文具
川尻筆
かわじりふで
広島県呉市川尻で生産される筆。書道用の高品質な毛筆として知られる。
History
歴史
川尻筆は広島県呉市川尻町で生産される毛筆で、その歴史は江戸時代末期の文政年間(1818〜1830年)にさかのぼる。菊谷三蔵が大阪で筆づくりを学び、故郷の川尻に技術を持ち帰ったことが始まりとされる。瀬戸内海の温暖な気候と良質な水に恵まれた川尻は、筆の生産に適した環境であった。明治以降は書道教育の普及とともに需要が拡大し、2004年に伝統的工芸品に指定された。現在も伝統技法を守りながら高品質な筆を生産している。
Technique
技法
川尻筆の製造は、まず原毛(タヌキ・イタチ・馬・鹿・山羊など)を種類ごとに選別し、灰や糠で洗浄して脂を抜く。「火のし」で毛を整え、「寸切り」で長さを揃えた後、「練り混ぜ」の技法で異なる毛を混合して筆の特性を決める。芯毛を立てて周囲に上毛を巻き、形を整えて糸で締める。穂先を軸に差し込み、糊で固めて完成させる。川尻筆の特徴は穂先のまとまりの良さと弾力にあり、書道家のみならず画家や工芸家にも愛用されている。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原毛選別
タヌキ・イタチ・馬・鹿・山羊などの動物毛を種類ごとに選り分け、品質と用途に応じて分類する
- 2
毛洗い
選別した原毛を灰や糠で丁寧に洗浄して脂分を除去し、筆の材料として適した状態にする
- 3
火のし
洗浄後の毛を加熱した金属板で整え、毛のくせを直して均一な質感に揃える
- 4
寸切り
火のしで整えた毛を用途に応じた長さに正確に切り揃え、筆の大きさに合わせて準備する
- 5
練り混ぜ
異なる種類の毛を水中で混合して筆の特性を決定し、穂先のまとまりと弾力の良さを生み出す
- 6
芯立て
練り混ぜた毛から芯毛を立てて周囲に上毛を巻き、糸で締めて形を整えた穂先を作る
- 7
軸固め
完成した穂先を軸に差し込んで接着し、糊で固めて最終的な形状を調整して筆を完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
榎本 芳蔵
伝統工芸士
榎本筆工房
広島県呉市川尻町に生まれ、十六歳で川尻筆の職人に弟子入り。書道筆から画筆まで幅広い筆を手がけ、特にイタチ毛を使った面相筆の製作技術は日本画家から絶大な信頼を得ている。伝統工芸士として四十五年以上のキャリアを持つ。
制作哲学
筆の善し悪しは穂先の一厘に宿る。毛組みの妙を極めることが、書き手の表現力を最大限に引き出す鍵である。
“一本の筆に百本以上の毛を選び抜く。その選別眼こそが川尻筆の命なのです。
石井 萌
若手職人
広島市立大学芸術学部を卒業後、地元呉市にUターンし川尻筆の工房で修行を開始。伝統的な書道筆の製作技術を磨きながら、化粧筆やネイルアート用の精密筆など新しい市場向けの製品開発にも意欲的に取り組んでいる。
制作哲学
川尻筆の繊細な技術は、書道の世界だけにとどまらない無限の可能性を持っている。
“毛先を揃える作業は地味だけれど、その一手間が使う人の感動につながると信じています。
FAQ
よくある質問
川尻筆とは何ですか?▼
広島県呉市川尻で生産される筆。書道用の高品質な毛筆として知られる。
川尻筆の産地はどこですか?▼
川尻筆は広島県で生産されている文具です。
川尻筆の技法・特徴は?▼
川尻筆の製造は、まず原毛(タヌキ・イタチ・馬・鹿・山羊など)を種類ごとに選別し、灰や糠で洗浄して脂を抜く。「火のし」で毛を整え、「寸切り」で長さを揃えた後、「練り混ぜ」の技法で異なる毛を混合して筆の特性を決める。芯毛を立てて周囲に上毛を巻き、形を整えて糸で締める。穂先を軸に差し込み、糊で固めて完成させる。川尻筆の特徴は穂先のまとまりの良さと弾力にあり、書道家のみならず画家や工芸家にも愛用されている。
川尻筆はどこで購入・体験できますか?▼
広島県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。広島県の工芸品については広島県の伝統工芸品一覧もご覧ください。