木工品・竹工品
江戸和竿
えどわざお
東京で生産される竹製の釣り竿。複数の竹を継いで作る精密な手作りの釣具。
History
歴史
江戸和竿は東京都で製作される竹製の釣竿で、江戸時代中期の天明年間(1781〜1789年)に江戸の釣り師・東作が竹竿の製造を始めたのが起源とされる。江戸は多くの川や堀、海に囲まれた水の都であり、庶民の娯楽として釣りが盛んであった。幕末から明治にかけて名竿師が輩出され、ハゼ竿、キス竿、タナゴ竿など魚種に応じた専用竿が発展した。1997年に国の伝統的工芸品に指定。釣り具の芸術品として、実釣性能と美しさを極めた日本独自の釣竿文化を今に伝えている。
Technique
技法
江戸和竿は布袋竹、矢竹、高野竹、丸節竹などの竹材を用い、火入れ、矯め、継ぎの工程を経て製作される。竹を数年間乾燥させた後、炭火で炙りながら竹の曲がりを矯正する火入れは最も重要な工程である。複数の竹を精密に継ぎ合わせる並継ぎや印籠継ぎの技法により、携帯性と調子の良さを両立させる。漆を何度も塗り重ねて防水性と強度を高め、絹糸の巻き飾りで装飾を施す。対象魚の習性に合わせた調子の設計は竿師の経験と感覚に依るところが大きく、一本の完成に数ヶ月を要する。
Process
制作工程
全7工程
- 1
竹材選別
布袋竹、矢竹、高野竹などから対象魚に適した竹を選び、数年間自然乾燥させた材を用いる
- 2
火入れ
炭火で竹をゆっくり炙りながら油分を抜き、竹の曲がりを矯正して真っ直ぐな材に仕上げる
- 3
矯め直し
火入れ後の竹を手で矯めて微妙な曲がりを修正し、理想的な調子に合わせて形を調整する
- 4
継ぎ合わせ
複数の竹を並継ぎや印籠継ぎの技法で精密に接合し、携帯性と優れたしなりを両立させる
- 5
漆塗り
継ぎ上がった竿に生漆を何度も塗り重ね、研ぎと塗りを繰り返して防水性と強度を高める
- 6
糸巻き
継ぎ目や補強が必要な箇所に絹糸を巻き付け、漆で固めて実用性と装飾美を兼ね備える
- 7
調子出し
完成した竿のしなりと復元力を確認し、微調整を加えて対象魚に最適な調子に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
中根 竿翁
伝統工芸士
竿翁工房
1944年東京都墨田区生まれ。本名・中根正夫。父の代から続く和竿師の家に生まれ、10代半ばから竿づくりの修業を始める。布袋竹、矢竹、高野竹など素材の特性を見極め、ハゼ竿からヘラ竿まで幅広い釣竿を製作。80年以上の歴史を持つ工房を守り続けている。
制作哲学
釣竿は魚と人をつなぐ道具。竹の弾力と粘りを最大限に引き出し、釣り人の手の延長となる竿を作る。
“和竿で魚を掛けた瞬間の手応えは、カーボン竿では絶対に味わえません。
石川 隼人
若手竿師
石川竿店
1990年東京都江東区生まれ。幼少期から釣りが趣味で、和竿との出会いをきっかけに竿師を志す。大学卒業後にサラリーマン生活を経て脱サラし、江戸和竿の名匠に弟子入り。7年間の修業を経て独立し、伝統的な江戸前釣りの和竿を中心に製作している。
制作哲学
江戸の粋を一本の竿に込め、釣りという文化ごと次の世代に伝えたい。
“竹を火で炙り、矯めるとき、竿としての命が吹き込まれる瞬間を感じます。
FAQ
よくある質問
江戸和竿とは何ですか?▼
東京で生産される竹製の釣り竿。複数の竹を継いで作る精密な手作りの釣具。
江戸和竿の産地はどこですか?▼
江戸和竿は東京都で生産されている木工品・竹工品です。
江戸和竿の技法・特徴は?▼
江戸和竿は布袋竹、矢竹、高野竹、丸節竹などの竹材を用い、火入れ、矯め、継ぎの工程を経て製作される。竹を数年間乾燥させた後、炭火で炙りながら竹の曲がりを矯正する火入れは最も重要な工程である。複数の竹を精密に継ぎ合わせる並継ぎや印籠継ぎの技法により、携帯性と調子の良さを両立させる。漆を何度も塗り重ねて防水性と強度を高め、絹糸の巻き飾りで装飾を施す。対象魚の習性に合わせた調子の設計は竿師の経験と感覚に依るところが大きく、一本の完成に数ヶ月を要する。
江戸和竿はどこで購入・体験できますか?▼
東京都の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。東京都の工芸品については東京都の伝統工芸品一覧もご覧ください。