その他の工芸品
福山琴
ふくやまごと
広島県福山市で生産される琴。良質な桐材を用いた伝統的な和楽器。
History
歴史
福山琴は広島県福山市で製作される箏(こと)で、江戸時代の元禄年間(1688〜1704年)に福山藩の城下町で箏の製造が始まったとされる。福山藩の初代藩主・水野勝成が文化芸術の振興に努めたことが背景にあり、城下では箏曲の演奏や稽古が盛んに行われた。温暖な気候の中で良質な桐材の入手が容易であったことも産地形成を大きく後押しした。現在、福山市は国内の箏生産量の約7割を占める日本最大の箏の産地であり、伝統的な製法が脈々と受け継がれている。
Technique
技法
福山琴の製造は、まず原木の桐材を製材し、数年間にわたって天然乾燥させることから始まる。十分に乾燥した桐材を甲(表板)の形に荒削りし、内側を丁寧にくり抜いて共鳴胴を形成する。甲の表面は焼き鏝で焦がして木目を美しく浮き立たせる「焼き」の工程が行われ、その後に砥の粉と生漆を用いて拭き仕上げをする。裏板を接合し、龍角・龍尾・磯などの装飾部品を取り付ける。最終工程で十三本の弦を張り、音質を確認して調整を行う。全工程で約4か月を要する。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原木製材
良質な桐の原木を選定し、琴の甲板に適した寸法に製材して数年間にわたり天然乾燥させる
- 2
甲の成形
十分に乾燥した桐材を荒削りして甲の形に整え、内側を丁寧にくり抜いて共鳴胴を形成する
- 3
焼き
甲の表面に焼き鏝を当てて焦がし、桐の木目を美しく浮き立たせる伝統的な焼き工程を施す
- 4
拭き仕上げ
砥の粉と生漆を用いて焼いた表面を拭き仕上げし、木肌に深い風合いと保護膜を与える
- 5
裏板接合
音穴を開けた裏板を甲と正確に接合し、音の共鳴に最適な内部空間を持つ胴体を完成させる
- 6
装飾取付
龍角・龍尾・磯などの装飾部品を取り付け、琴としての外観と機能を整える
- 7
張弦・調整
十三本の弦を張って音質を確認し、全体の響きと音程の調整を行い約四か月の工程を経て完成する
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
村上 勝美
伝統工芸士
村上琴製造
広島県福山市で琴製作に携わること45年。備後地方の良質な桐材を選び抜き、甲の削り出しから龍舌の彫刻まで全工程を手がける。福山琴の特徴である深みのある音色を生み出す「焼き」の技法に定評があり、全国の演奏家から厚い信頼を得ている。
制作哲学
桐の声を聴き、その木が最も良い音を出せる形を見極める。琴作りは木との対話そのものです。
“良い琴は、百年弾き込まれてようやく本当の声を出す。それを見越して作るのが職人の仕事です。
藤井 花音
若手作家
福山市出身。箏曲を学ぶ中で楽器製作に興味を持ち、地元の琴工房に入門。桐材の乾燥・選別から仕上げまでの工程を修業中。演奏者としての感性を活かし、弾きやすさと音色の両立を目指した琴づくりに取り組んでいる。
制作哲学
福山琴の音色を未来へつなぐために、まずは自分の手で確かな一面を作り上げることに集中したい。
“桐のほのかな香りの中で作業をしていると、この木が琴になりたがっているように感じます。
FAQ
よくある質問
福山琴とは何ですか?▼
広島県福山市で生産される琴。良質な桐材を用いた伝統的な和楽器。
福山琴の産地はどこですか?▼
福山琴は広島県で生産されているその他の工芸品です。
福山琴の技法・特徴は?▼
福山琴の製造は、まず原木の桐材を製材し、数年間にわたって天然乾燥させることから始まる。十分に乾燥した桐材を甲(表板)の形に荒削りし、内側を丁寧にくり抜いて共鳴胴を形成する。甲の表面は焼き鏝で焦がして木目を美しく浮き立たせる「焼き」の工程が行われ、その後に砥の粉と生漆を用いて拭き仕上げをする。裏板を接合し、龍角・龍尾・磯などの装飾部品を取り付ける。最終工程で十三本の弦を張り、音質を確認して調整を行う。全工程で約4か月を要する。
福山琴はどこで購入・体験できますか?▼
広島県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。広島県の工芸品については広島県の伝統工芸品一覧もご覧ください。