織物
宮古上布
みやこじょうふ
沖縄県宮古島で生産される麻織物。極めて細い苧麻糸と精緻な絣が特徴。
History
歴史
宮古上布は沖縄県宮古島で織られる日本最高級の麻織物のひとつで、約400年の歴史を持つ。1583年、下地真栄の妻・稲石刀自が夫の功績を喜んで見事な布を織り、琉球王府に献上したのが始まりとされる。琉球王府時代には過酷な人頭税の貢納布として、島の女性たちが極限の労働のもとで極めて精緻な布を織ることを強いられた。「東の越後(越後上布)、西の宮古」と並び称される日本を代表する上布であり、その品質は他に比類がないとされる。1978年に国の重要無形文化財に指定されたが、高齢化により織り手は年々減少し、存続が危ぶまれている。
Technique
技法
宮古上布は苧麻の繊維を手績みした極細の糸を用い、精緻な絣模様を織り出す麻織物である。苧麻の繊維を爪で極限まで細く裂き、「苧績み(ブーウミ)」で一本一本繋いで糸にする。一反分の糸を績むだけで数ヶ月を要するほどの途方もない作業である。藍染めを基調とし、手括りで緻密な絣模様を防染する。高機で織り上げた後、糊を付けて木槌で根気よく布を叩く「砧打ち」を行うことで、麻とは思えないほどの絹のような光沢としなやかさが生まれる。一反の完成に半年から一年以上を要する、まさに至高の織物である。
Process
制作工程
全6工程
- 1
苧績み
苧麻の繊維を爪で極限まで細く裂き、「ブーウミ」で一本一本繋いで極細の糸にする。一反分に数ヶ月を要する
- 2
絣括り
図案に基づき糸の所定位置を手括りで緻密に防染し、精緻な絣模様を生み出すための準備を行う
- 3
藍染め
藍を基調として括った糸を繰り返し浸染し、括り部分を白く残しながら深い藍色に染め上げる
- 4
整経
染め上がった極細の糸を所定の本数と配列に整え、高機に仕掛けるための経巻きと綜絖通しを行う
- 5
手織り
高機を使い、極細の経糸と緯糸の絣模様を一段ずつ正確に合わせながら気の遠くなるほど丹念に織り上げる
- 6
砧打ち
織り上がった布に糊を付けて木槌で根気よく叩く砧打ちを行い、麻とは思えない絹のような光沢としなやかさを与える
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
砂川 ヨシ
伝統工芸士
砂川織物工房
沖縄県宮古島市に生まれ、苧麻の手績み糸による宮古上布の制作に五十年以上従事。極めて細い糸で織られる精緻な絣模様と、砧打ちによる光沢のある仕上がりで知られる。重要無形文化財の技術保持団体の一員として技の伝承に尽力している。
制作哲学
宮古上布の薄さと軽さは、宮古島の暑い風土が求めたもの。自然が必要としたものを、人の手で形にする——それが工芸の原点である。
“「一反の宮古上布に半年以上かかる。でも、その時間が布の値打ちなのです。」
下地 航平
若手作家
宮古島出身。大学で琉球文化を研究した後、島に戻り宮古上布の制作を志す。男性の織り手として希少な存在であり、苧麻の栽培改良にも取り組みながら、伝統的な紺地の宮古上布を忠実に制作している。
制作哲学
宮古上布は島の誇り。作り手が途絶えれば、島の歴史の一部が失われる。だからこそ、この技術を次の世代へつなぐ。
“「男だから織れない、なんてことはない。大切なのは、この布を未来に残したいという気持ちです。」
FAQ
よくある質問
宮古上布とは何ですか?▼
沖縄県宮古島で生産される麻織物。極めて細い苧麻糸と精緻な絣が特徴。
宮古上布の産地はどこですか?▼
宮古上布は沖縄県で生産されている織物です。
宮古上布の技法・特徴は?▼
宮古上布は苧麻の繊維を手績みした極細の糸を用い、精緻な絣模様を織り出す麻織物である。苧麻の繊維を爪で極限まで細く裂き、「苧績み(ブーウミ)」で一本一本繋いで糸にする。一反分の糸を績むだけで数ヶ月を要するほどの途方もない作業である。藍染めを基調とし、手括りで緻密な絣模様を防染する。高機で織り上げた後、糊を付けて木槌で根気よく布を叩く「砧打ち」を行うことで、麻とは思えないほどの絹のような光沢としなやかさが生まれる。一反の完成に半年から一年以上を要する、まさに至高の織物である。
宮古上布はどこで購入・体験できますか?▼
沖縄県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。沖縄県の工芸品については沖縄県の伝統工芸品一覧もご覧ください。