文具
豊橋筆
とよはしふで
愛知県豊橋市で生産される筆。水洗い技法による穂先の精密な仕上がりが特徴。
History
歴史
豊橋筆は愛知県豊橋市で生産される毛筆で、その起源は江戸時代末期の文政年間(1818〜1830年)に、京都の筆匠である鈴木甚左衛門が吉田藩(現在の豊橋)の藩士に筆づくりを教えたことに始まる。下級藩士の副業として広まり、明治以降は産業として発展した。豊橋筆は書道筆だけでなく、絵画用や工業用の筆も生産し、多彩な品揃えで知られる。1976年に伝統的工芸品に指定された。高品質な筆の産地として全国に知られている。
Technique
技法
豊橋筆の最大の特徴は「水捌き」と呼ばれる独自の技法にある。原毛をたらいの水の中でさばきながら、毛質・長さ・太さを選り分ける方法で、毛の一本一本の特性を見極めることができる。この水捌きにより、穂先のまとまりと弾力が格段に向上する。使用する毛はイタチ・タヌキ・馬・山羊・鹿など多種にわたり、用途に応じた配合を行う。芯立て・上毛巻き・穂固めの工程を経て軸に接着し、糊固めをして完成させる。繊細な書き味が書家に好まれている。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原毛選別
イタチ・タヌキ・馬・山羊・鹿など多種の動物毛を用途に応じて選び、品質ごとに分類する
- 2
水捌き
たらいの水の中で毛をさばきながら毛質・長さ・太さを選り分ける豊橋筆独自の技法で毛の特性を見極める
- 3
火のし
水捌きで選り分けた毛を加熱した金属板で整え、くせを直して均一な状態に揃える
- 4
練り混ぜ
用途に応じた配合で異なる種類の毛を混合し、穂先のまとまりと弾力を格段に向上させる
- 5
芯立て
練り混ぜた毛から芯毛を形成し、筆の弾力としなやかさの基礎となる穂の中心部を作る
- 6
上毛巻き
芯毛の周囲に上質な毛を巻き付けて穂先の形を整え、繊細な書き味を生む形状に仕上げる
- 7
穂固め
穂先を糸で締めて軸に差し込み接着した後、糊で固めて書家に好まれる繊細な筆に完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
鈴木 寛次
伝統工芸士
鈴木筆匠
愛知県豊橋市に生まれ、江戸時代から続く豊橋筆の伝統を守る工房の五代目として筆づくりの道に入る。特に書道筆の「水締め」技法に優れ、穂先のまとまりと弾力のバランスが絶妙な筆を作ることで全国の書道家から支持されている。経済産業大臣表彰を受賞。
制作哲学
筆は書く人の分身となるもの。使い込むほどに手に馴染み、書の上達とともに成長する筆を目指している。
“豊橋筆の水締めは、水の力で毛を整える日本ならではの知恵。この技法が筆に命を吹き込むのです。
加藤 麻衣
若手職人
愛知県立芸術大学で日本画を専攻し、画筆への探求心から豊橋筆の職人を志す。地元豊橋の工房で八年間修行し、現在は書道筆に加えて日本画・水墨画用の特殊筆の開発に力を入れている。若手工芸家グループ展への出品も精力的に行っている。
制作哲学
絵を描く者の視点を持つからこそ、画家が本当に求める筆を作ることができると信じている。
“筆を作る工程は三十以上。そのすべてに意味があり、一つも省くことはできません。
FAQ
よくある質問
豊橋筆とは何ですか?▼
愛知県豊橋市で生産される筆。水洗い技法による穂先の精密な仕上がりが特徴。
豊橋筆の産地はどこですか?▼
豊橋筆は愛知県で生産されている文具です。
豊橋筆の技法・特徴は?▼
豊橋筆の最大の特徴は「水捌き」と呼ばれる独自の技法にある。原毛をたらいの水の中でさばきながら、毛質・長さ・太さを選り分ける方法で、毛の一本一本の特性を見極めることができる。この水捌きにより、穂先のまとまりと弾力が格段に向上する。使用する毛はイタチ・タヌキ・馬・山羊・鹿など多種にわたり、用途に応じた配合を行う。芯立て・上毛巻き・穂固めの工程を経て軸に接着し、糊固めをして完成させる。繊細な書き味が書家に好まれている。
豊橋筆はどこで購入・体験できますか?▼
愛知県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。愛知県の工芸品については愛知県の伝統工芸品一覧もご覧ください。