金工品
燕鎚起銅器
つばめついきどうき
新潟県燕市で生産される銅器。一枚の銅板を鎚で打ち起こして成形する技法が特徴。
History
歴史
燕鎚起銅器は新潟県燕市に伝わる銅器の伝統工芸品で、約200年の歴史を持つ。江戸時代後期の1816年頃、仙台の渡り職人・藤七が燕を訪れ、銅板を鎚で打ち起こす「鎚起」の技術を伝えたことに始まる。弥彦山麓の間瀬銅山から産出される銅を原料に、やかんや鍋などの日用品の製造が始まった。明治期には玉川堂の玉川覚兵衛が技術を大きく発展させ、美術工芸品としての地位を確立した。1981年に伝統的工芸品に指定され、現在も手打ちによる銅器製作が続けられている。
Technique
技法
燕鎚起銅器は、一枚の銅板を鎚(つち)で繰り返し打ち起こして成形する「鎚起」技法が特徴である。銅板を当て金の上に置き、数百種類の鎚を使い分けて少しずつ形を作り上げる。銅は打つと硬化するため、約700度での「焼き鈍し」を何度も繰り返しながら成形する。一つの作品に数万回の鎚打ちが必要とされる。表面の着色は硫化カリウムや硫酸銅などの薬品を用いた化学変色で行い、赤銅色、紫金色、青銅色など多彩な色合いを生み出す。鎚目の美しさが大きな魅力となっている。
Process
制作工程
全7工程
- 1
銅板裁断
一枚の銅板を製品の大きさに合わせて裁断し、鎚起成形の素材となる円形や方形の銅板を準備する
- 2
荒打ち成形
銅板を当て金の上に置き、鎚で繰り返し打ち起こして大まかな器の形を一枚の板から立ち上げる
- 3
焼き鈍し
約700度で銅板を加熱して加工硬化を解消し、再び鎚打ちが可能な柔らかさに戻す工程を何度も繰り返す
- 4
仕上げ打ち
数百種類の鎚を使い分けて数万回の鎚打ちを重ね、最終的な形状と美しい鎚目模様を作り上げる
- 5
ロウ付け
注ぎ口や取手などの部品を銀ロウで接合し、器としての機能的な形態を完成させる
- 6
着色
硫化カリウムや硫酸銅など薬品による化学変色で赤銅色、紫金色、青銅色など多彩な色合いを生む
- 7
仕上げ
着色した表面を保護する処理を施し、鎚目の美しさと独特の色合いを持つ銅器として完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
大橋 清吉
伝統工芸士
大橋鎚起銅器工房
新潟県燕市に生まれ、一枚の銅板を鎚で打ち起こして器を形成する鎚起銅器の技を50年以上にわたり守り続けている。湯沸かし、急須、花器などの制作を得意とし、鎚目の美しさと銅の経年変化による色合いの深まりが高く評価されている。国の卓越した技能者として表彰を受けた。
制作哲学
銅は使い込むほどに深い色に変わっていく。その変化こそが鎚起銅器の最大の魅力です。
“一枚の板から器を打ち出す。この単純にして奥深い技法に、一生を捧げてきました。
関根 遥
若手作家
関根銅器工房
新潟県燕市出身。金属加工の街で育ち、大学で工業デザインを学んだ後、手仕事の鎚起銅器の世界に惹かれ帰郷。伝統的な技法を基盤にしながら、コーヒードリッパーやタンブラーなど、現代のカフェ文化に溶け込む銅器の制作に取り組んでいる。
制作哲学
燕の鎚起技法は、機械では生み出せない唯一無二の表情を銅に与える。その手仕事の価値を伝えたい。
“鎚を振るうたびに銅板が器へと近づいていく。その過程そのものが美しいと感じます。
FAQ
よくある質問
燕鎚起銅器とは何ですか?▼
新潟県燕市で生産される銅器。一枚の銅板を鎚で打ち起こして成形する技法が特徴。
燕鎚起銅器の産地はどこですか?▼
燕鎚起銅器は新潟県で生産されている金工品です。
燕鎚起銅器の技法・特徴は?▼
燕鎚起銅器は、一枚の銅板を鎚(つち)で繰り返し打ち起こして成形する「鎚起」技法が特徴である。銅板を当て金の上に置き、数百種類の鎚を使い分けて少しずつ形を作り上げる。銅は打つと硬化するため、約700度での「焼き鈍し」を何度も繰り返しながら成形する。一つの作品に数万回の鎚打ちが必要とされる。表面の着色は硫化カリウムや硫酸銅などの薬品を用いた化学変色で行い、赤銅色、紫金色、青銅色など多彩な色合いを生み出す。鎚目の美しさが大きな魅力となっている。
燕鎚起銅器はどこで購入・体験できますか?▼
新潟県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。新潟県の工芸品については新潟県の伝統工芸品一覧もご覧ください。