織物
与那国織
よなぐにおり
沖縄県与那国島で織られる織物。花織やドゥタティなど多彩な技法を持つ。
History
歴史
与那国織は沖縄県与那国島で生まれた織物で、その起源は約500年前に遡る。琉球王府時代には貢納布として織られ、島の女性たちが厳しい賦課制度のもとで技術を磨き上げた。与那国島は日本最西端の孤島であり、外部との交流が限られる中で独自の織物文化が育まれた。明治以降、貢納制度の廃止とともに一時衰退の危機に瀕したが、地元の織り手たちの懸命な努力により伝統が守られてきた。1987年に国の伝統的工芸品に指定され、与那国花織、与那国ドゥタティ、与那国シダディなど多彩な織物が今日まで継承されている。島の過酷な自然環境と歴史が生んだ貴重な織物遺産である。
Technique
技法
与那国織は木綿や絹を素材とし、島に自生する植物による染色と手織りを基本とする。代表的な与那国花織は、経糸を浮かせて花模様を織り出す技法で、幾何学的な紋様が特徴である。ドゥタティは経縞の美しい織物であり、シダディは緯糸を浮かせて模様を表現する技法を用いる。染料にはフクギの黄色、車輪梅の茶褐色、琉球藍の藍色など島の天然素材を使用し、糸の精練から染色、整経、機織りまで全工程を手作業で行う。地機や高機を使い分けて丹念に織り上げ、島の風土を映す素朴で美しい布に仕上げる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
糸の精練
木綿や絹の原糸を灰汁や石鹸液で丁寧に煮沸して油脂や不純物を除去し、染料が均一に染まる状態に整える
- 2
天然染色
フクギの黄色、車輪梅の茶褐色、琉球藍の藍色など島の植物から抽出した染料で糸を繰り返し浸染する
- 3
媒染
染色した糸を媒染液に浸して色を定着させ、堅牢で深みのある色合いを実現して洗濯にも耐える発色にする
- 4
整経
染め上がった糸を所定の本数と長さに揃えて経糸を準備し、織物の幅と模様に合わせて正確に配列する
- 5
機掛け
整経した経糸を地機や高機に掛け、綜絖や筬を通して花織やドゥタティなどの織り模様に応じた準備を行う
- 6
手織り
経糸を浮かせて花模様を織り出す花織や、緯糸で模様を表現するシダディなどの技法で一段ずつ丹念に織り進める
- 7
仕上げ
織り上がった布を機から外し、湯通しや幅出しを行って島の風土を映す素朴で美しい与那国織に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
田島 ハル
伝統工芸士
田島織物工房
1949年沖縄県与那国町生まれ。与那国島に古くから伝わる織物を祖母から学び、花織や縞織の技法を継承してきた。与那国花織の複雑な紋様を正確に再現する技術は島内随一で、沖縄県指定無形文化財の保持者でもある。
制作哲学
与那国織は日本最西端の島で女性たちが守り続けてきた祈りの織物である。一本一本の糸に島の暮らしと心が込められている。
“機を織る音は、与那国の海風と調和する島のリズムそのものです。
外間 七海
若手作家
1996年沖縄県那覇市生まれ。琉球大学で文化人類学を学ぶ中で与那国織に出会い、卒業後に与那国島に移住して技術を学んだ。島の植物を用いた草木染めと伝統的な花織の技法を組み合わせ、現代のファッションに合う織物を制作している。
制作哲学
日本最西端の小さな島で受け継がれてきた織の技を、島の外にも届けたい。与那国の風と光を布に織り込みたい。
“与那国の夕日の色を糸に染め、島の記憶を織物に残していきたいと思っています。
FAQ
よくある質問
与那国織とは何ですか?▼
沖縄県与那国島で織られる織物。花織やドゥタティなど多彩な技法を持つ。
与那国織の産地はどこですか?▼
与那国織は沖縄県で生産されている織物です。
与那国織の技法・特徴は?▼
与那国織は木綿や絹を素材とし、島に自生する植物による染色と手織りを基本とする。代表的な与那国花織は、経糸を浮かせて花模様を織り出す技法で、幾何学的な紋様が特徴である。ドゥタティは経縞の美しい織物であり、シダディは緯糸を浮かせて模様を表現する技法を用いる。染料にはフクギの黄色、車輪梅の茶褐色、琉球藍の藍色など島の天然素材を使用し、糸の精練から染色、整経、機織りまで全工程を手作業で行う。地機や高機を使い分けて丹念に織り上げ、島の風土を映す素朴で美しい布に仕上げる。
与那国織はどこで購入・体験できますか?▼
沖縄県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。沖縄県の工芸品については沖縄県の伝統工芸品一覧もご覧ください。