織物
伊勢崎絣
いせさきがすり
群馬県伊勢崎市で生産される絣織物。併用絣や経緯絣など多彩な技法が特徴。
History
歴史
伊勢崎絣は群馬県伊勢崎市周辺で生産される絹織物で、その起源は天明年間(1781〜1789年)に遡る。養蚕が盛んな上州地域の地の利を活かし、江戸時代後期から庶民の普段着用の絹織物として広まった。明治時代には「伊勢崎銘仙」として全国にその名が知られ、大正から昭和初期にかけて女性の間で大流行し、年間数百万反の生産量を誇る一大産業に成長した。モダンで大胆な柄行きが当時の女性たちの心を掴んだ。戦後は和装需要の減少により生産は縮小したが、1975年に国の伝統的工芸品に指定され、括り絣や板締め絣などの伝統技術の保存と継承が図られている。
Technique
技法
伊勢崎絣は絹糸を用いた絣織物で、括り絣、板締め絣、型紙捺染など複数の技法が伝わる。括り絣は糸を手括りして防染し、一つ一つ絣模様を生み出す最も古い技法である。板締め絣は二枚の板に模様を彫り、その間に糸を挟んで万力で締め付けた状態で染色する技法で、量産性に優れながらも精緻な柄が得られる。型紙捺染は型紙を使って糸に直接模様を染め付ける。染色には天然の藍や各種化学染料を用い、高機を使って手織りで仕上げる。経絣、緯絣、経緯併用絣など多様な技法を駆使し、繊細で華やかな幾何学模様から大胆な意匠まで幅広く表現する。
Process
制作工程
全6工程
- 1
図案設計
絣模様の図案を作成し、括り絣・板締め絣・型紙捺染のいずれの技法で加工するかを決定して設計図を起こす
- 2
絣加工
手括り、板締め、または型紙捺染により絹糸に絣模様を施す。板締めでは模様を彫った二枚の板で糸を挟み染色する
- 3
染色
天然藍や各種染料を用いて絣加工した糸を染色し、括りや板で防染された部分を白く残して模様を生み出す
- 4
糸準備
染色後の糸から括りや板を解いて絣模様を確認し、経糸・緯糸それぞれを整経して織機にかける準備を行う
- 5
手織り
高機を使い、経絣・緯絣または経緯併用絣の技法で絣模様を正確に合わせながら一反ずつ丹念に手織りで織り上げる
- 6
仕上げ
織り上がった反物を湯通しして糊を落とし、幅や長さを整えた後に検反を行い品質を確認して製品に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
新井 政雄
伝統工芸士
新井織物工場
群馬県伊勢崎市の織物家の三代目として生まれ、幼少期から機織りに親しむ。併用絣の高度な技法を極め、複雑な文様の設計から織り上げまでを一貫して手がける。伊勢崎織物協同組合の技術指導員も務めている。
制作哲学
経糸と緯糸が交差する瞬間に模様が生まれる。その一瞬のために、何日もかけて準備する。それが絣の道である。
“「絣は計算と感性の芸術です。一ミリのずれが、模様の生死を分けるのです。」
小林 彩花
若手作家
彩織工房
群馬県出身。武蔵野美術大学でテキスタイルを専攻し、卒業後に地元伊勢崎で絣の修行を開始。伝統的な併用絣の技法を用いながら、現代のインテリアに調和するテキスタイル作品を制作している。
制作哲学
暮らしの中で使われてこそ、絣は輝く。日常に溶け込む美しさを追い求めたい。
“「伝統工芸を『特別なもの』から『身近なもの』に変えることが、私の使命です。」
FAQ
よくある質問
伊勢崎絣とは何ですか?▼
群馬県伊勢崎市で生産される絣織物。併用絣や経緯絣など多彩な技法が特徴。
伊勢崎絣の産地はどこですか?▼
伊勢崎絣は群馬県で生産されている織物です。
伊勢崎絣の技法・特徴は?▼
伊勢崎絣は絹糸を用いた絣織物で、括り絣、板締め絣、型紙捺染など複数の技法が伝わる。括り絣は糸を手括りして防染し、一つ一つ絣模様を生み出す最も古い技法である。板締め絣は二枚の板に模様を彫り、その間に糸を挟んで万力で締め付けた状態で染色する技法で、量産性に優れながらも精緻な柄が得られる。型紙捺染は型紙を使って糸に直接模様を染め付ける。染色には天然の藍や各種化学染料を用い、高機を使って手織りで仕上げる。経絣、緯絣、経緯併用絣など多様な技法を駆使し、繊細で華やかな幾何学模様から大胆な意匠まで幅広く表現する。
伊勢崎絣はどこで購入・体験できますか?▼
群馬県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。群馬県の工芸品については群馬県の伝統工芸品一覧もご覧ください。