみに折り重ね、型紙を使って防染糊を置く「板場」の工程を行う。次に「壺人(つぼんど)」と呼ばれる染め職人が、糊で区切った部分にやかんで染料を注ぎ、下から吸引して生地全体に染料を浸透させる。複数の色を染め分ける「差し分け」では、糊の土手で色の境界を作り、異なる染料を注ぎ分ける。両面が均一に染まることが特徴で、水洗いで糊を落とした後、天日干しで仕上げる。
浪華本染めはどこで購入・体験できますか?▼
大阪府の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。大阪府の工芸品については大阪府の伝統工芸品一覧もご覧ください。