木工品・竹工品
紀州箪笥
きしゅうたんす
和歌山県で生産される箪笥。桐材を用いた堅牢で美しい作りが特徴。
History
歴史
紀州箪笥は和歌山県和歌山市で製作される桐箪笥で、江戸時代中期の享保年間(1716〜1736年)に紀州藩の城下町で箪笥づくりが始まったとされる。紀州は古くから良質な桐材の産地であり、温暖な気候が桐の生育に適していた。紀州藩は木工業を奨励し、江戸や大阪への出荷も行われた。明治以降は婚礼調度品として需要が高まり、産地として発展した。2019年に国の伝統的工芸品に指定。紀州産の桐材と熟練の指物技術が生み出す上質な箪笥として評価されている。
Technique
技法
紀州箪笥は紀州産の桐材を中心に使用し、数年間のアク抜きと自然乾燥を経て製作に用いる。板材はほぞ組みや蟻組みで接合し、釘を使わない伝統的な技法を守る。引き出しは精密な鉋仕上げにより高い気密性を実現し、桐の調湿性と防虫性を最大限に活かす。表面仕上げには砥の粉と蝋を塗布する伝統的な手法が用いられ、桐の白い肌を美しく仕上げる。紀州箪笥の特徴として、温暖な気候に合わせた通気性の良い構造と、紀州材ならではのきめ細かな木目が挙げられる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
桐材準備
紀州産の桐材を数年間かけてアク抜きと天日での自然乾燥を繰り返し、安定した材に仕上げる
- 2
板材加工
乾燥した桐材を設計に基づいて切り出し、鉋で精密に削って所定の寸法に加工する
- 3
仕口加工
板材にほぞ組みや蟻組みの接合部を刻み、釘を使わない伝統的な仕口を作る
- 4
箱組み
加工した板材を組み合わせて箪笥の本体を組み上げ、通気性を考慮した構造に仕立てる
- 5
引出し製作
桐材で引き出しを精密に製作し、鉋仕上げで高い気密性を実現して調湿性を最大限に活かす
- 6
砥粉仕上げ
箪笥の表面に砥の粉と蝋を塗布する伝統的な手法で、桐の白くきめ細かな木肌を美しく仕上げる
- 7
金具取付
引き手や錠前などの金具を取り付け、引き出しの開閉を調整して最終仕上げを行う
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
中村 庄右衛門
伝統工芸士
中村箪笥製作所
1950年和歌山県和歌山市生まれ。紀州箪笥の産地である和歌山で、指物師として55年以上のキャリアを積む。紀州桐を用いた総桐箪笥から、欅を使った衣装箪笥まで幅広い製品を手がける。紀州の漆や金具との組み合わせにも造詣が深く、和歌山県伝統工芸士に認定。
制作哲学
紀州の風土が育んだ木材と職人の技が出会い、百年の歳月に耐える箪笥が生まれる。
“箪笥は家の中で最も長く使われる家具。だからこそ、手を抜くことは許されない。
林 美優
若手職人
1998年和歌山県海南市生まれ。高校の木工部での活動をきっかけに家具職人を志し、紀州箪笥の工房に入門。伝統的な桐箪笥の製作技術を学びながら、若い世代の生活スタイルに合った小型の収納家具やテレビボードなどの新製品の企画にも携わっている。
制作哲学
紀州箪笥の確かな技術で、現代の暮らしに溶け込む美しい収納を提案したい。
“木を削るたびに、先輩職人たちの知恵の深さに気づかされます。
FAQ
よくある質問
紀州箪笥とは何ですか?▼
和歌山県で生産される箪笥。桐材を用いた堅牢で美しい作りが特徴。
紀州箪笥の産地はどこですか?▼
紀州箪笥は和歌山県で生産されている木工品・竹工品です。
紀州箪笥の技法・特徴は?▼
紀州箪笥は紀州産の桐材を中心に使用し、数年間のアク抜きと自然乾燥を経て製作に用いる。板材はほぞ組みや蟻組みで接合し、釘を使わない伝統的な技法を守る。引き出しは精密な鉋仕上げにより高い気密性を実現し、桐の調湿性と防虫性を最大限に活かす。表面仕上げには砥の粉と蝋を塗布する伝統的な手法が用いられ、桐の白い肌を美しく仕上げる。紀州箪笥の特徴として、温暖な気候に合わせた通気性の良い構造と、紀州材ならではのきめ細かな木目が挙げられる。
紀州箪笥はどこで購入・体験できますか?▼
和歌山県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。和歌山県の工芸品については和歌山県の伝統工芸品一覧もご覧ください。