金工品
大阪浪華錫器
おおさかなにわすずき
大阪で生産される錫製品。酒器や茶器など錫の特性を活かした器が代表的。
History
歴史
大阪浪華錫器は、約200年の歴史を持つ錫製品の伝統工芸品である。錫器自体は奈良時代に中国から伝来し、正倉院にも錫製の宝物が収蔵されている。大阪では江戸時代後期に錫器製造が盛んとなり、「天下の台所」と呼ばれた商都の文化と結びついて発展した。茶器、酒器、花器などが作られ、大阪の町人文化を支えた。錫の持つ優れたイオン効果により酒の味がまろやかになるとされ、酒器として特に珍重された。1983年に伝統的工芸品に指定され、現在も大阪の職人が手作りで製作を続けている。
Technique
技法
大阪浪華錫器の製造は、純度の高い錫を主原料とする。まず錫を約230度で溶解し、鋳型に流し込んで素地を作る。鋳造後、ろくろに取り付けて回転させながら、鉋(かんな)で削り出して形を整える「挽き物」技法が中心である。錫は柔らかい金属のため、熟練した力加減が求められる。表面の仕上げでは、細かいヤスリやヘラを用いて模様を施す。錫は抗菌性に優れ、熱伝導率が高いという特性を持つ。溶接にはハンダではなく錫自体を用いる「共付け」技法が伝統的に行われている。
Process
制作工程
全6工程
- 1
錫溶解
純度の高い錫を約230度で溶かし、不純物を取り除いた清浄な溶湯を準備する
- 2
鋳造
溶解した錫を鋳型に流し込み、茶筒や酒器などの製品に応じた形状の素地を鋳造する
- 3
挽き加工
鋳造した素地をろくろに取り付けて回転させ、鉋で削り出しながら器の形状と厚みを精密に整える
- 4
共付け接合
ハンダではなく錫自体を溶接材として用いる伝統の共付け技法で、部品同士を接合する
- 5
模様付け
細かいヤスリやヘラを用いて表面に装飾的な模様を施し、錫器としての美しさを表現する
- 6
仕上げ研磨
表面を丹念に磨き上げて錫特有の柔らかな光沢を引き出し、滑らかな手触りの器に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
西村 善三
四代目
西村錫器製作所
大阪市に生まれ、曾祖父の代から続く錫器製造の家業を継承。錫の鋳造から鍛金、仕上げの磨きまで一貫した手作業による制作を40年以上続けている。錫のイオン効果でお酒がまろやかになる酒器や茶器で特に高い評価を受け、伝統工芸展で多数受賞。
制作哲学
錫は人肌に近い温もりを持つ金属。その優しさを器に込めて、使う人の暮らしを豊かにしたい。
“錫器で飲むお酒は格別です。それは金属でありながら人の手の温もりが伝わるからでしょう。
吉田 真由
若手作家
吉田錫工房
大阪府出身。金属工芸を学んだ後、錫という素材の柔らかさと加工のしやすさに魅了され、浪華錫器の工房で修業。伝統的な酒器に加え、アロマディフューザーや花器など、現代のインテリアに溶け込む錫製品のデザインを手がけている。
制作哲学
手で曲げられるほど柔らかい錫は、使い手と一緒に形を変えていく金属。その自由さが錫器の最大の魅力です。
“錫器は使うほどに表情が変わる。育てる楽しみがある器なのです。
FAQ
よくある質問
大阪浪華錫器とは何ですか?▼
大阪で生産される錫製品。酒器や茶器など錫の特性を活かした器が代表的。
大阪浪華錫器の産地はどこですか?▼
大阪浪華錫器は大阪府で生産されている金工品です。
大阪浪華錫器の技法・特徴は?▼
大阪浪華錫器の製造は、純度の高い錫を主原料とする。まず錫を約230度で溶解し、鋳型に流し込んで素地を作る。鋳造後、ろくろに取り付けて回転させながら、鉋(かんな)で削り出して形を整える「挽き物」技法が中心である。錫は柔らかい金属のため、熟練した力加減が求められる。表面の仕上げでは、細かいヤスリやヘラを用いて模様を施す。錫は抗菌性に優れ、熱伝導率が高いという特性を持つ。溶接にはハンダではなく錫自体を用いる「共付け」技法が伝統的に行われている。
大阪浪華錫器はどこで購入・体験できますか?▼
大阪府の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。大阪府の工芸品については大阪府の伝統工芸品一覧もご覧ください。