織物
奥会津昭和からむし織
おくあいづしょうわからむしおり
福島県昭和村で苧麻(からむし)を原料として織られる伝統的な織物。
History
歴史
奥会津昭和からむし織は福島県大沼郡昭和村で生産される苧麻(からむし)の織物で、約600年の歴史を持つとされる。昭和村は本州で唯一、からむしの栽培から織物生産までを一貫して行う稀有な産地である。江戸時代には会津藩の奨励政策のもと、良質なからむし繊維の生産が盛んに行われ、越後に出荷されて越後上布や小千谷縮の原料として高く評価された。村では原料の供給だけでなく、織物としての技術も古くから受け継がれてきた。過疎化が進む山村にあって、からむし栽培と織物は地域のアイデンティティの核をなす存在である。2017年に国の伝統的工芸品に指定され、全国から織物研修生を受け入れるなど伝統産業の維持に取り組んでいる。
Technique
技法
奥会津昭和からむし織は苧麻(からむし)の繊維を原料とする麻織物である。初夏にからむしの茎を刈り取り、表皮を手で剥ぎ取って内皮の繊維を丁寧に水にさらして精製する。天日で乾燥させた繊維を爪で極めて細く裂き、撚りをかけずに一本一本結んで繋ぐ「苧績み(おうみ)」で長い糸にする。この苧績みは冬の農閑期に囲炉裏端で行われる根気のいる作業である。天然の藍や草木染料で染色した後、地機(いざり機)や高機を用いて手織りで丹念に織り上げる。からむし繊維は通気性と吸湿性に優れ、素朴で涼やかな風合いが夏の衣料に最適である。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原料刈取
初夏にからむし(苧麻)の茎を刈り取り、表皮を手で剥ぎ取って内皮の繊維を丁寧に取り出す
- 2
繊維精製
取り出した内皮繊維を水にさらして不純物を除去し、天日で乾燥させて白く清潔な繊維に精製する
- 3
苧績み
冬の農閑期に囲炉裏端で乾燥した繊維を爪で極めて細く裂き、撚りをかけずに一本一本結んで繋ぎ長い糸にする
- 4
染色
天然の藍や草木染料を用いて績んだ糸を繰り返し染め上げ、素朴で落ち着いた色合いに仕上げる
- 5
整経
染め上がった経糸を所定の本数と長さに整え、地機や高機に仕掛けるための準備作業を行う
- 6
手織り
地機(いざり機)や高機を用いて手織りで丹念に織り上げ、からむし繊維特有の涼やかな風合いの布に仕上げる
- 7
仕上げ
織り上がった反物を水洗いして糊を落とし、幅出しと検反を行って通気性と吸湿性に優れた製品に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
五十嵐 茂雄
伝統工芸士
五十嵐からむし工房
福島県大沼郡昭和村に生まれ、からむし(苧麻)の栽培から糸績み、織りまでの全工程を手がける数少ない職人の一人。四十年以上にわたり、からむしの栽培と技術の保存に力を注ぎ、昭和村のからむし織体験事業の指導者としても活動している。
制作哲学
からむしは奥会津の宝。この植物を育て、糸にし、布に織る——その一連の営みそのものが、この村の文化である。
“「からむしの糸を績む手の感覚は、言葉では伝えられない。体で覚えるしかないのです。」
渡部 綾乃
若手作家
福島県会津若松市出身。昭和村の「織姫制度」を利用して移住し、からむし織の技術を一から学ぶ。地域おこし協力隊としても活動し、からむし織の体験プログラムや情報発信を通じて、昭和村の活性化に貢献している。
制作哲学
過疎の村で受け継がれてきた技を絶やしたくない。からむし織を通じて、この村に人を呼び込みたい。
“「昭和村に来て初めて、布が畑から生まれることを知りました。それは衝撃でした。」
FAQ
よくある質問
奥会津昭和からむし織とは何ですか?▼
福島県昭和村で苧麻(からむし)を原料として織られる伝統的な織物。
奥会津昭和からむし織の産地はどこですか?▼
奥会津昭和からむし織は福島県で生産されている織物です。
奥会津昭和からむし織の技法・特徴は?▼
奥会津昭和からむし織は苧麻(からむし)の繊維を原料とする麻織物である。初夏にからむしの茎を刈り取り、表皮を手で剥ぎ取って内皮の繊維を丁寧に水にさらして精製する。天日で乾燥させた繊維を爪で極めて細く裂き、撚りをかけずに一本一本結んで繋ぐ「苧績み(おうみ)」で長い糸にする。この苧績みは冬の農閑期に囲炉裏端で行われる根気のいる作業である。天然の藍や草木染料で染色した後、地機(いざり機)や高機を用いて手織りで丹念に織り上げる。からむし繊維は通気性と吸湿性に優れ、素朴で涼やかな風合いが夏の衣料に最適である。
奥会津昭和からむし織はどこで購入・体験できますか?▼
福島県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福島県の工芸品については福島県の伝統工芸品一覧もご覧ください。