漆器
村上木彫堆朱
むらかみきぼりついしゅ
新潟県村上市で生産される漆器。木地に彫刻を施し朱漆を塗り重ねる技法が特徴。
History
歴史
村上木彫堆朱は江戸時代初期の寛永年間(1624年頃)、村上藩主・堀直竒が京都から漆工の名匠を招いて技術を導入したことに始まる。中国伝来の堆朱技法に着想を得つつ、木彫りの上に漆を塗り重ねる独自の技法を発展させた。村上地方は古くから良質な天然漆の産地であり、漆掻きの伝統も深く根付いていた。江戸時代を通じて藩の手厚い保護のもと技術が磨かれ、1976年に伝統的工芸品に指定された。彫刻と漆塗りが融合した独自の美が高く評価されている。
Technique
技法
村上木彫堆朱は木地にケヤキやホオなどの堅木を用い、まず木地そのものに精緻な彫刻を施す点が最大の特徴である。中国の堆朱が漆を何十回も厚く塗り重ねてから彫るのに対し、村上では木地自体に彫刻してから漆を塗るという独自の手法を取る。彫刻の上に下地漆を数回塗り、さらに朱漆を十数回塗り重ねる。最後に艶消し仕上げを行い、使い込むうちに下層の漆が透けて味わい深い色合いに変化していく。草花文様や雲紋など伝統的な意匠が多く用いられる。
Process
制作工程
全6工程
- 1
木地作り
ケヤキやホオなどの堅木をろくろ挽きや指物の技法で器の形に成形し、彫刻に適した厚みを確保する
- 2
木彫り
木地そのものに草花文様や雲紋などの伝統的な意匠を彫刻刀で精緻に彫り込み、立体的な文様を表現する
- 3
下地塗り
彫刻を施した木地に生漆と地の粉を混ぜた下地材を数回塗り重ね、彫刻の細部にまで漆を行き渡らせる
- 4
中塗り
下地の上に精製漆を丁寧に塗り、乾燥後に研磨して彫刻の凹凸を活かしながら滑らかな塗面を整える
- 5
朱漆塗り
朱漆を十数回にわたり塗り重ね、各層を乾燥させながら彫刻の文様が埋まらない程度に厚い漆膜を形成する
- 6
艶消し仕上
最終塗りの後に艶消し処理を施し、使い込むうちに下層の漆が透けて味わい深い色合いに変化する仕上がりにする
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
長谷川 堆舟
伝統工芸士
長谷川堆朱工房
1945年新潟県村上市生まれ。村上木彫堆朱の彫師として60年以上のキャリアを誇る。木地に直接精緻な彫刻を施し、その上から何十回も漆を塗り重ねる村上独自の技法を守り続けている。文化庁長官賞をはじめ数々の受賞歴を持つ。
制作哲学
一刀一刀に心を込めて彫り、漆を重ねるたびに命が吹き込まれる。堆朱の美しさは、気の遠くなるような手間の積み重ねから生まれる。
“彫りの深さが漆の溜まりを生み、陰影のある独特の朱色が生まれるのです。
本間 拓真
若手作家
1992年新潟県村上市生まれ。地元の高校を卒業後、村上木彫堆朱の後継者育成事業に参加し技術を習得した。伝統的な花鳥風月の彫刻に加え、幾何学模様を取り入れた斬新なデザインにも挑戦している。
制作哲学
村上の職人が何百年もかけて磨いてきた堆朱の技を、自分なりの表現で未来に伝えていきたい。
“木を彫る感触と漆の匂いの中で仕事をする幸せを、毎日かみしめています。
FAQ
よくある質問
村上木彫堆朱とは何ですか?▼
新潟県村上市で生産される漆器。木地に彫刻を施し朱漆を塗り重ねる技法が特徴。
村上木彫堆朱の産地はどこですか?▼
村上木彫堆朱は新潟県で生産されている漆器です。
村上木彫堆朱の技法・特徴は?▼
村上木彫堆朱は木地にケヤキやホオなどの堅木を用い、まず木地そのものに精緻な彫刻を施す点が最大の特徴である。中国の堆朱が漆を何十回も厚く塗り重ねてから彫るのに対し、村上では木地自体に彫刻してから漆を塗るという独自の手法を取る。彫刻の上に下地漆を数回塗り、さらに朱漆を十数回塗り重ねる。最後に艶消し仕上げを行い、使い込むうちに下層の漆が透けて味わい深い色合いに変化していく。草花文様や雲紋など伝統的な意匠が多く用いられる。
村上木彫堆朱はどこで購入・体験できますか?▼
新潟県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。新潟県の工芸品については新潟県の伝統工芸品一覧もご覧ください。