金工品
南部鉄器
なんぶてっき
岩手県で作られる鋳鉄製品。鉄瓶や急須が代表的で独特の風合いが特徴。
Philosophy
哲学
岩手の鉄器は、使い込むほどに表面が変化し、味わいを増していきます。新品の時が完成ではなく、使うことで「育てていく」器。それは、工芸品と使い手の間に長い時間をかけた関係を築くということです。
“鉄瓶で沸かした湯は、まろやかになる。鉄が水を優しくするんです。”
History
歴史
南部鉄器は岩手県の盛岡市と奥州市を中心に生産される鋳鉄製品である。その歴史は17世紀に遡り、盛岡藩主・南部利直が京都から釜師を招いたことに始まる。茶の湯の隆盛とともに茶釜の製造が発展し、三代藩主・南部重直の時代に小泉仁左衛門が藩の御用釜師となった。18世紀後半には茶釜を小型化した「鉄瓶」が考案され、庶民にも広まった。1975年に伝統的工芸品に指定され、近年は海外でもその美しいデザインと実用性が高く評価されている。
Technique
技法
南部鉄器の製造は、まず原型となる木型や金型を製作し、それを基に砂と粘土を混ぜた鋳型を作る。鋳型の内側には「紋様押し」によってあられ紋や桜紋などの伝統的な模様を施す。鋳型を乾燥・焼成した後、約1500度で溶かした銑鉄を流し込む。冷却後に型を割って取り出し、バリ取りや表面の仕上げを行う。最後に「金気止め」と呼ばれる800度前後での焼成処理を施し、漆や茶汁で着色して酸化被膜を形成させる。この工程により、独特の風合いと錆びにくさが生まれる。
Process
制作工程
全6工程
- 1
型製作
木型や金型で原型を作り、砂と粘土を混ぜた鋳物砂で鉄瓶や急須などの鋳型を成形する
- 2
紋様押し
鋳型の内側にあられ紋や桜紋などの伝統的な模様を専用の押し型で一つ一つ丁寧に押して施す
- 3
鋳型焼成
完成した鋳型を十分に乾燥させた後、高温で焼き固めて溶けた鉄に耐えられる強度を持たせる
- 4
鋳込み
銑鉄を約1500度の高温で溶解し、焼成した鋳型に溶湯を流し込んで鋳造する
- 5
型出し仕上げ
冷却後に鋳型を割って製品を取り出し、バリ取りや表面のやすり掛けなど丁寧な仕上げ作業を行う
- 6
金気止め
800度前後で焼成処理を施した後、漆や茶汁で着色して酸化被膜を形成させ錆びにくい表面にする
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
菊地 正美
伝統工芸士
菊地鋳造工房
岩手県奥州市水沢に生まれ、南部鉄器の鋳物師として50年以上のキャリアを持つ。砂鋳型による伝統的な製法を守りながら、鉄瓶や茶の湯釜を中心に制作。その作品は繊細な肌模様と端正な形状で高く評価され、数々の伝統工芸展で受賞を重ねている。
制作哲学
鉄は使い込むほどに味わいを増す素材。百年後も愛される鉄器を作ることが職人の本懐です。
“鉄瓶で沸かした湯のまろやかさは、鉄と人の長い付き合いが生んだ奇跡です。
佐々木 陽介
若手作家
佐々木鉄工房
岩手県盛岡市出身。プロダクトデザインを学んだ後、南部鉄器の奥深さに魅了され鋳物の道へ。伝統的な鉄瓶の技法を学びつつ、カラフルな急須やモダンなデザインの鉄鍋など、海外市場も視野に入れた製品開発を手がけている。
制作哲学
400年の伝統が裏付ける南部鉄器の品質を、世界中の食卓に届けたい。
“南部鉄器の重みは、歴史の重み。その重さを誇りに思える職人でありたい。
FAQ
よくある質問
南部鉄器とは何ですか?▼
岩手県で作られる鋳鉄製品。鉄瓶や急須が代表的で独特の風合いが特徴。
南部鉄器の産地はどこですか?▼
南部鉄器は岩手県で生産されている金工品です。
南部鉄器の技法・特徴は?▼
南部鉄器の製造は、まず原型となる木型や金型を製作し、それを基に砂と粘土を混ぜた鋳型を作る。鋳型の内側には「紋様押し」によってあられ紋や桜紋などの伝統的な模様を施す。鋳型を乾燥・焼成した後、約1500度で溶かした銑鉄を流し込む。冷却後に型を割って取り出し、バリ取りや表面の仕上げを行う。最後に「金気止め」と呼ばれる800度前後での焼成処理を施し、漆や茶汁で着色して酸化被膜を形成させる。この工程により、独特の風合いと錆びにくさが生まれる。
南部鉄器はどこで購入・体験できますか?▼
岩手県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。岩手県の工芸品については岩手県の伝統工芸品一覧もご覧ください。