陶磁器
萩焼
はぎやき
山口県萩市で生産される陶器。柔らかい質感と使い込むほど変化する萩の七化けが特徴。
History
歴史
萩焼は山口県萩市を中心に生産される陶器で、「一楽二萩三唐津」と茶人に称される名陶である。慶長9年(1604年)、毛利輝元が関ヶ原の戦い後に萩に移封された際、朝鮮陶工の李勺光と李敬を伴い、松本中之倉に窯を開いたのが始まりとされる。藩の御用窯として保護され、茶陶を中心に優れた作品が生み出された。江戸時代を通じて藩の庇護のもと発展し、代々の陶工家が技を継承した。「萩の七化け」と呼ばれるように、使い込むほどに色合いが変化する特性で愛されている。
Technique
技法
萩焼は大道土(だいどうつち)と見島土を主原料とし、粗い粒子を含む柔らかな素地が特徴である。成形は轆轤挽きを中心に行い、やや厚めでおおらかな造形に仕上げる。釉薬は長石釉や藁灰釉を用い、白色や枇杷色の柔らかい色調を生む。焼成温度は約1200度から1250度とやや低めで、素地の吸水性が残る。このため使用するうちに茶渋などが染み込み、色合いが徐々に変化する「萩の七化け」と呼ばれる現象が起きる。高台に切り込みを入れる「切り高台」も萩焼の伝統的な特徴である。
Process
制作工程
全8工程
- 1
土採取
大道土と見島土を主原料として採取し、粗い粒子を含む柔らかな素地用の粘土を調合する
- 2
土練り
調合した粘土を十分に練り込み、気泡を抜いて萩焼特有の粗い土味を活かした状態に整える
- 3
成形
轆轤挽きを中心にやや厚めでおおらかな造形に成形し、萩焼らしい温かみのある形を作る
- 4
切り高台
器の高台にヘラで切り込みを入れる萩焼伝統の切り高台の技法を施し、萩焼ならではの独特な意匠を加える
- 5
乾燥
成形した器をゆっくりと自然乾燥させ、粗い粒子を含む土の素地が均一に収縮するよう水分を除去する
- 6
素焼き
乾燥した素地を低温で素焼きし、長石釉や藁灰釉の施釉に適した吸水性を持たせて強度を高める
- 7
施釉
長石釉や藁灰釉を掛けて白色や枇杷色の柔らかい色調を目指し、萩の七化けを生む貫入の出方を調整する
- 8
焼成
約1200度から1250度のやや低めの温度で焼成し、素地に適度な吸水性が残る萩焼独特の質感に仕上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
坂倉 宗雅
伝統工芸士
宗雅窯
山口県萩市に生まれ、萩焼の茶陶を中心に四十五年にわたり制作を続けてきた。萩焼特有の柔らかな土味と、使い込むほどに変化する「萩の七化け」を最大限に引き出す技法に長けている。日本工芸会正会員として伝統工芸展に毎年出品し、茶道具の名品を数多く生み出してきた。
制作哲学
萩焼は使う人とともに育つ器である。茶を点て、湯を注ぐたびに表情を変える萩焼の魅力を、茶の湯を通じて伝えたい。
“萩の七化けは、器と使い手が共に歩んだ時間の証です。
吉村 朝陽
若手作家
山口県出身。萩焼の窯元の家に生まれたが、一度は東京でグラフィックデザイナーとして活動。三十代で帰郷し、父の下で萩焼の修業を始めた。デザイナー時代の経験を活かし、萩焼の柔らかな質感を活かしたモダンなフォルムの器を制作している。カフェやレストランへの卸売りも積極的に行っている。
制作哲学
萩焼の柔らかさと経年変化の美しさを、現代のライフスタイルの中で体験してもらいたい。
“使い込むほどに変わる萩焼は、持ち主だけの一点ものになっていくのです。
FAQ
よくある質問
萩焼とは何ですか?▼
山口県萩市で生産される陶器。柔らかい質感と使い込むほど変化する萩の七化けが特徴。
萩焼の産地はどこですか?▼
萩焼は山口県で生産されている陶磁器です。
萩焼の技法・特徴は?▼
萩焼は大道土(だいどうつち)と見島土を主原料とし、粗い粒子を含む柔らかな素地が特徴である。成形は轆轤挽きを中心に行い、やや厚めでおおらかな造形に仕上げる。釉薬は長石釉や藁灰釉を用い、白色や枇杷色の柔らかい色調を生む。焼成温度は約1200度から1250度とやや低めで、素地の吸水性が残る。このため使用するうちに茶渋などが染み込み、色合いが徐々に変化する「萩の七化け」と呼ばれる現象が起きる。高台に切り込みを入れる「切り高台」も萩焼の伝統的な特徴である。
萩焼はどこで購入・体験できますか?▼
山口県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。山口県の工芸品については山口県の伝統工芸品一覧もご覧ください。