漆器
越前漆器
えちぜんしっき
福井県鯖江市で生産される漆器。堅牢な下地と優雅な塗りが特徴。
History
歴史
越前漆器は約1500年の歴史を持つ日本最古級の漆器産地で、6世紀の継体天皇の時代に起源を持つと伝えられる。皇子時代に壊れた冠の修理を里の漆工に命じたところ、美しい黒塗りの椀を添えて献上したことが始まりとされる。以来、福井県鯖江市河和田地区を中心に発展し、江戸時代には全国有数の漆器産地として名声を確立した。業務用漆器の分野では全国シェアの約八割を占める。1975年に伝統的工芸品に指定され、伝統技法と近代的な生産技術を巧みに併用している。
Technique
技法
越前漆器は木地師、下地師、塗師、加飾師の各工程を専門の職人が分業で担う高度な生産体制を持つ。木地にはトチやケヤキなどの堅木を用い、ろくろ挽き・指物・曲物などの多様な技法で成形する。下地は生漆と地の粉を用いた本堅地を基本とし、数回の塗りと研ぎの工程を丹念に繰り返す。上塗りには花塗りや蝋色塗りなどの技法があり、蝋色塗りは漆面を炭で細かく研ぎ、生漆を手で磨き上げて鏡面のような光沢を出す。蒔絵や沈金による加飾も施され、堅牢で美しい漆器に仕上げられる。
Process
制作工程
全6工程
- 1
木地作り
トチやケヤキなどの堅木をろくろ挽き・指物・曲物などの多様な技法で器の形に精密に成形する
- 2
本堅下地
生漆と地の粉を用いた下地材を数回にわたり塗り重ね、各層の乾燥と研ぎを丹念に繰り返して堅牢な下地を築く
- 3
中塗り
精製漆を均一に塗り、乾燥後に砥石で丁寧に水研ぎして上塗りのための平滑で均質な表面を整える
- 4
上塗り
花塗りまたは蝋色塗りの技法で精製漆を塗り上げ、漆の自然な艶や鏡面のような光沢を引き出す
- 5
蝋色磨き
蝋色塗りでは漆面を炭で細かく研ぎ、生漆を手のひらで磨き上げる工程を繰り返して鏡面の光沢を実現する
- 6
加飾
蒔絵や沈金の専門職人が金粉や金箔を用いて文様を施し、越前漆器の格調高い意匠を完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
河田 文三郎
伝統工芸士
河田漆器製造所
1948年福井県鯖江市河和田地区生まれ。越前漆器の産地・河和田で五代にわたり漆器業を営む家系に生まれた。木地づくりから上塗りまでの全工程に精通し、特に花塗りの艶やかな仕上げにおいて比類なき技術を持つ。
制作哲学
千五百年の歴史を持つ越前漆器は、分業の力で品質を極めてきた。各工程の職人が全力を尽くすことで、初めて本物の漆器が生まれる。
“漆器づくりは一人ではできない。仲間の職人との信頼関係こそが越前漆器の底力です。
山岸 拓海
若手作家
1993年福井県福井市生まれ。東京のIT企業で働いた後、故郷の伝統産業を守りたいという思いから越前漆器の職人に転身した。デジタルマーケティングの経験を活かし、越前漆器の新しい販路開拓にも注力している。
制作哲学
テクノロジーと伝統工芸は対立するものではなく、共存できると信じている。職人の技と現代のニーズをつなぎたい。
“ITから漆器の世界に来て、手仕事の奥深さと人の温かさに毎日驚いています。
FAQ
よくある質問
越前漆器とは何ですか?▼
福井県鯖江市で生産される漆器。堅牢な下地と優雅な塗りが特徴。
越前漆器の産地はどこですか?▼
越前漆器は福井県で生産されている漆器です。
越前漆器の技法・特徴は?▼
越前漆器は木地師、下地師、塗師、加飾師の各工程を専門の職人が分業で担う高度な生産体制を持つ。木地にはトチやケヤキなどの堅木を用い、ろくろ挽き・指物・曲物などの多様な技法で成形する。下地は生漆と地の粉を用いた本堅地を基本とし、数回の塗りと研ぎの工程を丹念に繰り返す。上塗りには花塗りや蝋色塗りなどの技法があり、蝋色塗りは漆面を炭で細かく研ぎ、生漆を手で磨き上げて鏡面のような光沢を出す。蒔絵や沈金による加飾も施され、堅牢で美しい漆器に仕上げられる。
越前漆器はどこで購入・体験できますか?▼
福井県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福井県の工芸品については福井県の伝統工芸品一覧もご覧ください。