鈴鹿墨

文具

鈴鹿墨

すずかすみ

三重県

三重県鈴鹿市で生産される墨。油煙墨と松煙墨の伝統的な製法を受け継ぐ。

History

歴史

鈴鹿墨は三重県鈴鹿市で生産される墨で、その歴史は平安時代にさかのぼる。鈴鹿山脈の松脂から得られる松煙を用いた墨づくりが始まったとされ、鎌倉時代には生産が本格化した。江戸時代には伊勢参りの土産物としても人気を博し、全国に流通した。奈良墨と並ぶ日本の二大墨産地の一つとして知られ、特に松煙墨の伝統が今も守られている。1980年に伝統的工芸品に指定された。鈴鹿の清らかな水と豊かな松林に育まれた墨の産地である。

Technique

技法

鈴鹿墨の製造は、煤の採取・膠との練り合わせ・型入れ・乾燥の工程で行われる。松煙墨は鈴鹿山脈の松の根や幹を燃やして煤を集め、油煙墨は菜種油などを燃やして煤を得る。採取した煤に膠を加え、香料として白檀や龍脳を混ぜて丹念に練り上げる。練り加減が品質を左右するため、職人の経験と勘が重要となる。型に入れて成形した後、木灰の中で初期乾燥させ、さらに数ヶ月の自然乾燥を経て完成する。松煙墨は青みのある墨色が特徴である。

Process

制作工程

7工程

  1. 1

    採煙

    鈴鹿山脈の松を燃やして松煙を、菜種油などを燃やして油煙を採取し、極めて細かい煤を集める

  2. 2

    膠溶かし

    動物の皮や骨から作った膠を湯煎でゆっくり溶かし、煤と練り合わせるための接着剤を準備する

  3. 3

    練り合わせ

    採取した煤に膠を加え、白檀や龍脳などの香料を混ぜて手と足で丹念に練り上げて墨生地を作る

  4. 4

    型入れ成形

    練り上がった墨生地を木型に入れて押し固め、所定の形状と表面の文字や文様を成形する

  5. 5

    灰乾燥

    成形した墨を木灰の中に埋めて数日間かけてゆっくり初期乾燥させ、急な乾燥による割れを防ぐ

  6. 6

    自然乾燥

    灰から取り出した墨を藁で吊るして数ヶ月の自然乾燥を行い、内部まで均一に水分を抜く

  7. 7

    彩色仕上げ

    乾燥した墨の表面を磨き上げ、金泥で文字や文様を施して松煙墨の青みある墨色の逸品に仕上げる

Artisans

この工芸を紡ぐ人々

伊藤 晴信

四代目

有限会社 進誠堂

1987年鈴鹿市生まれ。高校卒業後に上京し漫画家を志すが、2009年に「鈴鹿墨の1200年の伝統が途絶える」という新聞記事を目にし、半年の逡巡の末2010年に帰郷。父・伊藤亀堂に師事。2013年三重県優秀技能士表彰(青年の部)。2023年に伝統工芸士に認定。白い墨「卯の花」やラメ入り墨「煌の彩」など革新的な新商品を開発。

制作哲学

これまでのやり方では伝統は守れても、鈴鹿墨は守れない。道を外さないようにしつつ、まだ人の歩いていない道を歩きたい。

1200年続く鈴鹿墨の歴史を、自分の代で途絶えさせたくなかった。

伊藤 亀堂

三代目(本名:伊藤忠)

有限会社 進誠堂

1964年生まれ。高校卒業後、自動車関連のサラリーマンを経て、父の仕事を手伝い始め21歳前に脱サラして弟子入り。2000年に伝統工芸士認定。同年、業界初の8色墨「雪月風花」を完成。2001年には業界初の1分墨を開発。2007年に「墨匠・伊藤亀堂」を名乗る。日本で唯一の鈴鹿墨製造元・進誠堂を率い、約300種類の墨を製造。

制作哲学

自然に逆らって作れば、墨の価値が失われる。伝統を守りながらも、十人十色の墨——使い手一人ひとりに合った墨を追求する。

If I make it against nature, it loses the value.

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FAQ

よくある質問

鈴鹿墨とは何ですか?

三重県鈴鹿市で生産される墨。油煙墨と松煙墨の伝統的な製法を受け継ぐ。

鈴鹿墨の産地はどこですか?

鈴鹿墨三重県で生産されている文具です。

鈴鹿墨の技法・特徴は?

鈴鹿墨の製造は、煤の採取・膠との練り合わせ・型入れ・乾燥の工程で行われる。松煙墨は鈴鹿山脈の松の根や幹を燃やして煤を集め、油煙墨は菜種油などを燃やして煤を得る。採取した煤に膠を加え、香料として白檀や龍脳を混ぜて丹念に練り上げる。練り加減が品質を左右するため、職人の経験と勘が重要となる。型に入れて成形した後、木灰の中で初期乾燥させ、さらに数ヶ月の自然乾燥を経て完成する。松煙墨は青みのある墨色が特徴である。

鈴鹿墨はどこで購入・体験できますか?

三重県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。三重県の工芸品については三重県の伝統工芸品一覧もご覧ください。