漆器
木曽漆器
きそしっき
長野県塩尻市周辺で生産される漆器。堆朱や木曽春慶など多彩な技法が特徴。
History
歴史
木曽漆器は江戸時代初期の慶長年間(1596年頃)、中山道の重要な宿場町であった木曽平沢を中心に発展した漆器である。木曽谷の豊富な檜材と良質な天然漆を活用し、旅人向けの曲物や櫛などの生産から始まった。尾張藩の手厚い保護を受けて産業として着実に成長し、木曽堆朱や木曽春慶など独自の技法が確立された。明治以降も生産規模は拡大を続け、1975年に伝統的工芸品に指定された。木曽平沢は漆工町として国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている。
Technique
技法
木曽漆器は檜やサワラ、アスナロなど木曽谷特産の針葉樹を主な木地材として使用する。曲物は薄い板を熱を加えて曲げ成形する伝統技法で、弁当箱や茶筒などに広く用いられる。塗りの技法は多彩で、木曽堆朱は色漆を何層にも塗り重ねて彫刻を施す技法であり、木曽春慶は透漆を塗ることで木地の美しい木目を活かす技法である。錆塗は漆に砥の粉を混ぜて独特の渋い風合いを出す。下地には柿渋や生漆を用い、中塗り・上塗りを丁寧に重ねて堅牢な漆器に仕上げる。
Process
制作工程
全6工程
- 1
木地作り
檜やサワラ、アスナロなど木曽谷特産の針葉樹を用い、曲物や指物の技法で弁当箱や盆などの器形に成形する
- 2
曲げ加工
薄く挽いた板材を熱湯や蒸気で柔らかくし、木型に沿わせて曲げ成形して曲物特有の美しい曲線を作り出す
- 3
下地処理
木地に柿渋や生漆を塗布して木材の目を固め、堅牢な塗膜の基礎となる安定した下地を丁寧に施す
- 4
中塗り
下地の上に精製漆を均一に塗り、乾燥と研磨を繰り返して上塗りや特殊技法のための平滑な表面を整える
- 5
上塗り
木曽春慶では透漆を塗って木目を活かし、堆朱では色漆を何層にも重ね、錆塗では砥の粉を混ぜた漆を塗る
- 6
仕上げ
堆朱は彫刻を施して色層を見せ、春慶は磨き上げて飴色に仕上げ、各技法に応じた最終処理を丁寧に行う
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
宮原 辰雄
伝統工芸士
宮原漆工
1947年長野県塩尻市木曽平沢生まれ。木曽漆器の産地である木曽平沢で生まれ育ち、中学卒業後すぐに塗師の道に入った。堆朱や木曽春慶の技法を自在に操り、堅牢で美しい日用漆器を半世紀以上にわたり作り続けている。
制作哲学
木曽の檜と漆が出会って生まれる器には、山の力が宿る。自然の恵みへの感謝を忘れずに仕事に向き合う。
“木曽の山に抱かれた漆器の里で、先人から受け継いだ技を次の世代に渡すのが私の役目です。
丸山 千晶
若手作家
1995年長野県松本市生まれ。信州大学で工芸を学んだ後、木曽平沢の漆器組合の研修制度を利用して技術を習得した。木曽漆器の素朴で温かみのある風合いを活かし、現代の食生活に合うカジュアルな漆器を提案している。
制作哲学
山里の素朴な暮らしから生まれた木曽漆器の温もりを、都会の暮らしにも届けたい。
“漆器を手に取った瞬間、木曽の森の空気を感じてもらえたら嬉しいです。
FAQ
よくある質問
木曽漆器とは何ですか?▼
長野県塩尻市周辺で生産される漆器。堆朱や木曽春慶など多彩な技法が特徴。
木曽漆器の産地はどこですか?▼
木曽漆器は長野県で生産されている漆器です。
木曽漆器の技法・特徴は?▼
木曽漆器は檜やサワラ、アスナロなど木曽谷特産の針葉樹を主な木地材として使用する。曲物は薄い板を熱を加えて曲げ成形する伝統技法で、弁当箱や茶筒などに広く用いられる。塗りの技法は多彩で、木曽堆朱は色漆を何層にも塗り重ねて彫刻を施す技法であり、木曽春慶は透漆を塗ることで木地の美しい木目を活かす技法である。錆塗は漆に砥の粉を混ぜて独特の渋い風合いを出す。下地には柿渋や生漆を用い、中塗り・上塗りを丁寧に重ねて堅牢な漆器に仕上げる。
木曽漆器はどこで購入・体験できますか?▼
長野県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。長野県の工芸品については長野県の伝統工芸品一覧もご覧ください。