織物
南風原花織
はえばるはなおり
沖縄県南風原町で織られる花織。色鮮やかな浮き柄模様が特徴の織物。
History
歴史
南風原花織は沖縄県島尻郡南風原町に伝わる織物で、琉球王国時代から続く長い歴史を持つ。南風原は「かすりの里」とも呼ばれ、古くから織物が盛んな地域であった。王府時代には貴族や士族の衣装として用いられた格調高い織物であり、特に花織の技法は高い評価を受けていた。明治以降も技術が途切れることなく受け継がれ、南風原の女性たちにより守られてきた。琉球絣の主要産地としても知られるが、花織はその中でもとりわけ華やかで技巧的な織物として位置づけられる。2017年に国の伝統的工芸品に指定され、沖縄の織物文化を支える重要な存在として注目を集めている。
Technique
技法
南風原花織は経糸または緯糸を浮かせて立体的な花模様を織り出す浮織技法が最大の特徴である。「花織」とは糸を浮かせて模様を表現する織りの総称で、南風原ではクワンクワン花織(緯浮花織)、タッチリー(表裏両面に花模様が出る両面浮花織)、ヤシラミ花織など多様な技法が伝わっている。素材は絹や木綿を用い、琉球藍、フクギ、車輪梅、グールなどの天然染料で糸を染色する。高機を使い、花綜絖と呼ばれる模様専用の綜絖を通常の綜絖に加えて設置し、複雑な浮き模様を一段一段手作業で丁寧に織り上げていく。
Process
制作工程
全6工程
- 1
図案設計
クワンクワン花織やタッチリーなどの技法を選択し、花模様の配置と配色を設計して組織図を作成する
- 2
染色
絹や木綿の糸を琉球藍、フクギ、車輪梅、グールなどの天然染料で繰り返し染め上げ、鮮やかな色彩に仕上げる
- 3
整経
染め上がった経糸を所定の本数と配列に整え、高機に仕掛けるための経巻きと綜絖通しの作業を行う
- 4
花綜絖準備
通常の綜絖に加えて花綜絖と呼ばれる模様専用の綜絖を設置し、浮き模様を織り出すための特殊な構成を整える
- 5
花織り
経糸または緯糸を浮かせて立体的な花模様を一段一段手作業で丁寧に織り上げ、両面浮花織などの複雑な技法を駆使する
- 6
仕上げ
織り上がった反物を湯通しして糊を落とし、幅出しと検反を行って花模様の立体感と色彩の仕上がりを確認する
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
平良 貞子
伝統工芸士
平良花織工房
沖縄県南風原町に生まれ、母から花織の技法を受け継ぐ。浮き織りによる立体的な花柄を特徴とし、ロートン織りやチップガサーなど多様な技法を駆使する。四十五年以上の経験を持ち、南風原町の花織伝承活動の中心的存在である。
制作哲学
花織の花は、祈りの花。一つ一つの浮き糸に、身につける人の幸せを願う心を込めて織る。
“「花織の模様は、遠くから見れば華やか、近くで見れば繊細。その二つの顔を持つところが魅力です。」
宮城 里奈
若手作家
花風工房
那覇市出身。南風原町の花織研修制度を経て独立し、伝統的な花織技法に現代的な色使いを取り入れた作品を制作。着物地だけでなく、ストールやタペストリーなど幅広い製品展開で新たな需要を開拓している。
制作哲学
沖縄の光と風を感じる色彩で花織を織りたい。伝統の技と今の感性が出会うところに、新しい美が生まれる。
“「花織は触ると模様が浮き上がって見える。この立体感こそ、他にはない花織の宝物です。」
FAQ
よくある質問
南風原花織とは何ですか?▼
沖縄県南風原町で織られる花織。色鮮やかな浮き柄模様が特徴の織物。
南風原花織の産地はどこですか?▼
南風原花織は沖縄県で生産されている織物です。
南風原花織の技法・特徴は?▼
南風原花織は経糸または緯糸を浮かせて立体的な花模様を織り出す浮織技法が最大の特徴である。「花織」とは糸を浮かせて模様を表現する織りの総称で、南風原ではクワンクワン花織(緯浮花織)、タッチリー(表裏両面に花模様が出る両面浮花織)、ヤシラミ花織など多様な技法が伝わっている。素材は絹や木綿を用い、琉球藍、フクギ、車輪梅、グールなどの天然染料で糸を染色する。高機を使い、花綜絖と呼ばれる模様専用の綜絖を通常の綜絖に加えて設置し、複雑な浮き模様を一段一段手作業で丁寧に織り上げていく。
南風原花織はどこで購入・体験できますか?▼
沖縄県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。沖縄県の工芸品については沖縄県の伝統工芸品一覧もご覧ください。