木工品・竹工品
江戸指物
えどさしもの
東京で生産される指物家具。釘を使わず木と木を組み合わせる精緻な技法が特徴。
History
歴史
江戸指物は東京都で製作される指物家具で、江戸時代初期に徳川家康の江戸入府とともに各地から集まった職人たちの技術を起源とする。指物師は神田、日本橋界隈に多く住み、武家や豪商の注文に応じて精緻な箪笥、棚、箱物を製作した。江戸中期以降は町人文化の発展とともに粋で洗練された意匠が確立された。1997年に国の伝統的工芸品に指定。京指物の雅な趣とは対照的に、江戸の「粋」を体現する簡素で機能的な美しさが江戸指物の真骨頂であり、無駄を省いた洗練された造形が特徴である。
Technique
技法
江戸指物は桑、欅、黒柿、桐などの木材を用い、釘を一切使わずにほぞ組みや蟻組みで接合する。木材は数年かけて自然乾燥させ、鉋で極めて精密に仕上げる。接合部の精度は髪の毛一本分の狂いも許されず、組み合わせた箇所がほとんど見えないほどの精巧さを持つ。表面仕上げには摺り漆や蝋色仕上げを施し、木目の美しさを最大限に引き出す。江戸指物の特徴は簡潔な意匠にあり、過剰な装飾を排し、木材の持つ自然の美しさと精密な仕口の技術で静かな存在感を表現する。
Process
制作工程
全7工程
- 1
木材乾燥
桑、欅、黒柿、桐などの木材を数年間かけて自然乾燥させ、反りや狂いのない安定した材にする
- 2
木取り
乾燥した木材から設計に基づいて部材を切り出し、木目の美しさと強度を考慮して配置を決める
- 3
仕口加工
各部材にほぞやほぞ穴、蟻組みなどの接合部を髪の毛一本の精度で正確に刻む
- 4
鉋仕上げ
部材の表面を鉋で極めて精密に削り、接合面の密着度と木地の美しさを最高の状態に整える
- 5
組み立て
釘を一切使わずにほぞ組みや蟻組みで部材を接合し、継ぎ目が見えないほどの精巧さで組み上げる
- 6
摺り漆
生漆を木地に薄く擦り込み拭き取る作業を何度も繰り返し、木目を活かした深い艶を出す
- 7
最終仕上げ
蝋色仕上げや磨きで表面を整え、金具があれば取り付けて簡潔で品格ある佇まいに完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
戸田 宗一郎
伝統工芸士
戸田指物店
1945年東京都台東区生まれ。江戸指物の名門工房で15歳から修業を始め、釘を一切使わない精緻な組み手技法を極める。桑、欅、紫檀などの銘木を用い、茶道具、文箱、飾り棚など格調高い作品を手がける。東京都伝統工芸士に認定され、数々の展覧会で受賞歴を持つ。
制作哲学
木と木を組み合わせる指物は、素材への理解と寸分の狂いも許さない精度が命。見えない部分にこそ職人の魂が宿る。
“組み手がぴたりと合った瞬間、木同士が握手をしたように感じるんです。
山本 奈津子
若手職人
山本木工舎
1993年東京都文京区生まれ。東京藝術大学で工芸を学び、木工の精密さに魅了されて江戸指物の道に進む。伝統工芸士のもとで8年間修業し、近年独立。伝統的な茶道具や箱物に加え、現代のリビングに調和するサイドテーブルや小引き出しなどの新作を発表している。
制作哲学
釘を使わない指物の構造美は、日本のものづくりの真髄。その美しさを現代空間に調和させたい。
“鉋で木肌を仕上げる瞬間、木が輝き出すのが何よりの喜びです。
FAQ
よくある質問
江戸指物とは何ですか?▼
東京で生産される指物家具。釘を使わず木と木を組み合わせる精緻な技法が特徴。
江戸指物の産地はどこですか?▼
江戸指物は東京都で生産されている木工品・竹工品です。
江戸指物の技法・特徴は?▼
江戸指物は桑、欅、黒柿、桐などの木材を用い、釘を一切使わずにほぞ組みや蟻組みで接合する。木材は数年かけて自然乾燥させ、鉋で極めて精密に仕上げる。接合部の精度は髪の毛一本分の狂いも許されず、組み合わせた箇所がほとんど見えないほどの精巧さを持つ。表面仕上げには摺り漆や蝋色仕上げを施し、木目の美しさを最大限に引き出す。江戸指物の特徴は簡潔な意匠にあり、過剰な装飾を排し、木材の持つ自然の美しさと精密な仕口の技術で静かな存在感を表現する。
江戸指物はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。