その他の工芸品
甲州印伝
こうしゅういんでん
山梨県で生産される鹿革の漆付け工芸品。印伝の技法による財布や小物入れが代表的。
History
歴史
甲州印伝は山梨県甲府市で生産される鹿革工芸品で、その起源は戦国時代にまで遡るとされる。「印伝」の名は「印度伝来」に由来するとの説がある。武田信玄の時代には甲冑や武具の素材として鹿革加工技術が発展し、江戸時代には巾着や煙草入れ、合切袋などの粋な日用品として広く普及した。漆で文様を施す技法は甲州独自のもので、実用性と美しさを兼ね備えた製品として全国的に高い人気を博した。1987年に伝統的工芸品に指定されている。
Technique
技法
甲州印伝は鹿革に漆で文様を付ける日本独自の伝統的な革工芸である。鹿革はタンニンなめしにより柔らかく仕上げられ、独特のしなやかさと軽さ、耐久性を備える。文様付けの代表的技法は「漆付け」で、型紙を鹿革の上に置き、その上からヘラで漆を塗り込んで模様を描く。漆は乾燥すると立体的な質感となり、使い込むほどに艶が深まる。このほか、燻べ(ふすべ)技法では藁の煙で革を燻して独特の模様を浮かび上がらせる。小桜、とんぼ、青海波などの伝統文様が人気を集めている。
Process
制作工程
全7工程
- 1
鹿革なめし
鹿の原皮をタンニンなめしの技法で加工し、柔らかくしなやかで軽い独特の風合いの革に仕上げる
- 2
革の裁断
なめした鹿革を製品の型紙に合わせて丁寧に裁断し、必要な部品の形に切り出す
- 3
型紙準備
小桜・とんぼ・青海波などの伝統文様を彫った型紙を選び、漆付けの工程に備えて準備する
- 4
漆付け
型紙を鹿革の上に置き、ヘラで漆を均一に塗り込んで模様を描き、立体的な質感の文様を施す
- 5
漆乾燥
漆を塗った革を適切な湿度と温度の室に入れ、漆が完全に硬化するまでじっくりと乾燥させる
- 6
縫製
漆の文様が定着した鹿革のパーツを一つずつ手作業で縫い合わせ、製品の形に組み立てる
- 7
仕上げ
金具やファスナーを取り付け、縫い目や形状を整えて製品としての品質を最終確認する
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
上原 庄吉
伝統工芸士
上原印伝工房
山梨県甲府市に生まれ、鹿革に漆で文様を付ける甲州印伝の技法を受け継ぐ職人。燻べ技法と漆付け技法の両方を極め、小桜・トンボ・青海波など伝統文様の美しさを守り続けている。四十年以上にわたり、印伝の財布・巾着・小物入れなどを制作してきた。
制作哲学
鹿革の柔らかさと漆の強さ、相反する二つの素材が一つになる時、印伝ならではの美しさが生まれます。
“漆を置く手元に迷いがあれば、文様は乱れる。心を鎮めて、一つひとつ丁寧に。
深沢 理沙
若手作家
FUKAZAWA印伝
ファッションデザインを学んだ後、地元山梨の甲州印伝の魅力を再発見。伝統的な漆付け技法を習得しながら、現代のライフスタイルに合った新しい印伝製品の企画・制作を行っている。カードケースやスマートフォンケースなど、若い世代のニーズに応える商品開発で注目を集めている。
制作哲学
四百年の歴史ある印伝を、今の暮らしの中で「使いたい」と思えるものに。伝統と実用の両立が目標です。
“鹿革の手触りと漆の光沢を、毎日持ち歩く喜びを多くの人に知ってほしい。
FAQ
よくある質問
甲州印伝とは何ですか?▼
山梨県で生産される鹿革の漆付け工芸品。印伝の技法による財布や小物入れが代表的。
甲州印伝の産地はどこですか?▼
甲州印伝は山梨県で生産されているその他の工芸品です。
甲州印伝の技法・特徴は?▼
甲州印伝は鹿革に漆で文様を付ける日本独自の伝統的な革工芸である。鹿革はタンニンなめしにより柔らかく仕上げられ、独特のしなやかさと軽さ、耐久性を備える。文様付けの代表的技法は「漆付け」で、型紙を鹿革の上に置き、その上からヘラで漆を塗り込んで模様を描く。漆は乾燥すると立体的な質感となり、使い込むほどに艶が深まる。このほか、燻べ(ふすべ)技法では藁の煙で革を燻して独特の模様を浮かび上がらせる。小桜、とんぼ、青海波などの伝統文様が人気を集めている。
甲州印伝はどこで購入・体験できますか?▼
山梨県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。山梨県の工芸品については山梨県の伝統工芸品一覧もご覧ください。