奈良墨

文具

奈良墨

ならすみ

奈良県

奈良県で生産される墨。日本最大の墨の産地で千年以上の歴史を持つ。

History

歴史

奈良墨は奈良県奈良市で生産される墨で、その歴史は室町時代末期にさかのぼる。興福寺の灯明から出る煤を集めて墨を作ったのが始まりとされる。奈良は古都として多くの寺社があり、灯明の煤が豊富に得られたことが産地形成の要因となった。江戸時代には松煙墨から油煙墨への転換が進み、品質が向上した。現在、日本の墨の約95%が奈良で生産されており、1977年に伝統的工芸品に指定された。書道文化を支える最重要産地である。

Technique

技法

奈良墨の製造は、まず菜種油や桐油を燃やして煤(油煙)を集めることから始まる。この煤に膠(にかわ)を加えて練り合わせ、香料として龍脳や麝香などを加える。練り上がった墨の生地を型に入れて成形し、灰の中で数日間かけてゆっくり乾燥させる。その後、数ヶ月から数年にわたる自然乾燥の工程を経て完成する。墨の品質は煤の粒子の細かさ、膠の配合、練りの加減で決まり、長年の経験と勘が必要とされる。良い墨は磨ると澄んだ墨色を呈する。

Process

制作工程

7工程

  1. 1

    採煙

    菜種油や桐油を専用の土器で燃やし、蓋に付着する極めて細かい煤(油煙)を丹念に採集する

  2. 2

    膠煮溶かし

    動物の皮や骨から作った膠を湯煎で溶かし、煤と混合するための粘着性のある膠液を準備する

  3. 3

    練り合わせ

    煤に溶かした膠を加え、龍脳や麝香などの香料を混ぜて手と足で繰り返し丹念に練り上げる

  4. 4

    型入れ成形

    練り上がった墨の生地を木型に入れて押し固め、所定の形状と文様を持つ墨の形に成形する

  5. 5

    灰乾燥

    成形した墨を木灰の中に埋めて数日間かけてゆっくりと水分を抜き、急激な乾燥による割れを防ぐ

  6. 6

    自然乾燥

    灰乾燥を終えた墨を藁で吊るし、数ヶ月から数年にわたる自然乾燥で内部まで完全に乾かす

  7. 7

    仕上げ彩色

    乾燥した墨の表面を磨き上げ、金泥や彩色で文字や文様を施して製品として完成させる

Artisans

この工芸を紡ぐ人々

古梅園 正隆

伝統工芸士

古梅園墨房

奈良市に生まれ、室町時代から続く墨づくりの家系を継ぐ。松煙墨・油煙墨の両方に精通し、特に手捏ねによる練り墨の技法は全国随一と称される。奈良墨の製法を体系的に記録する活動にも取り組み、技術の保存と継承に尽力している。

制作哲学

墨は煤と膠と職人の魂で出来ている。天然素材の力を最大限に引き出すことで、百年後も美しい墨色を実現する。

良い墨は磨るほどに深みを増す。それは職人が込めた時間と手間が、墨色となって現れるからです。

奥田 健太

若手職人

京都大学農学部で天然素材の研究をしていたが、奈良墨の原料である松煙の科学的な奥深さに興味を持ち、墨職人に転身。伝統的な製墨技術を学びながら、墨の成分分析や品質管理に科学的アプローチを取り入れている。

制作哲学

千年前の文字が今も読めるのは墨の力。科学の目で伝統を見つめ直し、さらに優れた墨を追求したい。

墨を練る手のひらに、奈良の歴史の重みがずしりと伝わってきます。

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FAQ

よくある質問

奈良墨とは何ですか?

奈良県で生産される墨。日本最大の墨の産地で千年以上の歴史を持つ。

奈良墨の産地はどこですか?

奈良墨奈良県で生産されている文具です。

奈良墨の技法・特徴は?

奈良墨の製造は、まず菜種油や桐油を燃やして煤(油煙)を集めることから始まる。この煤に膠(にかわ)を加えて練り合わせ、香料として龍脳や麝香などを加える。練り上がった墨の生地を型に入れて成形し、灰の中で数日間かけてゆっくり乾燥させる。その後、数ヶ月から数年にわたる自然乾燥の工程を経て完成する。墨の品質は煤の粒子の細かさ、膠の配合、練りの加減で決まり、長年の経験と勘が必要とされる。良い墨は磨ると澄んだ墨色を呈する。

奈良墨はどこで購入・体験できますか?

奈良県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。奈良県の工芸品については奈良県の伝統工芸品一覧もご覧ください。