染色品
東京無地染
とうきょうむじぞめ
東京で生産される無地の引き染め。均一で美しい色合いに染め上げる技術が特徴。
History
歴史
東京無地染は、江戸時代から東京で発展してきた無地の染色技法である。武家社会では礼装用の無地染めが重視され、とりわけ美しい単色を均一に染め上げる技術が磨かれた。江戸の染色職人は、微妙な色の違いを追求し「四十八茶百鼠」と称される豊富な色彩表現を生み出した。明治以降も礼装地や襦袢地の染色需要に支えられて技術が継承され、平成30年に伝統的工芸品に指定された。一見単純に見える無地染めこそ、染色職人の技量が如実に表れる高度な技芸である。
Technique
技法
東京無地染は、引き染め・浸け染めを中心とした精密な単色染色技法である。引き染めでは、生地を張木に張り、刷毛で染料を均一に引いていく。ムラなく美しい発色を実現するため、染料の濃度・刷毛の運び方・気温や湿度への対応など、長年の経験に基づく微細な調整が不可欠である。色合わせでは、依頼主の要望に応じて数十種類の染料を調合し、見本通りの色を再現する高度な技術が求められる。蒸し・水洗による色の定着後、湯のしで生地の風合いを整えて完成させる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
精練
白生地の不純物や糊を除去するため、生地を湯に浸して丁寧に洗い、染料が均一に浸透する状態に整える
- 2
色合わせ
依頼主の要望に応じて数十種類の染料を調合し、見本帳と照合しながら目的の色を正確に再現する
- 3
張木張り
生地を張木にしっかりと張り、たるみやしわが生じないよう均一な張力で固定して染めの準備を行う
- 4
引き染め
刷毛に染料を含ませて生地の端から端まで均一に引き染めし、ムラが出ないよう気温や湿度に応じて速度を調整する
- 5
蒸し
染め上がった生地を蒸し箱に入れて高温の蒸気で蒸し、染料を繊維にしっかりと定着させて堅牢な発色を実現する
- 6
水洗い
蒸し上がった生地を流水で丁寧に洗い、余分な染料や助剤を完全に除去して色の鮮明さを出す
- 7
湯のし
蒸気を当てながら生地の幅を整え、縮みやしわを伸ばして反物としての風合いと光沢を美しく仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
関根 正義
伝統工芸士
関根染色工房
1952年東京都新宿区生まれ。祖父の代から続く無地染工房に生まれ、15歳で父のもとで修業を開始した。50年以上にわたり東京無地染の技法を守り続け、特に絹の引き染めにおいて他の追随を許さない技術を持つ。
制作哲学
無地染は一見単純に見えるが、色の深みと均一さに職人の全てが表れる。一色の中に無限の表現があることを、生涯をかけて追求している。
“無地だからこそ、ごまかしが利かない。一反の布に向き合う緊張感が、私の仕事の原点です。
永井 彩花
若手作家
1993年東京都生まれ。武蔵野美術大学でテキスタイルデザインを学んだ後、東京無地染の工房に弟子入り。伝統的な引き染め技法を習得しながら、現代のファッションに合わせた新しい色彩提案に取り組んでいる。
制作哲学
伝統の色をそのまま守るだけでなく、今を生きる人の心に響く色を染め上げたい。
“日本の四季が生んだ色の繊細さを、もっと多くの人に届けたいと思っています。
FAQ
よくある質問
東京無地染とは何ですか?▼
東京で生産される無地の引き染め。均一で美しい色合いに染め上げる技術が特徴。
東京無地染の産地はどこですか?▼
東京無地染は東京都で生産されている染色品です。
東京無地染の技法・特徴は?▼
東京無地染は、引き染め・浸け染めを中心とした精密な単色染色技法である。引き染めでは、生地を張木に張り、刷毛で染料を均一に引いていく。ムラなく美しい発色を実現するため、染料の濃度・刷毛の運び方・気温や湿度への対応など、長年の経験に基づく微細な調整が不可欠である。色合わせでは、依頼主の要望に応じて数十種類の染料を調合し、見本通りの色を再現する高度な技術が求められる。蒸し・水洗による色の定着後、湯のしで生地の風合いを整えて完成させる。
東京無地染はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。