織物
知花花織
ちばなはなおり
沖縄県沖縄市知花で織られる花織。経浮花織と緯浮花織の技法が特徴。
History
歴史
知花花織は沖縄県沖縄市の知花地区に古くから伝わる織物で、約300年以上の歴史を持つとされる。琉球王国時代に知花の女性たちにより織り始められ、主に旗頭の飾り布や地域の祭祀に用いる衣装として大切にされてきた。しかし明治以降の社会変動の中で次第に織る人がいなくなり、一時は完全に途絶えかけた。その後、地域の有志が古老の記憶や寺院に残された古布の断片をもとに、長年にわたる調査と試行錯誤を経て復元に成功した。地域の保存会の献身的な努力により技術が蘇り、2012年に国の伝統的工芸品に指定された。沖縄本島中部に固有の花織として文化的に貴重な織物である。
Technique
技法
知花花織は経浮花織と緯浮花織の二つの技法を持つ。経浮花織は経糸を長く浮かせて模様を織り出す技法で、布の裏面に長い浮き糸が渡るのが特徴である。この経浮花織は沖縄県内でも知花地区にのみ伝承される極めて稀少な技法であり、知花花織の最大の独自性をなす。緯浮花織は緯糸を浮かせて花模様を表す技法で、他の沖縄の花織と共通する要素を持つ。素材は絹や木綿を用い、琉球藍やフクギ、車輪梅などの天然染料で染色する。高機に花綜絖を加えた特殊な構成の織機を使い、複雑な模様を一段一段丁寧に織り上げていく。
Process
制作工程
全6工程
- 1
図案設計
経浮花織または緯浮花織の技法を選択し、花模様の配置と配色を設計して組織図を作成する
- 2
染色
絹や木綿の糸を琉球藍、フクギ、車輪梅などの天然染料で繰り返し浸染し、鮮やかな色彩に染め上げる
- 3
整経
染め上がった経糸を所定の本数と配列に整え、花綜絖を加えた特殊な構成の高機に仕掛ける準備を行う
- 4
花綜絖準備
通常の綜絖に加えて花模様専用の花綜絖を設置し、経糸または緯糸を浮かせる特殊な織り構成を整える
- 5
花織り
経浮花織では経糸を長く浮かせ、緯浮花織では緯糸を浮かせて立体的な花模様を一段一段丁寧に手織りする
- 6
仕上げ
織り上がった反物を湯通しして糊を落とし、花模様の立体感と裏面の浮き糸の状態を検反して製品に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
島袋 ハル
伝統工芸士
知花花織事業協同組合工房
沖縄県沖縄市知花に生まれ、一度途絶えかけた知花花織の復興に中心的な役割を果たした職人。古い布の分析から技法を解読し、縫取花織と浮花織の技術を復元。四十年以上にわたり知花花織の制作と伝承に生涯を捧げてきた。
制作哲学
一度は失われかけた技を蘇らせた責任がある。知花の花織を二度と途絶えさせてはならない——その一心で織り続ける。
“「古い布の一枚一枚が先人からの手紙でした。その技法を読み解く作業は、まるで暗号解読のようでした。」
新垣 千夏
若手作家
花織工房 ちなつ
沖縄県沖縄市出身。知花花織の復興の歴史に感銘を受け、地元で技法を学ぶ。伝統的な祭祀用の花織に加え、日常使いのバッグや名刺入れなど小物の制作にも取り組み、知花花織の認知度向上に努めている。
制作哲学
復興された伝統を次の世代に渡すためには、日常の中に花織を根付かせることが大切だと思う。
“「知花花織は一度消えかけた技。だからこそ、私たちの世代が絶やしてはいけないのです。」
FAQ
よくある質問
知花花織とは何ですか?▼
沖縄県沖縄市知花で織られる花織。経浮花織と緯浮花織の技法が特徴。
知花花織の産地はどこですか?▼
知花花織は沖縄県で生産されている織物です。
知花花織の技法・特徴は?▼
知花花織は経浮花織と緯浮花織の二つの技法を持つ。経浮花織は経糸を長く浮かせて模様を織り出す技法で、布の裏面に長い浮き糸が渡るのが特徴である。この経浮花織は沖縄県内でも知花地区にのみ伝承される極めて稀少な技法であり、知花花織の最大の独自性をなす。緯浮花織は緯糸を浮かせて花模様を表す技法で、他の沖縄の花織と共通する要素を持つ。素材は絹や木綿を用い、琉球藍やフクギ、車輪梅などの天然染料で染色する。高機に花綜絖を加えた特殊な構成の織機を使い、複雑な模様を一段一段丁寧に織り上げていく。
知花花織はどこで購入・体験できますか?▼
沖縄県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。沖縄県の工芸品については沖縄県の伝統工芸品一覧もご覧ください。