陶磁器
石見焼
いわみやき
島根県で生産される陶器。大型の水甕やすり鉢など日用品が中心。
History
歴史
石見焼は島根県江津市を中心とする石見地方で生産される陶器である。元禄年間(1688年〜)に周防国から来た陶工が石見地方で窯を開いたのが起源とされる。江津市の都野津層から産出する良質な陶土を用いて、大甕や水甕などの大物陶器を中心に生産してきた。石見焼の甕は耐酸性・耐塩性に優れ、漬物容器や醤油甕として全国に流通した。最盛期には多数の窯が操業し、北前船で日本海沿岸各地に出荷された。昭和69年に伝統的工芸品に指定され、現在も大物陶器の産地として知られている。
Technique
技法
石見焼は石見地方の都野津層から産出する耐火度の高い良質な陶土を使用する。この土は粒子が細かく粘りが強いため、大物の成形に適している。大甕の成形は紐作りで粘土の紐を積み上げて形を作る伝統的な技法が用いられ、一つの甕を何日もかけて成形する。来待石を原料とする来待釉(茶褐色)や、わら灰釉、塩釉などの伝統的な釉薬が用いられる。焼成は登り窯やガス窯で約1250度から1300度で行い、釉薬が高温で溶けて丈夫で緻密な焼き上がりとなる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
土採取
都野津層から耐火度の高い良質な陶土を採取し、粒子が細かく粘りの強い粘土を確保する
- 2
土練り
採取した陶土を水簸・精製した後に十分に練り込み、大甕などの大物成形に適した強い粘りを持たせる
- 3
成形
紐作りの技法で粘土の紐を一段ずつ積み上げて大甕などの形を作り、数日をかけて一つの器を成形する
- 4
乾燥
大型の成形品を数週間かけてゆっくりと慎重に乾燥させ、均一な収縮を保ちながら変形を防止する
- 5
素焼き
乾燥した素地を低温で素焼きし、来待釉やわら灰釉などの釉薬が均一に定着するための吸水性を持たせる
- 6
施釉
来待石を原料とする来待釉・わら灰釉・塩釉などの伝統的な釉薬を掛けて丈夫で緻密な仕上がりを目指す
- 7
焼成
登り窯やガス窯で約1250度から1300度で焼成し、釉薬を高温で溶かして堅牢に焼き上げる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
石橋 窯一
伝統工芸士
石橋窯
島根県江津市に生まれ、石見焼の大物陶器の制作に四十年以上携わってきた。水甕・すり鉢・漬物容器など暮らしに根ざした大型の器を得意とし、来待石の釉薬による独特の飴色の仕上がりで知られる。石見焼の技術保存会の会長として、後継者の育成にも尽力している。
制作哲学
石見焼は暮らしの道具である。堅牢で実用的な器を作ることが、石見焼の職人としての矜持である。
“大きな甕を轆轤で挽き上げる技は、身体で覚えるしかありません。
安達 凛太郎
若手作家
安達陶房
島根県出身。地元の窯業技術センターで石見焼の技術を学んだ後、伝統的な大物陶器の技法を活かしたガーデニング用品やインテリア雑貨の制作に取り組んでいる。石見焼の堅牢さと耐酸性を活かした新商品の開発にも挑戦し、産地の活性化に貢献している。
制作哲学
石見焼の丈夫さは、現代の暮らしでも大いに活きる。新しい用途を提案して産地に活力を取り戻したい。
“何百年も使える器を作れるのが、石見焼の職人としての誇りです。
FAQ
よくある質問
石見焼とは何ですか?▼
島根県で生産される陶器。大型の水甕やすり鉢など日用品が中心。
石見焼の産地はどこですか?▼
石見焼は島根県で生産されている陶磁器です。
石見焼の技法・特徴は?▼
石見焼は石見地方の都野津層から産出する耐火度の高い良質な陶土を使用する。この土は粒子が細かく粘りが強いため、大物の成形に適している。大甕の成形は紐作りで粘土の紐を積み上げて形を作る伝統的な技法が用いられ、一つの甕を何日もかけて成形する。来待石を原料とする来待釉(茶褐色)や、わら灰釉、塩釉などの伝統的な釉薬が用いられる。焼成は登り窯やガス窯で約1250度から1300度で行い、釉薬が高温で溶けて丈夫で緻密な焼き上がりとなる。
石見焼はどこで購入・体験できますか?▼
島根県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。島根県の工芸品については島根県の伝統工芸品一覧もご覧ください。