その他の工芸品
江戸表具
えどひょうぐ
東京で生産される表具。掛軸や屏風など書画の仕立てを行う伝統技術。
History
歴史
江戸表具は東京で受け継がれる伝統的な表装技術で、江戸時代に武家社会や町人文化の興隆とともに確立された。京表具が公家文化の華やかさと優美さを特徴とするのに対し、江戸表具は武家好みの端正で力強い仕立てが特徴とされる。掛軸や屏風、額装などの製作に加え、古い書画の修復・保存も重要な仕事である。江戸の狩野派や琳派、浮世絵など多様な絵画文化を支えた表具師の技は、現在も東京の表具師たちに脈々と受け継がれている。
Technique
技法
江戸表具の基本は、書画を和紙で裏打ちして補強し、裂地(きれじ)と呼ばれる織物で装飾的に仕立てる技術である。肌裏・増裏・総裏と三度の裏打ちを重ねて行い、作品を堅牢にする。裏打ちに使う糊は正麩糊(しょうふのり)で、小麦でんぷんを丁寧に煮て作る伝統的な接着剤である。裂地の選定は作品の時代や内容に合わせて慎重に行い、全体の調和を重視する。乾燥は仮張りと呼ばれる板に貼って自然乾燥させる。仕立ての品格と堅牢さを両立させるのが江戸表具の真髄である。
Process
制作工程
全7工程
- 1
糊炊き
小麦でんぷんを水に溶いて丁寧に煮て正麩糊を作り、裏打ちに使用する伝統的な接着剤を準備する
- 2
肌裏打ち
書画の裏面に薄い和紙を正麩糊で丁寧に貼り合わせ、作品を補強する最も重要な工程を行う
- 3
増裏打ち
肌裏打ちの上にさらに和紙を重ねて二度目の裏打ちを行い、作品の強度と平面性を向上させる
- 4
裂地選定
作品の時代や内容に合わせて絹や金襴の裂地を選び、全体の調和を考慮した配色と構成を決める
- 5
総裏打ち
作品と裂地を合わせた全体に三度目の裏打ちを施し、掛軸や屏風として一体化させる
- 6
仮張り乾燥
仮張りの板に貼り付けて自然乾燥させ、紙の伸縮が安定するまで十分な時間をかけて乾かす
- 7
仕上げ
軸棒・八双・風帯などの部品を取り付け、表装全体の品格と堅牢さを確認して完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
内田 宗一郎
伝統工芸士
内田表具店
東京都千代田区で五代続く表具店の当主。掛軸・屏風・額装・襖の製作に加え、古書画の修復を専門とする。正倉院裂の研究にも携わり、裂地の選定眼は業界屈指と評される。美術館や個人コレクターから古美術品の修復依頼が後を絶たない。
制作哲学
表具師は黒子に徹するべし。書画の力を最大限に引き出し、鑑賞者の目を本紙に導くことが最上の仕事です。
“百年前の職人の仕事を解体する時、その技術の高さに畏敬の念を抱く。自分もそう思われる仕事を残したい。
村田 葵
若手作家
美術史を学んだ後、作品保存の重要性に気づき表具師を志す。江戸表具の老舗で7年間修業し、伝統的な掛軸の仕立てを習得。現代アート作品の表装や、生活空間に合った新しいスタイルの表具の提案にも取り組んでいる。
制作哲学
表具は作品を守り、次の世代へ届けるための技術。目立たないけれど、なくてはならない存在でありたい。
“糊と和紙と裂地、シンプルな素材だからこそ、技術の差が如実に表れるのが表具の奥深さです。
FAQ
よくある質問
江戸表具とは何ですか?▼
東京で生産される表具。掛軸や屏風など書画の仕立てを行う伝統技術。
江戸表具の産地はどこですか?▼
江戸表具は東京都で生産されているその他の工芸品です。
江戸表具の技法・特徴は?▼
江戸表具の基本は、書画を和紙で裏打ちして補強し、裂地(きれじ)と呼ばれる織物で装飾的に仕立てる技術である。肌裏・増裏・総裏と三度の裏打ちを重ねて行い、作品を堅牢にする。裏打ちに使う糊は正麩糊(しょうふのり)で、小麦でんぷんを丁寧に煮て作る伝統的な接着剤である。裂地の選定は作品の時代や内容に合わせて慎重に行い、全体の調和を重視する。乾燥は仮張りと呼ばれる板に貼って自然乾燥させる。仕立ての品格と堅牢さを両立させるのが江戸表具の真髄である。
江戸表具はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。