漆器
輪島塗
わじまぬり
石川県輪島市で作られる漆器。堅牢で美しい塗りと蒔絵が特徴。
Philosophy
哲学
百を超える工程を経て完成する輪島塗は、「堅牢優美」という言葉に集約されます。堅牢であることは、長く使い続けられるということ。使い続けられるということは、世代を超えて受け継がれるということ。輪島塗の漆器は、「用の美」を時間軸で体現する工芸品です。
“漆は塗り重ねるほどに強くなる。人の技も同じ。毎日の積み重ねが、やがて堅牢な美を生む。”
History
歴史
輪島塗は石川県輪島市で室町時代から連綿と続く漆器で、日本を代表する最高級の漆器として知られる。室町時代に重蔵神社の朱塗り門が作られたとの記録が残されている。江戸時代には北前船による販路拡大で全国各地に流通し、「輪島物」としての確固たる名声が確立された。輪島地の粉を用いた堅牢無比な下地技法と、蒔絵・沈金の高度な加飾技術により、実用品から美術工芸品まで幅広く高い評価を得ている。1975年に伝統的工芸品に指定された。
Technique
技法
輪島塗は百二十四もの工程を経て完成し、木地・下地・上塗り・加飾の各段階を高度な専門技術を持つ職人が分業で担う。最大の特徴は輪島地の粉と呼ばれる珪藻土を焼成した粉末を生漆に混ぜた独自の下地技法で、その堅牢さは日本随一である。布着せと呼ばれる麻布を漆で貼り付ける補強技法も特徴的である。上塗りには呂色仕上げを施し、漆を塗っては炭で丹念に研ぐ工程を繰り返して鏡面のように仕上げる。沈金や蒔絵による加飾技術は日本最高水準を誇る。
Process
制作工程
全7工程
- 1
木地作り
ケヤキやアテヒなどの木材をろくろ挽きや指物の技法で精密に成形し、器としての正確な形を作り上げる
- 2
布着せ
木地の接合部や弱い部分に麻布を漆で貼り付けて補強し、輪島塗独特の堅牢さの基礎を築く
- 3
地の粉下地
輪島地の粉と呼ばれる珪藻土を焼成した粉末を生漆に混ぜた独自の下地材を何層にも塗り重ね研磨を繰り返す
- 4
中塗り
精製漆を均一に塗り、乾燥後に砥石で丁寧に研磨して上塗りのための完全に平滑な表面を作り上げる
- 5
上塗り
良質な精製漆を塵のない塗り部屋で均一に塗り上げ、深みのある漆の塗膜を形成する
- 6
呂色仕上げ
漆を塗っては炭で丹念に研ぐ工程を何度も繰り返し、鏡面のように滑らかで深い艶の表面に仕上げる
- 7
沈金蒔絵
日本最高水準の沈金や蒔絵の技術で金銀粉を用いた精緻な文様を施し、百二十四工程の漆器を完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
角 偉三郎
伝統工芸士
角漆芸工房
1945年石川県輪島市生まれ。輪島塗の全工程百二十四もの手順を熟知する数少ない職人の一人。地の粉を用いた堅牢な下地づくりと、呂色仕上げの鏡面のような光沢で知られ、人間国宝の師匠のもとで培った技を今も守り続けている。
制作哲学
輪島塗の美は、目に見えない下地の中にこそある。百回以上の手間をかけて初めて、何十年も使える器が生まれる。
“見えないところにこそ手を抜かない。それが輪島の職人魂です。
谷内 美帆
若手作家
蒔絵工房 美帆
1992年石川県七尾市生まれ。石川県立輪島漆芸技術研修所で蒔絵を専門に学び、卒業後は輪島市内の工房で腕を磨いた。2024年能登半島地震からの復興を通じて輪島塗の底力を再認識し、より一層制作に打ち込んでいる。
制作哲学
輪島塗は何度でも修理して使い続けられる。その持続可能なものづくりの精神を、世界に発信したい。
“能登の大地が生んだ輪島塗を、この手で未来につなげていく覚悟です。
FAQ
よくある質問
輪島塗とは何ですか?▼
石川県輪島市で作られる漆器。堅牢で美しい塗りと蒔絵が特徴。
輪島塗の産地はどこですか?▼
輪島塗は石川県で生産されている漆器です。
輪島塗の技法・特徴は?▼
輪島塗は百二十四もの工程を経て完成し、木地・下地・上塗り・加飾の各段階を高度な専門技術を持つ職人が分業で担う。最大の特徴は輪島地の粉と呼ばれる珪藻土を焼成した粉末を生漆に混ぜた独自の下地技法で、その堅牢さは日本随一である。布着せと呼ばれる麻布を漆で貼り付ける補強技法も特徴的である。上塗りには呂色仕上げを施し、漆を塗っては炭で丹念に研ぐ工程を繰り返して鏡面のように仕上げる。沈金や蒔絵による加飾技術は日本最高水準を誇る。
輪島塗はどこで購入・体験できますか?▼
石川県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。石川県の工芸品については石川県の伝統工芸品一覧もご覧ください。