漆器
山中漆器
やまなかしっき
石川県加賀市山中温泉で生産される漆器。高度な木地挽き技術が特徴。
History
歴史
山中漆器は安土桃山時代の天正年間(1573年頃)、加賀国の山中温泉の地に越前から木地師の集団が移住し、ろくろ挽きの技術を伝えたことに始まる。江戸時代には加賀藩の産業奨励を受け、温泉客向けの土産品として広く親しまれた。明治以降は木地挽きの卓越した技術力を基盤に、近代的な漆器産業へと大きく成長した。石川県の三大漆器産地の一つとして全国に名を知られ、木地挽き技術では日本一の生産量を誇る。1975年に伝統的工芸品に指定されている。
Technique
技法
山中漆器の最大の特徴は、ろくろ挽きによる高度な木地技術にある。欅や水目桜、栃などの原木を十分に自然乾燥させた後、ろくろで精密に挽き出す。薄挽きや加飾挽きなど独自の技法が発達しており、千筋や稲穂筋と呼ばれる細かな筋模様をろくろで刻む加飾挽きは山中独特の技法として名高い。塗りの工程では拭き漆や花塗りなど多様な技法を用い、木地の自然な美しさを最大限に活かす仕上げが多い。木地師と塗師の高い技術の融合により優美な漆器が生まれる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原木乾燥
欅や水目桜、栃などの原木を伐り出し、数年間かけて十分に自然乾燥させて木地の狂いや割れを防止する
- 2
ろくろ挽き
乾燥させた木材をろくろで精密に挽き出し、山中独自の薄挽き技法で軽やかで美しい器形に成形する
- 3
加飾挽き
千筋や稲穂筋と呼ばれる細かな筋模様をろくろで刻み、山中漆器独特の繊細な木地装飾を施す
- 4
下地塗り
木地に生漆を摺り込んで下地を固め、必要に応じて地の粉下地を施して堅牢な塗膜の基礎を築く
- 5
中塗り
下地の上に精製漆を均一に塗り、乾燥と研磨を繰り返して上塗りのための平滑な表面を丁寧に作る
- 6
上塗り
拭き漆や花塗りなどの技法を用い、木地の自然な美しさを最大限に活かしながら漆の光沢を引き出す
- 7
仕上げ
最終的な研磨と艶出しを行い、木地師の加飾挽きと塗師の塗り技法が融合した優美な漆器に完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
中村 庄治
伝統工芸士
中村木工所
1948年石川県加賀市山中温泉生まれ。山中漆器の木地挽きの名人であった祖父に師事し、独自の薄挽き技法を完成させた。特に千筋と呼ばれる細かな筋模様の加飾挽きでは右に出る者がいないと評されている。
制作哲学
山中は木地の山中と呼ばれる。木地挽きこそが山中漆器の命であり、ろくろの前に座るたびに新たな発見がある。
“一ミリの百分の一の差が、器の品格を決める。その繊細さが山中の誇りです。
橋本 瑞希
若手作家
1993年石川県小松市生まれ。金沢美術工芸大学で漆芸を専攻し、山中漆器の木地挽き技術に惹かれて山中温泉に移住した。伝統的なろくろ技術に現代的な造形感覚を融合させた作品で、工芸展での受賞歴も多い。
制作哲学
ろくろから生まれる曲線の美しさに魅了されています。伝統技法の中にこそ、新しい表現の可能性がある。
“木が回転する中で形が生まれる瞬間は、何度経験しても心が震えます。
FAQ
よくある質問
山中漆器とは何ですか?▼
石川県加賀市山中温泉で生産される漆器。高度な木地挽き技術が特徴。
山中漆器の産地はどこですか?▼
山中漆器は石川県で生産されている漆器です。
山中漆器の技法・特徴は?▼
山中漆器の最大の特徴は、ろくろ挽きによる高度な木地技術にある。欅や水目桜、栃などの原木を十分に自然乾燥させた後、ろくろで精密に挽き出す。薄挽きや加飾挽きなど独自の技法が発達しており、千筋や稲穂筋と呼ばれる細かな筋模様をろくろで刻む加飾挽きは山中独特の技法として名高い。塗りの工程では拭き漆や花塗りなど多様な技法を用い、木地の自然な美しさを最大限に活かす仕上げが多い。木地師と塗師の高い技術の融合により優美な漆器が生まれる。
山中漆器はどこで購入・体験できますか?▼
石川県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。石川県の工芸品については石川県の伝統工芸品一覧もご覧ください。