喜如嘉の芭蕉布

織物

喜如嘉の芭蕉布

きじょかのばしょうふ

沖縄県

沖縄県大宜味村喜如嘉で糸芭蕉の繊維から織られる軽やかな織物。

History

歴史

喜如嘉の芭蕉布は沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉で織られる植物繊維の織物で、約600年以上の歴史を持つとされる。糸芭蕉の繊維で織るこの布は琉球王府時代には王族から庶民まで身分を問わず広く用いられ、高温多湿な沖縄の風土に最も適した衣料であった。明治以降、洋装化と近代化の波により衰退の危機に瀕したが、人間国宝・平良敏子氏が戦後まもなくから芭蕉布の復興に生涯をかけて取り組み、技術を後世に伝えた。1974年に国の重要無形文化財に指定され、糸芭蕉の栽培から繊維の採取、糸績み、染色、機織りまで一貫して手作業で行われる沖縄を代表する布として、国内外で高く評価されている。

Technique

技法

喜如嘉の芭蕉布は糸芭蕉(バナナの近縁種)の繊維を原料とする。三年以上育てた糸芭蕉の偽茎を切り倒し、一枚ずつ外皮を剥いで内側の繊維を取り出す。繊維は質によって「上芭蕉」「中芭蕉」「下芭蕉」に選別され、最も細く上質な上芭蕉が着尺地に用いられる。繊維を爪先で極めて細く裂き、一本一本結んで繋ぐ「苧績み(うーうみ)」で長い糸を作る。木灰の灰汁で煮て繊維を柔らかくした後、琉球藍や車輪梅、フクギなどの天然染料で染色し、高機で手織りする。軽く通気性に優れ、独特の張りとしなやかさを持つ布に仕上がる。

Process

制作工程

7工程

  1. 1

    原料採取

    三年以上育てた糸芭蕉の偽茎を切り倒し、一枚ずつ外皮を剥いで内側の繊維を取り出して品質ごとに選別する

  2. 2

    繊維選別

    取り出した繊維を上芭蕉・中芭蕉・下芭蕉に選別し、最も細く上質な上芭蕉を着尺地用に、それ以外を帯や雑用に振り分ける

  3. 3

    苧績み

    選別した繊維を爪先で極めて細く裂き、一本一本結んで繋ぐ「苧績み(うーうみ)」で長い糸を作る気の遠くなる手作業を行う

  4. 4

    灰汁煮

    績んだ糸を木灰の灰汁で煮て繊維を柔軟にし、織りやすくするとともに染料の浸透を良くする下処理を施す

  5. 5

    染色

    琉球藍、車輪梅、フクギなどの天然染料で糸を繰り返し染め上げ、芭蕉布特有の自然な色合いに仕上げる

  6. 6

    手織り

    高機に経糸を張り、染め上がった芭蕉糸の緯糸を手で一段ずつ通しながら丁寧に平織りで織り上げていく

  7. 7

    仕上げ

    織り上がった布を水洗いして糊を落とし、天日で乾燥させて軽く通気性に優れた独特の張りのある布に仕上げる

Artisans

この工芸を紡ぐ人々

平良 トシ

伝統工芸士

沖縄県大宜味村喜如嘉に生まれ、芭蕉布の全工程——糸芭蕉の栽培、繊維の採取、糸績み、染色、織り——を六十年以上にわたり一貫して行ってきた。人間国宝・平良敏子に師事し、芭蕉布の技術保存と伝承に生涯を捧げている。

制作哲学

芭蕉布は三年かけて育てた糸芭蕉から生まれる。自然の時間を尊び、急がず丁寧に仕事をすることが最も大切である。

「芭蕉布は沖縄の風を纏う布。この布を織り続けることが、私の生きる意味です。」

山城 志保

若手作家

沖縄県名護市出身。琉球大学で植物学を専攻した後、喜如嘉の芭蕉布会館で研修を受ける。糸芭蕉の栽培技術と織りの技術の両方に精通し、科学的知見を活かした繊維の品質管理にも取り組んでいる。

制作哲学

芭蕉布は自然素材の究極の姿。植物を育てるところから布になるまで、すべてに関わることで見えてくる美しさがある。

「糸芭蕉を育てる畑に立つと、織物はまず農業なのだと実感します。」

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FAQ

よくある質問

喜如嘉の芭蕉布とは何ですか?

沖縄県大宜味村喜如嘉で糸芭蕉の繊維から織られる軽やかな織物。

喜如嘉の芭蕉布の産地はどこですか?

喜如嘉の芭蕉布沖縄県で生産されている織物です。

喜如嘉の芭蕉布の技法・特徴は?

喜如嘉の芭蕉布は糸芭蕉(バナナの近縁種)の繊維を原料とする。三年以上育てた糸芭蕉の偽茎を切り倒し、一枚ずつ外皮を剥いで内側の繊維を取り出す。繊維は質によって「上芭蕉」「中芭蕉」「下芭蕉」に選別され、最も細く上質な上芭蕉が着尺地に用いられる。繊維を爪先で極めて細く裂き、一本一本結んで繋ぐ「苧績み(うーうみ)」で長い糸を作る。木灰の灰汁で煮て繊維を柔らかくした後、琉球藍や車輪梅、フクギなどの天然染料で染色し、高機で手織りする。軽く通気性に優れ、独特の張りとしなやかさを持つ布に仕上がる。

喜如嘉の芭蕉布はどこで購入・体験できますか?

沖縄県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。沖縄県の工芸品については沖縄県の伝統工芸品一覧もご覧ください。