漆器
紀州漆器
きしゅうしっき
和歌山県海南市で生産される漆器。蒔絵や根来塗の技法が特徴。
History
歴史
紀州漆器は室町時代末期の天正年間、紀州根来寺の僧侶が寺の什器として漆器を製作したことに始まるとされ、根来塗として知られる朱塗りの漆器が起源である。1585年の豊臣秀吉による根来攻めで寺は焼失したが、漆工たちは近隣の黒江に移り住んで生産を続けた。江戸時代には紀州藩の手厚い保護を受け、黒江は日本有数の漆器産地に発展した。1978年に伝統的工芸品に指定され、和歌山県海南市黒江を中心に現在も活発な生産が続いている。
Technique
技法
紀州漆器は檜や椹などの良質な木材を木地に用い、ろくろ挽きや曲物の技法で成形する。渋下地と呼ばれる柿渋を用いた独特の下地処理が特徴で、堅牢な塗膜の基礎を作る。根来塗は下塗りに黒漆、上塗りに朱漆を施し、使い込むうちに朱が摩耗して下の黒漆が現れてくる経年変化の味わいが最大の魅力である。近代以降は蒔絵や沈金の加飾技法も取り入れ、多彩な製品を生産している。効率的な分業体制により日用漆器を中心に量産も行い、実用性と手頃な価格を両立させている。
Process
制作工程
全6工程
- 1
木地作り
檜や椹などの良質な木材をろくろ挽きや曲物の技法で器の形に成形し、十分に乾燥させて安定した木地を作る
- 2
渋下地
柿渋を木地に塗布して木材の目を固め、紀州漆器独特の堅牢な塗膜の基礎となる下地処理を施す
- 3
下地塗り
生漆と地の粉を混ぜた下地材を数回塗り重ね、各層を乾燥・研磨して平滑で強固な下地層を形成する
- 4
黒漆下塗
根来塗の技法に基づき、下塗りとして黒漆を均一に塗り、乾燥させて朱漆の下層となる黒色の塗膜を作る
- 5
朱漆上塗
黒漆の上に朱漆を刷毛で丁寧に塗り上げ、使い込むうちに朱が摩耗して黒漆が現れる根来塗の味わいを実現する
- 6
加飾仕上げ
必要に応じて蒔絵や沈金の技法で文様を施し、磨き上げて実用性と美しさを兼ね備えた漆器に完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
湯川 正太郎
伝統工芸士
湯川漆器本店
1949年和歌山県海南市黒江生まれ。紀州漆器の産地・黒江で代々漆器業を営む家系の三代目。蒔絵と沈金を得意とし、紀州の自然をモチーフにした温かみのある漆器を数多く手がけてきた。
制作哲学
紀州漆器は日用の美を追求してきた庶民の漆器である。手に取りやすい価格で本物の漆の良さを届けることが、黒江の職人の矜持だ。
“良い漆器を日々の暮らしに届ける、それが四百年続く黒江の心意気です。
木村 さくら
若手作家
1996年和歌山県和歌山市生まれ。和歌山大学で経済学を学んだ後、地域産業に興味を持ち紀州漆器の工房に就職した。伝統的な蒔絵技法を修業しながら、日常使いの漆器のオンライン販売にも取り組んでいる。
制作哲学
漆器の良さを知らない世代に、まず手に取ってもらうきっかけをつくることが大切。
“初めて漆のお椀でお味噌汁を飲んだときの感動を、一人でも多くの人に伝えたいです。
FAQ
よくある質問
紀州漆器とは何ですか?▼
和歌山県海南市で生産される漆器。蒔絵や根来塗の技法が特徴。
紀州漆器の産地はどこですか?▼
紀州漆器は和歌山県で生産されている漆器です。
紀州漆器の技法・特徴は?▼
紀州漆器は檜や椹などの良質な木材を木地に用い、ろくろ挽きや曲物の技法で成形する。渋下地と呼ばれる柿渋を用いた独特の下地処理が特徴で、堅牢な塗膜の基礎を作る。根来塗は下塗りに黒漆、上塗りに朱漆を施し、使い込むうちに朱が摩耗して下の黒漆が現れてくる経年変化の味わいが最大の魅力である。近代以降は蒔絵や沈金の加飾技法も取り入れ、多彩な製品を生産している。効率的な分業体制により日用漆器を中心に量産も行い、実用性と手頃な価格を両立させている。
紀州漆器はどこで購入・体験できますか?▼
和歌山県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。和歌山県の工芸品については和歌山県の伝統工芸品一覧もご覧ください。