織物
牛首紬
うしくびつむぎ
石川県白山市で生産される紬織物。二匹の蚕が作る玉繭を使用し丈夫さが特徴。
History
歴史
牛首紬は石川県白山市の旧白峰村(かつての牛首村)で織られる絹織物で、約800年の歴史を持つとされる。平治の乱(1159年)で源氏方が敗れた際、落人の一行に加わっていた大畠氏の妻が白山麓の山深い地に逃れ、そこで機織りを始めたのが起源と伝えられる。「釘抜き紬」の異名を持ち、釘に引っかけても布が破れず釘の方が抜けてしまうほど丈夫であることで名高い。加賀藩の保護のもと山村の主要産業として発展し、1988年に国の伝統的工芸品に指定された。現在は極めて少数の工房のみが伝統を守り続けている、希少な紬である。
Technique
技法
牛首紬の最大の特徴は、玉繭(二頭の蚕が一つの繭を共同で作ったもの)を原料とする点にある。玉繭は二本の糸が複雑に絡み合っており、通常の機械製糸では処理できないが、牛首紬ではこれを熟練の技で直接座繰りにより手で引き出し、太さに自然なムラのある独特の「玉糸」を得る。この玉糸が生み出す節のある味わい深い風合いと、二本の糸が絡み合うことによる抜群の引張強度が牛首紬ならではの持ち味である。染色は草木染めや化学染料を用い、高機を使って手織りで仕上げる。絹の光沢と素朴な表情が調和した堅牢で美しい紬である。
Process
制作工程
全6工程
- 1
玉繭選別
二頭の蚕が共同で作った玉繭を選別し、通常の繭とは異なる二本の糸が絡み合った特殊な繭を原料として集める
- 2
座繰り
玉繭を熱湯で煮て糸口を見つけ、熟練の技で直接座繰りにより手で引き出して太さに自然なムラのある玉糸を得る
- 3
染色
草木染めや化学染料を用いて玉糸を所定の色に染め上げ、節のある独特の風合いを活かした色合いに仕上げる
- 4
整経
染め上がった経糸を所定の本数と長さに整え、縞や格子などの模様配列を決めて高機に仕掛ける
- 5
手織り
高機を使い、玉糸特有の節と太さのムラを味わいとして活かしながら一段ずつ丹念に手織りで織り上げる
- 6
仕上げ
織り上がった反物を湯通しして整え、検反で絹の光沢と素朴な風合いの調和を確認し堅牢な紬に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
加藤 源蔵
伝統工芸士
加藤機業場
石川県白山市白峰(旧牛首村)に生まれ、二頭の蚕が作る玉繭から引いた太い糸を用いる牛首紬の制作に五十年近く従事。「釘抜き紬」と称されるほどの丈夫さと、独特の光沢を持つ紬を織り続け、産地の伝統を守っている。
制作哲学
玉繭の太く力強い糸が、牛首紬の丈夫さと艶を生む。白山の厳しい自然が育んだ、たくましい布である。
“「釘も抜けるほど丈夫な布——先人がそう誇った牛首紬の強さを、私も受け継いでいきたい。」
西田 葵
若手作家
白峰織房 葵
石川県金沢市出身。金沢美術工芸大学で工芸を学んだ後、白峰に移住して牛首紬の技法を習得。玉繭の糸引きから織りまでを手がけ、牛首紬の丈夫さを活かしたバッグやコートなど、日常使いの製品を提案している。
制作哲学
丈夫で美しい牛首紬は、日常の道具としても優れている。「使い倒せる工芸品」を目指したい。
“「何十年も使えるものを作る。それが牛首紬の本質であり、これからの時代に必要なことでもあります。」
FAQ
よくある質問
牛首紬とは何ですか?▼
石川県白山市で生産される紬織物。二匹の蚕が作る玉繭を使用し丈夫さが特徴。
牛首紬の産地はどこですか?▼
牛首紬は石川県で生産されている織物です。
牛首紬の技法・特徴は?▼
牛首紬の最大の特徴は、玉繭(二頭の蚕が一つの繭を共同で作ったもの)を原料とする点にある。玉繭は二本の糸が複雑に絡み合っており、通常の機械製糸では処理できないが、牛首紬ではこれを熟練の技で直接座繰りにより手で引き出し、太さに自然なムラのある独特の「玉糸」を得る。この玉糸が生み出す節のある味わい深い風合いと、二本の糸が絡み合うことによる抜群の引張強度が牛首紬ならではの持ち味である。染色は草木染めや化学染料を用い、高機を使って手織りで仕上げる。絹の光沢と素朴な表情が調和した堅牢で美しい紬である。
牛首紬はどこで購入・体験できますか?▼
石川県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。石川県の工芸品については石川県の伝統工芸品一覧もご覧ください。