越後与板打刃物

金工品

越後与板打刃物

えちごよいたうちはもの

新潟県

新潟県長岡市与板で生産される刃物。鉋や鑿など木工用刃物が中心。

History

歴史

越後与板打刃物は新潟県長岡市与板地区で生産される伝統的な大工道具である。戦国時代の16世紀、上杉謙信の家臣が与板城下に鍛冶職人を招いたことが起源とされる。江戸時代には良質な鉋(かんな)と鑿(のみ)の産地として全国に知られるようになり、「与板の鉋に三条の鑿」と並び称された。与板の鍛冶は農閑期の副業として発展し、家内工業の形態で技術が受け継がれてきた。1986年に伝統的工芸品に指定され、現在も少数の職人が最高品質の大工道具を製作し続けている。

Technique

技法

越後与板打刃物は、鉋と鑿に特化した専門性の高い製造技法が特徴である。鉋の製造では、地金となる極軟鋼に安来鋼の白紙または青紙鋼を鍛接する。火造りでは700〜900度に加熱しながら刃の厚みや幅を精密に調整する。焼入れは水焼きで行い、刃先から背にかけて硬度の勾配を生み出す「差し焼き」が特徴である。裏の精度が仕上がりを決定するため、裏出しと裏押しには細心の注意を払う。最終研磨では天然の仕上げ砥石を用い、鏡面に近い刃先を実現する。削り肌の美しさを生む切れ味が与板の刃物の真髄である。

Process

制作工程

6工程

  1. 1

    鋼材選定

    地金の極軟鋼と安来鋼の白紙または青紙鋼を用意し、鉋や鑿に最適な組み合わせを選定する

  2. 2

    鍛接

    極軟鋼に安来鋼を合わせて火床で加熱し、鍛接によって二種の金属を強固に一体化させる

  3. 3

    火造り

    700〜900度に加熱しながら鎚で打ち延ばし、鉋や鑿の刃の厚みや幅を精密に調整して成形する

  4. 4

    差し焼入れ

    水焼きにより刃先から背にかけて硬度の勾配を生み出す差し焼きの技法で焼入れを行う

  5. 5

    裏出し

    裏の精度が仕上がりを決定するため、裏出しと裏押しに細心の注意を払い平面精度を追求する

  6. 6

    仕上げ研磨

    天然の仕上げ砥石を用いて鏡面に近い刃先まで研ぎ上げ、木材の削り肌を美しくする切れ味を実現する

Artisans

この工芸を紡ぐ人々

星野 正太郎

伝統工芸士

星野鍛冶工房

新潟県長岡市与板地区に生まれ、鉋と鑿を専門とする打刃物職人として45年以上のキャリアを持つ。越後与板の鉋は「天下の与板」と称されるほどの品質で知られ、その伝統を守る第一人者として全国の大工職人から厚い信頼を寄せられている。

制作哲学

鉋の仕上がりは千分の一ミリの世界。その精度を手仕事で追求することが、与板の職人の矜持です。

与板の鉋で引いた鉋屑が透けて向こうが見える。その薄さこそが技の証です。

小川 駿

若手作家

新潟県長岡市出身。木工家具の制作を学ぶ中で道具の重要性を痛感し、越後与板の打刃物職人のもとで修業を始めた。使い手としての経験を活かし、木工愛好家にも扱いやすい鉋や鑿の開発に取り組んでいる。オンラインでの情報発信にも力を入れている。

制作哲学

良い手道具は、木と対話する喜びを教えてくれる。その入り口を広げる道具を作りたい。

自分が木工で感じた道具の喜びを、もっと多くの人に知ってほしい。

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FAQ

よくある質問

越後与板打刃物とは何ですか?

新潟県長岡市与板で生産される刃物。鉋や鑿など木工用刃物が中心。

越後与板打刃物の産地はどこですか?

越後与板打刃物新潟県で生産されている金工品です。

越後与板打刃物の技法・特徴は?

越後与板打刃物は、鉋と鑿に特化した専門性の高い製造技法が特徴である。鉋の製造では、地金となる極軟鋼に安来鋼の白紙または青紙鋼を鍛接する。火造りでは700〜900度に加熱しながら刃の厚みや幅を精密に調整する。焼入れは水焼きで行い、刃先から背にかけて硬度の勾配を生み出す「差し焼き」が特徴である。裏の精度が仕上がりを決定するため、裏出しと裏押しには細心の注意を払う。最終研磨では天然の仕上げ砥石を用い、鏡面に近い刃先を実現する。削り肌の美しさを生む切れ味が与板の刃物の真髄である。

越後与板打刃物はどこで購入・体験できますか?

新潟県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。新潟県の工芸品については新潟県の伝統工芸品一覧もご覧ください。