八重山上布

織物

八重山上布

やえやまじょうふ

沖縄県

沖縄県八重山地方で生産される麻織物。白地に茶色の絣模様が特徴。

History

歴史

八重山上布は沖縄県石垣市を中心とする八重山諸島で織られる麻織物で、約400年以上の歴史を持つ。琉球王府時代には人頭税の貢納布として、島の女性たちが過酷な条件下で精緻な布を織り上げた。その品質の高さは琉球を通じて日本本土にも知られ、「宮古上布」とともに沖縄を代表する上布として珍重された。白地に赤茶色の模様が映える独特の美しさで、南国の風土が生んだ清涼感あふれる夏の織物である。明治以降、人頭税の廃止とともに生産は減少し織り手も激減したが、伝統を守る女性たちの努力が続けられ、1989年に国の伝統的工芸品に指定された。

Technique

技法

八重山上布は苧麻(ちょま)の繊維を手績みして極細の糸を作り、白地に赤茶色の絣模様を織り出す麻織物である。糸は苧麻の茎から取った繊維を爪で細く裂き、結んで繋ぐ手績みの作業で一本一本作られる。染色には紅露(クール)と呼ばれるヤマイモ科の植物の根を擦りおろした汁を用いる。絣は手括りで防染し、高機を使って丁寧に手織りする。織り上がった布は石垣島の海岸で海水に晒して仕上げる「海晒し」が伝統的工程で、海水中のミネラルの作用により布が柔らかくなり、独特の光沢としなやかな風合いが生まれる。

Process

制作工程

6工程

  1. 1

    苧績み

    苧麻の茎から取った繊維を爪で極めて細く裂き、一本一本結んで繋ぐ手績みの作業で長い糸を作る

  2. 2

    絣括り

    図案に基づいて糸の所定の位置を手括りで固く縛り、染色時に防染して白い絣模様を残す準備をする

  3. 3

    紅露染め

    紅露(クール)と呼ばれるヤマイモ科植物の根を擦りおろした汁を絣糸に塗布し、赤茶色の模様を染め付ける

  4. 4

    整経

    染色した経糸を所定の本数と配列に整え、高機に仕掛けるための経巻きと綜絖通しの準備を行う

  5. 5

    手織り

    高機を使い、手績みの苧麻糸を緯糸として一段ずつ丁寧に通しながら白地に赤茶色の絣模様を織り出していく

  6. 6

    海晒し

    織り上がった布を石垣島の海岸で海水に晒し、ミネラルの作用で繊維を柔らかくして独特の光沢としなやかさを与える

Artisans

この工芸を紡ぐ人々

新城 ハツ

伝統工芸士

新城苧麻織物所

沖縄県石垣市に生まれ、苧麻の栽培から糸績み、染色、織りまでの全工程を一人で手がける希少な職人。海晒しの工程にもこだわり、八重山の太陽と潮風を活かした白地の上布を五十年近く織り続けている。

制作哲学

苧麻は八重山の気候が育て、海と太陽が布を仕上げる。人はその間を取り持つだけ。自然への感謝が、上布の白さに宿る。

「海に晒した布が真っ白に輝く瞬間、この仕事をしていて良かったと思うのです。」

金城 真由美

若手作家

石垣島で生まれ育ち、島を離れて沖縄県立芸術大学で染織を専攻。卒業後に島に戻り、八重山上布の技法を改めて学び直す。苧麻の栽培から手がけ、伝統的な絣模様を現代的な感覚で表現している。

制作哲学

苧麻を育てるところから始まる八重山上布は、島の時間そのもの。急がず、丁寧に、自然のリズムで織りたい。

「糸績みは時間がかかる地道な作業ですが、ここにこそ上布の価値があると信じています。」

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FAQ

よくある質問

八重山上布とは何ですか?

沖縄県八重山地方で生産される麻織物。白地に茶色の絣模様が特徴。

八重山上布の産地はどこですか?

八重山上布沖縄県で生産されている織物です。

八重山上布の技法・特徴は?

八重山上布は苧麻(ちょま)の繊維を手績みして極細の糸を作り、白地に赤茶色の絣模様を織り出す麻織物である。糸は苧麻の茎から取った繊維を爪で細く裂き、結んで繋ぐ手績みの作業で一本一本作られる。染色には紅露(クール)と呼ばれるヤマイモ科の植物の根を擦りおろした汁を用いる。絣は手括りで防染し、高機を使って丁寧に手織りする。織り上がった布は石垣島の海岸で海水に晒して仕上げる「海晒し」が伝統的工程で、海水中のミネラルの作用により布が柔らかくなり、独特の光沢としなやかな風合いが生まれる。

八重山上布はどこで購入・体験できますか?

沖縄県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。沖縄県の工芸品については沖縄県の伝統工芸品一覧もご覧ください。