木工品・竹工品
越前箪笥
えちぜんたんす
福井県越前市で生産される箪笥。欅材と漆塗りによる堅牢な作りが特徴。
History
歴史
越前箪笥は福井県越前市で製作される箪笥で、江戸時代後期の天保年間(1830〜1844年)に越前の指物師が箪笥を作り始めたのが起源とされる。越前地方は古くから木工・漆工・打刃物の伝統産業が集積しており、これらの技術が箪笥製作に結集した。特に越前打刃物の鍛造技術を活かした鉄金具と、越前漆器の漆塗り技術が組み合わさることで、独自の重厚な箪笥が生まれた。2013年に国の伝統的工芸品に指定。越前の複合的な伝統技術が融合した総合工芸品として高い評価を得ている。
Technique
技法
越前箪笥はケヤキを主材とし、木地・漆塗り・金具の三つの技術を融合させて製作される。木地はケヤキの厚板をほぞ組みで堅牢に組み上げ、引き出しの内部には桐材を使用して調湿性を確保する。漆塗りは越前漆器の技術を応用し、木地呂塗りや黒漆塗りなどが施される。金具は越前打刃物の伝統を受け継ぐ鍛造技術で鉄板から手打ちで成形し、透かし彫りや毛彫りで文様を表現する。木地師、塗師、金具師の三つの専門職が分業で携わり、それぞれの伝統技術が一棹の箪笥に凝縮される。
Process
制作工程
全7工程
- 1
木地製作
ケヤキの厚板をほぞ組みで堅牢に組み上げ、引き出し内部には桐材を使い箪笥の本体を作る
- 2
木地調整
組み上がった箪笥全体を鉋とヤスリで丁寧に整え、漆塗りのための滑らかな下地を作る
- 3
下地塗り
木地に砥の粉や地の粉を混ぜた下地漆を塗り、研ぎと塗りを繰り返して堅牢な塗膜を作る
- 4
上塗り
越前漆器の技術を応用し、木地呂塗りや黒漆塗りなどの技法で美しい漆の仕上げを施す
- 5
金具鍛造
越前打刃物の伝統を受け継ぐ鍛造技術で鉄板を手打ちし、箪笥用の金具を成形する
- 6
金具彫刻
鍛造した金具に透かし彫りや毛彫りで唐草や花などの伝統文様を精緻に打ち出す
- 7
組付け
漆塗りの本体に手打ち金具を一つずつ正確に取り付け、三つの技術が融合した箪笥を完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
前田 喜三郎
伝統工芸士
前田箪笥工房
1948年福井県越前市生まれ。越前箪笥の産地で指物師として60年近いキャリアを持つ大ベテラン。欅や桐を用いた伝統的な衣装箪笥の製作を得意とし、越前打刃物の金具や越前漆器の技法を組み合わせた総合的な箪笥づくりに精通する。福井県無形文化財技術保持者。
制作哲学
越前箪笥は木工、金工、漆工の三つの技が結集して初めて完成する。それぞれの技に敬意を払い、調和のとれた箪笥を作ることが使命だ。
“越前の職人たちの技が一棹の箪笥に集まるとき、ものづくりの奇跡が起こる。
坂井 健斗
若手職人
1995年福井県鯖江市生まれ。福井県工業技術センターで木工技術を学んだ後、越前箪笥の工房に入門。木地師としての腕を磨きながら、現代のマンション生活に対応したモジュール式の箪笥や小型収納家具の開発に取り組んでいる。越前漆器や越前和紙とのコラボレーション作品も手がける。
制作哲学
越前のものづくりの力を結集し、新しい時代の箪笥の形を模索し続けたい。
“伝統の技術があるからこそ、新しい挑戦ができる。基本を大切にしています。
FAQ
よくある質問
越前箪笥とは何ですか?▼
福井県越前市で生産される箪笥。欅材と漆塗りによる堅牢な作りが特徴。
越前箪笥の産地はどこですか?▼
越前箪笥は福井県で生産されている木工品・竹工品です。
越前箪笥の技法・特徴は?▼
越前箪笥はケヤキを主材とし、木地・漆塗り・金具の三つの技術を融合させて製作される。木地はケヤキの厚板をほぞ組みで堅牢に組み上げ、引き出しの内部には桐材を使用して調湿性を確保する。漆塗りは越前漆器の技術を応用し、木地呂塗りや黒漆塗りなどが施される。金具は越前打刃物の伝統を受け継ぐ鍛造技術で鉄板から手打ちで成形し、透かし彫りや毛彫りで文様を表現する。木地師、塗師、金具師の三つの専門職が分業で携わり、それぞれの伝統技術が一棹の箪笥に凝縮される。
越前箪笥はどこで購入・体験できますか?▼
福井県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福井県の工芸品については福井県の伝統工芸品一覧もご覧ください。