漆器
香川漆器
かがわしっき
香川県で生産される漆器。蒟醤や存清など独自の技法が特徴。
History
歴史
香川漆器は江戸時代前期の寛永年間(1638年頃)、高松藩初代藩主・松平頼重が漆工技術を奨励したことに端を発する。幕末から明治にかけて活躍した漆芸家・玉楮象谷が中国やタイの漆器技法を深く研究し、蒟醤・存清・彫漆など独自の技法を確立した。これらの技法は讃岐漆芸として発展し、他の産地にはない多彩な加飾技法を持つ漆器産地となった。1976年に伝統的工芸品に指定され、五つの技法が今日まで伝承されている。高松市を中心に美術工芸品として高い評価を受けている。
Technique
技法
香川漆器は蒟醤・存清・彫漆・後藤塗・象谷塗の五つの技法を特徴とする。蒟醤は漆面に細かい線彫りを施し、色漆を埋め込んで研ぎ出す精緻な技法である。存清は色漆で文様を描いた上に、輪郭を鋭い刃物で線彫りして文様を際立たせる。彫漆は色漆を百回以上も塗り重ねてから文様を彫刻する技法で、後藤塗は朱塗りの上に篦で自在に文様を描く。象谷塗は木地に漆を深く染み込ませ、渋く落ち着いた風合いに仕上げる。いずれも高度な技術を要する芸術性の高い漆器である。
Process
制作工程
全7工程
- 1
木地作り
ケヤキやサクラなどの良質な木材をろくろ挽きや指物の技法で器の形に丁寧に成形する
- 2
下地塗り
生漆と地の粉を混合した下地材を数回にわたり塗り重ね、各層の乾燥と研磨を繰り返して堅牢な下地を築く
- 3
中塗り
精製漆を均一に塗り、乾燥後に砥石で丁寧に研磨して上塗りと加飾のための平滑な表面を整える
- 4
色漆塗重
蒟醤や彫漆の技法に応じて、色漆を百回以上にも及ぶ回数で計画的に塗り重ねて厚い多色の漆膜を形成する
- 5
彫り加飾
蒟醤では細かい線彫りに色漆を埋め込み、彫漆では厚い色漆層に文様を彫刻して多彩な色層を見せる
- 6
存清加飾
存清では色漆で文様を描いた上に鋭い刃物で輪郭線を彫り、文様を際立たせる精緻な加飾を施す
- 7
仕上げ
研ぎ出しや磨き上げを行い、五つの技法それぞれの特徴を活かした芸術性の高い漆器に完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
松本 象堂
伝統工芸士
象堂漆芸
1947年香川県高松市生まれ。香川漆器の代表的技法である蒟醤・存清・彫漆の三技法を全て修得した数少ない職人。特に蒟醤の精緻な線彫りにおいて突出した技術を持ち、県の無形文化財にも指定されている。
制作哲学
香川漆器の三技法は、それぞれが独自の美の世界を持つ。一人の職人が三つの美を追求できることが、香川の漆器文化の豊かさだ。
“蒟醤の細い線を一本引くとき、呼吸を止めて全神経を指先に集中させます。
多田 菜々子
若手作家
漆工房 菜の花
1994年香川県丸亀市生まれ。香川県漆芸研究所で存清と蒟醤を学び、卒業後に独立。讃岐の温暖な風土をモチーフにした華やかな存清作品を中心に制作し、日本伝統工芸展にも入選している。
制作哲学
香川漆器の色彩豊かな表現力を活かし、見て楽しく使って嬉しい漆器を目指しています。
“存清で花を描くとき、漆器の上に小さな庭が生まれるような気持ちになります。
FAQ
よくある質問
香川漆器とは何ですか?▼
香川県で生産される漆器。蒟醤や存清など独自の技法が特徴。
香川漆器の産地はどこですか?▼
香川漆器は香川県で生産されている漆器です。
香川漆器の技法・特徴は?▼
香川漆器は蒟醤・存清・彫漆・後藤塗・象谷塗の五つの技法を特徴とする。蒟醤は漆面に細かい線彫りを施し、色漆を埋め込んで研ぎ出す精緻な技法である。存清は色漆で文様を描いた上に、輪郭を鋭い刃物で線彫りして文様を際立たせる。彫漆は色漆を百回以上も塗り重ねてから文様を彫刻する技法で、後藤塗は朱塗りの上に篦で自在に文様を描く。象谷塗は木地に漆を深く染み込ませ、渋く落ち着いた風合いに仕上げる。いずれも高度な技術を要する芸術性の高い漆器である。
香川漆器はどこで購入・体験できますか?▼
香川県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。香川県の工芸品については香川県の伝統工芸品一覧もご覧ください。