織物
多摩織
たまおり
東京都八王子市周辺で生産される絹織物の総称。お召織や紬織など五つの品種がある。
History
歴史
多摩織は東京都八王子市を中心に生産される絹織物の総称で、御召織、紬織、風通織、変り綴、捩り織の五つの技法を含む。八王子の織物の歴史は室町時代に遡り、「横山宿の市」で絹が取引された記録がある。江戸時代には「八王子織物」として江戸の市場に盛んに出荷され、特に縞御召や紬が粋な江戸っ子たちの人気を集めた。八王子は養蚕・絹産業で栄え「桑都(そうと)」と呼ばれるほどであった。甲州街道沿いの交通の便も産地発展を支えた。明治以降も技術革新を重ねながら発展を続け、1980年に国の伝統的工芸品に指定された。東京に残る貴重な伝統織物産地である。
Technique
技法
多摩織は五つの異なる技法からなる総合的な織物群である。御召織は強撚糸を緯糸に用いて布面にしぼを出す先染め織物で、上品な光沢が特徴。紬織は真綿から手紡ぎした糸を用い、素朴で温かみのある風合いを持つ。風通織は二重組織で表裏の色が反転する技巧的な技法。変り綴は綴織の応用で、多色の緯糸を使い分けて絵画的な模様を表現する。捩り織は隣り合う経糸を捩って隙間を作る紗や絽の技法で、夏の衣料に用いられる。いずれも先染めの絹糸を基本とし、手織りまたは半自動織機で織り上げる。多様な技法の共存が多摩織の強みである。
Process
制作工程
全6工程
- 1
糸準備
絹糸を主原料に、御召織用の強撚糸や紬織用の手紡ぎ糸など、各技法に応じた糸種を選定して準備する
- 2
先染め
絹糸を所定の色に先染めし、縞や格子、絣などの模様を構成するために必要な色数の糸を染め分ける
- 3
整経
先染めした経糸を設計図に基づき所定の配列と本数に整え、風通織の二重組織や捩り織の特殊構成に合わせて織機に仕掛ける
- 4
機仕掛け
御召織・紬織・風通織・変り綴・捩り織それぞれの技法に応じた綜絖と筬の構成を組み、織りの準備を完成させる
- 5
手織り
手織りまたは半自動織機を使い、五つの技法それぞれの特性を活かして経糸と緯糸を正確に組織して織り上げる
- 6
仕上げ
織り上がった反物を湯通しや幅出しなどの仕上げ工程を経て、各技法に応じた独特の風合いに整える
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
澤井 忠夫
伝統工芸士
澤井織物工場
東京都八王子市に生まれ、御召織・紬織・風通織など多摩織の多彩な技法を習得。特に御召織のシボ出しに秀で、四十年以上にわたり東京の都市生活に馴染む洗練された織物を制作してきた。八王子織物工業組合の技術顧問を務める。
制作哲学
東京という都市で受け継がれてきた多摩織は、粋で洗練された美意識を持つ。その都会的な感性を布に織り込みたい。
“「多摩織は東京の織物。江戸の粋を今に伝える、都会の手仕事です。」
木村 健太
若手作家
TAMA TEXTILE LAB
東京都日野市出身。服飾専門学校でファッションデザインを学んだ後、八王子の機場で多摩織の技法を習得。紬織と風通織の技法を応用したジャケット地やコート地を制作し、テーラーとのコラボレーションにも挑戦している。
制作哲学
東京で生まれた織物だからこそ、東京のファッションに活かしたい。伝統技法と現代服飾の架け橋になる。
“「手織りのジャケットを纏う贅沢を、もっと多くの人に知ってほしいのです。」
FAQ
よくある質問
多摩織とは何ですか?▼
東京都八王子市周辺で生産される絹織物の総称。お召織や紬織など五つの品種がある。
多摩織の産地はどこですか?▼
多摩織は東京都で生産されている織物です。
多摩織の技法・特徴は?▼
多摩織は五つの異なる技法からなる総合的な織物群である。御召織は強撚糸を緯糸に用いて布面にしぼを出す先染め織物で、上品な光沢が特徴。紬織は真綿から手紡ぎした糸を用い、素朴で温かみのある風合いを持つ。風通織は二重組織で表裏の色が反転する技巧的な技法。変り綴は綴織の応用で、多色の緯糸を使い分けて絵画的な模様を表現する。捩り織は隣り合う経糸を捩って隙間を作る紗や絽の技法で、夏の衣料に用いられる。いずれも先染めの絹糸を基本とし、手織りまたは半自動織機で織り上げる。多様な技法の共存が多摩織の強みである。
多摩織はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。