石工品
出雲石燈ろう
いずもいしどうろう
島根県で産出する来待石を用いた石燈ろう。柔らかい石質と独特の風合いが特徴。
History
歴史
出雲石燈ろうは島根県松江市を中心に生産される石燈籠で、その歴史は江戸時代初期にさかのぼる。出雲地方で産出される来待石(きまちいし)を素材とし、松江藩主松平不昧公の茶道文化の影響で石燈籠の製造が盛んになった。来待石は加工しやすく風化に強い凝灰質砂岩で、温かみのある色合いが茶人に好まれた。明治以降も庭園用品として需要が続き、1976年に伝統的工芸品に指定された。出雲の風土と茶の湯文化が育んだ石工芸品である。
Technique
技法
出雲石燈ろうは来待石を素材とし、手作業で彫り上げて製作する。来待石は約1400万年前の凝灰質砂岩で、淡い茶褐色の温かみのある色合いが特徴である。製作はまず原石を切り出し、のみと槌で荒彫りして大まかな形を作る。次に細いのみで細部を彫り込み、笠・火袋・中台・竿・基礎の各部品を仕上げる。火袋の窓は正確に彫り抜き、装飾文様も手彫りで施す。来待石は適度な柔らかさがあり加工しやすいが、年月を経ると表面が苔むして趣深い風合いとなる。
Process
制作工程
全6工程
- 1
原石採取
約1400万年前の凝灰質砂岩である来待石を採石場から切り出し、淡い茶褐色の良質な石材を確保する
- 2
石割り
採取した来待石を石燈籠の各部品に必要な大きさに切り分け、笠・火袋・中台・竿・基礎用の石材に整える
- 3
荒彫り
のみと槌を使って各部品の大まかな形を彫り出し、石燈籠としての基本的な輪郭と寸法を作り上げる
- 4
細部彫刻
細いのみで火袋の窓を正確に彫り抜き、装飾文様や曲面の細部を手彫りで精緻に仕上げていく
- 5
表面仕上げ
来待石の温かみある風合いを活かしながら表面を整え、年月を経て苔むす趣深い質感になるよう仕上げる
- 6
組み上げ
各部品の接合面を丁寧に摺り合わせて安定するよう調整し、石燈籠を組み上げて完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
勝部 岩雄
伝統工芸士
勝部石材工房
1947年島根県松江市宍道町来待生まれ。出雲石燈ろうの素材である来待石の採掘から彫刻までを一貫して手がける職人。来待石特有の温かみのある褐色と柔らかな質感を活かした石灯籠を50年以上にわたり制作してきた。
制作哲学
来待石は出雲の大地が生んだ唯一無二の石である。その優しい風合いを活かし、日本庭園に安らぎをもたらす灯籠を作ることが使命だ。
“来待石は月日とともに苔むして、さらに美しくなる。時間が完成させる工芸品です。
錦織 大輔
若手作家
来待石工房 縁
1994年島根県出雲市生まれ。島根大学で地質学を学んだ後、来待石の文化的価値に魅力を感じて石工の道に進んだ。伝統的な石灯籠の制作に加え、来待石を使った現代的なオブジェやガーデンアートの制作にも取り組んでいる。
制作哲学
出雲の大地の恵みである来待石を、庭園文化の枠を超えて多くの人に届けたい。
“石を彫ると、何百万年という地球の歴史に触れている感覚になります。
FAQ
よくある質問
出雲石燈ろうとは何ですか?▼
島根県で産出する来待石を用いた石燈ろう。柔らかい石質と独特の風合いが特徴。
出雲石燈ろうの産地はどこですか?▼
出雲石燈ろうは島根県で生産されている石工品です。
出雲石燈ろうの技法・特徴は?▼
出雲石燈ろうは来待石を素材とし、手作業で彫り上げて製作する。来待石は約1400万年前の凝灰質砂岩で、淡い茶褐色の温かみのある色合いが特徴である。製作はまず原石を切り出し、のみと槌で荒彫りして大まかな形を作る。次に細いのみで細部を彫り込み、笠・火袋・中台・竿・基礎の各部品を仕上げる。火袋の窓は正確に彫り抜き、装飾文様も手彫りで施す。来待石は適度な柔らかさがあり加工しやすいが、年月を経ると表面が苔むして趣深い風合いとなる。
出雲石燈ろうはどこで購入・体験できますか?▼
島根県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。島根県の工芸品については島根県の伝統工芸品一覧もご覧ください。