金工品
越前打刃物
えちぜんうちはもの
福井県越前市で生産される刃物。二枚広げの技法による鎌や包丁が特徴。
History
歴史
越前打刃物は福井県越前市(旧武生市)で生産される伝統的な刃物である。その歴史は南北朝時代の1337年に遡り、京都の刀匠・千代鶴国安が刀剣製作に適した土地を求めて越前に移住し、農民のために鎌を作ったことが始まりとされる。以来700年近い伝統を持ち、江戸時代には越前藩の保護のもと鎌、包丁、鉈などの生産で全国有数の刃物産地に成長した。1979年に刃物産地としては全国で初めて伝統的工芸品に指定された。現在は伝統技法を活かした包丁が国内外で高い評価を得ている。
Technique
技法
越前打刃物の製造は「二枚広げ」と呼ばれる独自の技法が特徴である。二枚の鋼材を重ねて同時に鍛造し、一度に二枚の刃物素材を作り出す効率的な技法で、越前独自のものである。鍛造工程では、軟鉄に鋼を鍛接し、約1000度の高温で繰り返し打ち延ばす。火造り後は焼入れで刃先に硬度を与え、焼戻しで粘り強さを調整する。研ぎの工程では回転砥石と手研ぎを組み合わせ、鋭利な刃先を実現する。伝統的な両刃仕上げが越前打刃物の特徴であり、野菜切りに適した形状が多い。
Process
制作工程
全7工程
- 1
鋼材準備
軟鉄と鋼を用意し、越前独自の二枚広げ技法のために二枚の鋼材を重ねて準備する
- 2
鍛接
軟鉄に鋼を合わせて火床で約1000度に加熱し、鍛接によって異なる金属を強固に一体化させる
- 3
二枚広げ
二枚の鋼材を重ねて同時に鍛造し、一度に二枚の刃物素材を効率よく打ち延ばす越前独自の技法を行う
- 4
火造り成形
繰り返しの加熱と鍛造で刃物の形状を整え、伝統的な両刃の形に仕上げていく
- 5
焼入れ
成形した刃物を適温に加熱後に急冷し、刃先に硬度を与えて切れ味の基礎を作り出す
- 6
焼戻し
焼入れ後に低温で再加熱して粘り強さを調整し、使用時に欠けにくいバランスの良い刃物にする
- 7
研ぎ仕上げ
回転砥石と手研ぎを組み合わせて両刃の刃先を鋭利に研ぎ上げ、野菜切りに適した切れ味に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
加藤 政雄
伝統工芸士
加藤刃物鍛冶
福井県越前市に生まれ、700年の歴史を持つ越前打刃物の技を継承する鍛冶師。二枚広げの独自技法による包丁や鎌の制作に定評があり、その切れ味と美しい刃文は全国的に高い評価を得ている。伝統工芸士として45年以上のキャリアを持ち、越前打刃物の振興に尽力。
制作哲学
越前打刃物の二枚広げの技法は、700年の知恵の結晶。この唯一無二の技を後世に伝えることが使命です。
“一本の鋼から二丁の包丁を打ち出す。この技法に出会えたことが、私の職人人生最大の幸運です。
山田 航
若手作家
山田刃物製作所
福井県越前市出身。大学でデザインを学んだ後、地元の刃物産業に魅力を感じてUターン。越前打刃物の伝統的な鍛造技術を学びながら、現代のキッチンに合うデザイン性の高い包丁や、アウトドア用刃物のブランド展開に取り組んでいる。
制作哲学
越前打刃物の機能美を、現代のデザイン感覚で再解釈したい。伝統の技が生む切れ味は最大の武器です。
“700年の歴史を背負って鉄を打つ。そのプレッシャーが、良い刃物を生む原動力になっています。
FAQ
よくある質問
越前打刃物とは何ですか?▼
福井県越前市で生産される刃物。二枚広げの技法による鎌や包丁が特徴。
越前打刃物の産地はどこですか?▼
越前打刃物は福井県で生産されている金工品です。
越前打刃物の技法・特徴は?▼
越前打刃物の製造は「二枚広げ」と呼ばれる独自の技法が特徴である。二枚の鋼材を重ねて同時に鍛造し、一度に二枚の刃物素材を作り出す効率的な技法で、越前独自のものである。鍛造工程では、軟鉄に鋼を鍛接し、約1000度の高温で繰り返し打ち延ばす。火造り後は焼入れで刃先に硬度を与え、焼戻しで粘り強さを調整する。研ぎの工程では回転砥石と手研ぎを組み合わせ、鋭利な刃先を実現する。伝統的な両刃仕上げが越前打刃物の特徴であり、野菜切りに適した形状が多い。
越前打刃物はどこで購入・体験できますか?▼
福井県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福井県の工芸品については福井県の伝統工芸品一覧もご覧ください。