陶磁器
大谷焼
おおたにやき
徳島県鳴門市大谷で生産される陶器。大甕など大型陶器の製作で知られる。
History
歴史
大谷焼は徳島県鳴門市大麻町大谷で生産される陶器である。安永9年(1780年)、豊後国の陶工・文右衛門が大谷村で焼き物を始めたのが起源とされる。その後、藩主・蜂須賀治昭が藩の殖産興業策として製陶を奨励し、寛政年間に四国最大級の登り窯が築かれた。大甕(おおがめ)や睡蓮鉢など大物陶器の生産で知られ、藍染めの際に使用する藍甕の産地としても栄えた。徳島の藍産業と密接に結びついて発展した歴史を持ち、昭和51年に伝統的工芸品に指定された。
Technique
技法
大谷焼は鉄分を含む地元の粘土を用い、大物から小物まで幅広い製品を生産する。大甕などの大物の成形では「寝轆轤」と呼ばれる独特の技法が用いられる。これは一人が轆轤の上に横たわるようにして内側から成形し、もう一人が外側から形を整える二人一組の共同作業である。釉薬は灰釉・鉄釉・なまこ釉などが伝統的に使われ、素朴で力強い風合いを生む。焼成は登り窯で約1200度から1300度の高温で行い、薪の炎による自然な窯変効果も作品の魅力となっている。
Process
制作工程
全7工程
- 1
土採取
鉄分を含む徳島県鳴門市大麻町周辺の粘土を採取し、水簸や精製を行って成形に適した陶土を準備する
- 2
土練り
精製した陶土を十分に練り込み、気泡を丁寧に抜いて均質で粘りのある扱いやすい状態に仕上げる
- 3
成形
大物は寝轆轤と呼ばれる技法で二人一組の共同作業により成形し、小物は通常の轆轤挽きで形を作る
- 4
乾燥
成形した器を自然乾燥させ、特に大物の甕は慎重にゆっくりと時間をかけて水分を抜き変形を防ぐ
- 5
素焼き
乾燥した素地を低温で素焼きし、釉薬が均一に定着するために必要な吸水性と適度な強度を持たせる
- 6
施釉
灰釉・鉄釉・なまこ釉などの伝統的な釉薬を選んで掛け、大谷焼らしい素朴で力強い風合いを目指す
- 7
焼成
登り窯で約1200度から1300度の高温で焼成し、薪の炎による自然な窯変効果を得る
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
田村 善作
伝統工芸士
善作窯
徳島県鳴門市大麻町に生まれ、大谷焼の大甕づくりの技を受け継ぐ。寝ロクロという独自の技法で高さ一メートルを超える大物陶器を制作できる数少ない職人の一人である。四十五年の経験を持ち、藍染めの藍甕の制作でも知られている。
制作哲学
寝ロクロは二人の息が合わなければ成立しない技法である。人と人との信頼が、大谷焼の大物を生み出す原動力である。
“一メートルを超える甕をロクロで挽き上げたとき、大谷焼の底力を感じます。
近藤 萌
若手作家
萌工房
徳島県出身。徳島大学で地域文化を学ぶ中で大谷焼に出会い、卒業後に窯元で修業を始めた。大谷焼の素朴な風合いを活かした日常使いの器を中心に制作し、阿波藍を使った染付けの実験的な作品にも取り組んでいる。地元のマルシェやクラフトフェアへの出展を通じて大谷焼の認知向上に努めている。
制作哲学
徳島の風土が育んだ大谷焼の温かみを、毎日の食卓に届けたい。
“大きな甕づくりで培われた大谷焼の土力を、小さな器にも込めています。
FAQ
よくある質問
大谷焼とは何ですか?▼
徳島県鳴門市大谷で生産される陶器。大甕など大型陶器の製作で知られる。
大谷焼の産地はどこですか?▼
大谷焼は徳島県で生産されている陶磁器です。
大谷焼の技法・特徴は?▼
大谷焼は鉄分を含む地元の粘土を用い、大物から小物まで幅広い製品を生産する。大甕などの大物の成形では「寝轆轤」と呼ばれる独特の技法が用いられる。これは一人が轆轤の上に横たわるようにして内側から成形し、もう一人が外側から形を整える二人一組の共同作業である。釉薬は灰釉・鉄釉・なまこ釉などが伝統的に使われ、素朴で力強い風合いを生む。焼成は登り窯で約1200度から1300度の高温で行い、薪の炎による自然な窯変効果も作品の魅力となっている。
大谷焼はどこで購入・体験できますか?▼
徳島県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。徳島県の工芸品については徳島県の伝統工芸品一覧もご覧ください。