人形・こけし
江戸押絵
えどおしえ
東京で生産される押絵の羽子板。綿を布でくるんで立体的な絵を作る技法が特徴。
History
歴史
江戸押絵は東京都で生産される押絵の技法を用いた工芸品で、その歴史は江戸時代中期にさかのぼる。押絵は布地で綿を包んで立体的な図柄を作る技法で、羽子板の装飾として発展した。歌舞伎の人気役者を題材にした押絵羽子板が江戸の庶民に大いに流行し、浅草の歳の市では華やかな押絵羽子板が並んだ。明治以降も正月飾りや贈答品として愛され続け、伝統的工芸品に指定されている。歌舞伎文化と結びついた江戸の粋を伝える工芸品である。
Technique
技法
江戸押絵の制作は、まず厚紙で人物や動物などの図柄の各パーツを切り出し、綿を薄く伸ばして膨らみを持たせ、その上から正絹の布地で包んで形を整える。顔の部分は胡粉を塗った生地に面相筆で目鼻口を描き入れる。各パーツを厚紙の台板に重ね貼りして立体的な構図を作り上げる。衣装には友禅染や金襴の絹地を用い、歌舞伎役者の衣装を忠実に再現する。繊細な布裁きと綿の厚みの調整で、浮き上がるような立体感を表現するのが職人の腕の見せ所である。
Process
制作工程
全7工程
- 1
図案作成
歌舞伎役者や武者絵などの題材を選定し、各パーツの型紙となる精密な図案を和紙に描き起こす
- 2
型紙切出
図案に基づいて厚紙から人物の顔・胴・手足・衣装など細かなパーツの型を一つ一つ正確に切り出す
- 3
綿入れ
切り出した各パーツの厚紙の上に綿を薄く伸ばして置き、部位ごとに適切な高さの膨らみを持たせる
- 4
布包み
友禅染や金襴などの正絹布地で綿を乗せたパーツを丁寧に包み、布端を裏に折り込んで形を整える
- 5
面相描き
顔のパーツには胡粉を塗った下地に極細の面相筆で目鼻口を繊細に描き入れ、豊かな表情を作る
- 6
重ね貼り
完成した各パーツを厚紙の台板に前後の奥行きを計算しながら重ね貼りし、浮き上がるような立体感を出す
- 7
仕上げ
小道具や背景の装飾を加えて全体の立体感と構図のバランスを整え、額に収めて完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
山田 照子
伝統工芸士
山田押絵工房
東京都台東区に生まれ、母から江戸押絵の技法を受け継ぐ。綿を包んだ布地で立体的な絵を作り上げる技術において第一人者として知られる。四十年以上にわたり羽子板や額絵の制作に従事し、東京都知事賞を複数回受賞している。
制作哲学
押絵は布と綿で描く絵画です。平面に奥行きを与え、見る角度によって表情が変わる立体美を追求しています。
“布一枚にも表と裏がある。その両方を知ってこそ、美しい押絵が生まれるのです。
渡辺 真央
若手作家
東京都出身。文化服装学院でテキスタイルを学んだ後、江戸押絵の世界に魅せられ師匠のもとで六年間修業。伝統的な歌舞伎や浮世絵のモチーフに加え、現代的な題材を取り入れた押絵作品で新たなファン層を開拓している。
制作哲学
江戸の粋を現代に伝える押絵を、一針一針心を込めて作りたいと思っています。
“布の重なりが生み出す陰影に、江戸の人々の美意識を感じます。
FAQ
よくある質問
江戸押絵とは何ですか?▼
東京で生産される押絵の羽子板。綿を布でくるんで立体的な絵を作る技法が特徴。
江戸押絵の産地はどこですか?▼
江戸押絵は東京都で生産されている人形・こけしです。
江戸押絵の技法・特徴は?▼
江戸押絵の制作は、まず厚紙で人物や動物などの図柄の各パーツを切り出し、綿を薄く伸ばして膨らみを持たせ、その上から正絹の布地で包んで形を整える。顔の部分は胡粉を塗った生地に面相筆で目鼻口を描き入れる。各パーツを厚紙の台板に重ね貼りして立体的な構図を作り上げる。衣装には友禅染や金襴の絹地を用い、歌舞伎役者の衣装を忠実に再現する。繊細な布裁きと綿の厚みの調整で、浮き上がるような立体感を表現するのが職人の腕の見せ所である。
江戸押絵はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。