陶磁器
大堀相馬焼
おおぼりそうまやき
福島県浪江町で生産される陶器。走り駒の絵柄と青ひび釉薬が特徴。
History
歴史
大堀相馬焼は福島県双葉郡浪江町大堀地区で生産されてきた陶器である。元禄3年(1690年)頃、相馬藩士の半谷休閑が大堀の地で陶器を焼き始めたのが起源とされる。藩の保護のもと急速に発展し、最盛期には100軒以上の窯元が軒を連ねた。走り駒(馬の絵)、青ひび(貫入)、二重焼きの三つが大堀相馬焼の特徴として知られる。2011年の東日本大震災と原発事故により大堀地区は避難区域となり、多くの窯元が各地に移転して伝統の継承に努めている。
Technique
技法
大堀相馬焼は地元の陶土を用い、轆轤で成形する。最大の特徴は三つの伝統技法にある。第一に「走り駒」は相馬藩の藩印であった馬を筆で勢いよく描く絵付け技法である。第二に「青ひび」は素地と釉薬の収縮率の差を利用して、表面に細かい貫入(ひび割れ)を意図的に生じさせる技法で、独特の美しい模様となる。第三に「二重焼き」は内側と外側の二重構造にすることで保温・保冷効果を持たせた実用的な技法である。焼成は約1280度で行われる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
土練り
地元の浪江町周辺で産出する陶土を水簸・精製し、十分に練り込んで気泡を除去した均質な粘土を作る
- 2
成形
轆轤を用いて器の形を丁寧に挽き出し、二重焼き製品の場合は内側と外側の二重構造に成形する
- 3
二重接合
二重焼き製品では内側と外側の二つの器を寸法を合わせて精密に接合し、保温保冷効果を持たせる
- 4
素焼き
十分に乾燥させた素地を低温で素焼きし、走り駒の絵付けに適した吸水性と適度な強度を持たせる
- 5
絵付け
走り駒と呼ばれる躍動感あふれる馬の図柄を筆で勢いよく描き、相馬藩伝来の伝統的な文様を施す
- 6
施釉
素地と収縮率の異なる釉薬を掛け、焼成時に青ひびと呼ばれる美しい貫入を生む準備をする
- 7
本焼き
約1280度の高温で本焼きし、釉薬の収縮差により表面に細かな青ひびの模様を発現させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
半谷 義弘
伝統工芸士
半谷窯
福島県浪江町に生まれ、大堀相馬焼の窯元の家系に育つ。走り駒の絵付けと青ひび割れの技法を四十年以上にわたり守り続けてきた。東日本大震災後は避難先で窯を再建し、伝統の灯を絶やすまいと制作を続けている。二重焼きの保温性に優れた湯呑みの制作で特に知られる。
制作哲学
大堀相馬焼の走り駒は、困難に立ち向かう相馬の人々の心そのものである。この精神を器に込めて次代に伝えたい。
“震災を乗り越え、再び窯に火を入れたあの日の感動は一生忘れません。
松本 翔平
若手作家
福島県出身。震災後に避難生活を経験したことをきっかけに、故郷の伝統を受け継ぐ決意を固め、大堀相馬焼の職人に弟子入りした。伝統的な走り駒の絵付けを継承しつつ、現代のライフスタイルに合った器のデザインを模索している。復興支援イベントでの実演や展示活動にも力を入れている。
制作哲学
大堀相馬焼は福島の誇りであり希望である。若い世代にこの伝統を知ってもらうことが私の役目だと思っている。
“走り駒を描くたびに、前へ進む力をもらっています。
FAQ
よくある質問
大堀相馬焼とは何ですか?▼
福島県浪江町で生産される陶器。走り駒の絵柄と青ひび釉薬が特徴。
大堀相馬焼の産地はどこですか?▼
大堀相馬焼は福島県で生産されている陶磁器です。
大堀相馬焼の技法・特徴は?▼
大堀相馬焼は地元の陶土を用い、轆轤で成形する。最大の特徴は三つの伝統技法にある。第一に「走り駒」は相馬藩の藩印であった馬を筆で勢いよく描く絵付け技法である。第二に「青ひび」は素地と釉薬の収縮率の差を利用して、表面に細かい貫入(ひび割れ)を意図的に生じさせる技法で、独特の美しい模様となる。第三に「二重焼き」は内側と外側の二重構造にすることで保温・保冷効果を持たせた実用的な技法である。焼成は約1280度で行われる。
大堀相馬焼はどこで購入・体験できますか?▼
福島県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福島県の工芸品については福島県の伝統工芸品一覧もご覧ください。