陶磁器
美濃焼
みのやき
岐阜県東濃地方で生産される陶磁器。志野や織部など多彩な様式が特徴。
History
歴史
美濃焼は岐阜県東濃地方(多治見市・土岐市・瑞浪市・可児市)で生産される陶磁器の総称である。その起源は古墳時代の須恵器にまで遡るが、本格的な発展は桃山時代である。志野・織部・黄瀬戸・瀬戸黒などの名品が生まれ、茶の湯の世界で高く評価された。特に志野は日本で初めて絵付けが施された白い焼き物として画期的であった。江戸時代以降は日用食器の大量生産地として発展し、現在では日本の食器生産量の約60%を占める国内最大の陶磁器産地である。
Technique
技法
美濃焼は多様な技法を持つ総合的な陶磁器産地である。志野は白い長石釉を厚く掛け、鼠志野・赤志野・絵志野などの変化がある。織部は銅緑釉と鉄絵の組み合わせが特徴で、大胆な造形と自由な文様が魅力である。黄瀬戸は灰釉による淡い黄色の器で、胆礬(銅の緑)と鉄の褐色のアクセントが加わる。瀬戸黒は引き出し黒と呼ばれる技法で、高温の窯から引き出して急冷することで漆黒の茶碗を生む。現在は伝統技法に加え、近代的な量産技術も発達し、多種多様な製品を生産している。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原料調合
美濃地方の良質な陶土を採取し、志野・織部・黄瀬戸など焼き物の種類に応じて調合する
- 2
成形
轆轤挽きや手捻り、型成形などで器の形を作り、織部では沓形茶碗のような大胆で自由な造形を施す
- 3
乾燥
成形した器を十分に時間をかけて乾燥させ、素地全体の水分を均一に除去して次工程の焼成に備える
- 4
素焼き
乾燥した素地を低温で素焼きし、志野・織部・黄瀬戸それぞれの絵付けや施釉に適した吸水性を持たせる
- 5
絵付け
織部では鉄絵具で自由闊達な草花文様を描き、志野では鼠志野の下地処理や絵志野の繊細な文様を施す
- 6
施釉
志野には白い長石釉を厚く掛け、織部には銅緑釉、黄瀬戸には灰釉など焼き物の種類に応じた釉薬を掛ける
- 7
焼成
種類に応じた温度と雰囲気で焼成し、瀬戸黒は高温の窯から引き出し急冷して漆黒を得る
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
加藤 孫九郎
伝統工芸士
孫九郎窯
岐阜県多治見市に生まれ、志野・織部・黄瀬戸など美濃焼の多彩な伝統技法を五十年にわたり研究・制作してきた。特に志野焼の長石釉による柔らかな白肌と緋色の表現において第一人者と称される。日本伝統工芸展で複数回入選し、美濃陶芸協会の重鎮として活動している。
制作哲学
美濃焼は桃山時代に花開いた日本陶芸の華である。志野・織部・黄瀬戸、それぞれの個性を深く理解し、その精神を現代に伝えたい。
“志野の白は雪のようでもあり、月のようでもある。その奥深さを一生追い続けます。
林 莉子
若手作家
莉子工房
岐阜県出身。多治見市陶磁器意匠研究所で学んだ後、美濃焼の窯元で修業を積んだ。織部焼の大胆な造形と緑釉の伝統を受け継ぎながら、現代の食卓に映える個性的な器を制作している。若手陶芸家のグループ展を主催するなど、美濃焼の新しい可能性を発信している。
制作哲学
桃山の茶人たちが愛した美濃焼の自由な精神を、令和の時代にも受け継ぎたい。
“織部の緑は一つとして同じ色がない。その変化を楽しめるのが美濃焼の面白さです。
FAQ
よくある質問
美濃焼とは何ですか?▼
岐阜県東濃地方で生産される陶磁器。志野や織部など多彩な様式が特徴。
美濃焼の産地はどこですか?▼
美濃焼は岐阜県で生産されている陶磁器です。
美濃焼の技法・特徴は?▼
美濃焼は多様な技法を持つ総合的な陶磁器産地である。志野は白い長石釉を厚く掛け、鼠志野・赤志野・絵志野などの変化がある。織部は銅緑釉と鉄絵の組み合わせが特徴で、大胆な造形と自由な文様が魅力である。黄瀬戸は灰釉による淡い黄色の器で、胆礬(銅の緑)と鉄の褐色のアクセントが加わる。瀬戸黒は引き出し黒と呼ばれる技法で、高温の窯から引き出して急冷することで漆黒の茶碗を生む。現在は伝統技法に加え、近代的な量産技術も発達し、多種多様な製品を生産している。
美濃焼はどこで購入・体験できますか?▼
岐阜県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。岐阜県の工芸品については岐阜県の伝統工芸品一覧もご覧ください。