文具
雄勝硯
おがつすずり
宮城県石巻市雄勝で産出する玄昌石を用いた硯。緻密な石質が特徴。
History
歴史
雄勝硯は宮城県石巻市雄勝町で生産される硯で、その歴史は室町時代にさかのぼる。雄勝地方で産出される黒色の硯石(雄勝石)は粘板岩の一種で、硯に適した性質を持つことが古くから知られていた。伊達藩の御用硯として珍重され、江戸時代には全国に流通するようになった。現在、国産硯の約90%が雄勝産とされている。1985年に伝統的工芸品に指定された。2011年の東日本大震災で壊滅的被害を受けたが、職人たちの手で復興が進められている。
Technique
技法
雄勝硯の製造は、まず雄勝石の良質な原石を採掘するところから始まる。雄勝石は約2億年前に堆積した黒色の粘板岩で、緻密な結晶構造を持つ。原石を石割りで適当な大きさに切り出し、荒彫りで大まかな形を整える。次にのみや彫刻刀で墨堂・墨池を彫り込み、側面には伝統的な文様を施す。仕上げは砥石で丹念に磨き上げ、石本来の光沢を引き出す。雄勝石の微細な粒子構造が墨のおりを格段に良くし、滑らかで濃い墨色を得ることができる。
Process
制作工程
全6工程
- 1
原石採掘
約2億年前に堆積した黒色粘板岩である雄勝石を坑道から採掘し、緻密な結晶構造を持つ良質な石を選ぶ
- 2
石割り
採掘した原石をのみと金槌で硯に適した大きさに切り出し、石の層理に沿って平らな板状にする
- 3
荒彫り
板状に切り出した石をのみで大まかな硯の形に整え、墨堂と墨池の位置を定めて削り出す
- 4
墨堂彫り
墨をする面である墨堂を平滑に仕上げ、墨池を深く彫り込んで墨液が溜まる形状を作る
- 5
文様彫刻
硯の側面に数十種類の鑿と彫刻刀を使い、伝統的な文様を精緻に彫り込んで意匠を施す
- 6
研磨仕上げ
砥石で硯全体を丹念に磨き上げ、雄勝石本来の黒い光沢と滑らかで濃い墨色を得る鋒鋩を整える
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
佐藤 栄作
伝統工芸士
佐藤硯工房
宮城県石巻市雄勝町に生まれ、雄勝硯の職人として五十年以上のキャリアを持つ。東日本大震災で工房を失うも、仮設の作業場で硯づくりを再開し、雄勝硯の復興のシンボルとなった。雄勝石の黒色粘板岩を用いた硯は墨おりが良く、全国の書道家に愛されている。
制作哲学
震災を乗り越え、六百年の伝統を守り抜く。雄勝の石と職人の技は、どんな困難にも負けない。
“津波に流された工房を建て直したとき、雄勝硯の歴史はまだ終わらないと確信しました。
千葉 拓真
若手職人
雄勝石工房 拓
宮城県仙台市出身。東日本大震災のボランティア活動をきっかけに雄勝町を訪れ、雄勝硯の文化に出会う。大学卒業後、雄勝に移住して硯職人に弟子入りし、伝統技術の習得に励んでいる。硯以外にもスレート素材を活用した食器やオブジェの制作にも挑戦している。
制作哲学
雄勝硯を通じて復興の物語を伝え、この土地の未来を石に刻みたい。
“雄勝石を削るたびに、この土地の底力と先人たちの想いが掌に伝わってきます。
FAQ
よくある質問
雄勝硯とは何ですか?▼
宮城県石巻市雄勝で産出する玄昌石を用いた硯。緻密な石質が特徴。
雄勝硯の産地はどこですか?▼
雄勝硯は宮城県で生産されている文具です。
雄勝硯の技法・特徴は?▼
雄勝硯の製造は、まず雄勝石の良質な原石を採掘するところから始まる。雄勝石は約2億年前に堆積した黒色の粘板岩で、緻密な結晶構造を持つ。原石を石割りで適当な大きさに切り出し、荒彫りで大まかな形を整える。次にのみや彫刻刀で墨堂・墨池を彫り込み、側面には伝統的な文様を施す。仕上げは砥石で丹念に磨き上げ、石本来の光沢を引き出す。雄勝石の微細な粒子構造が墨のおりを格段に良くし、滑らかで濃い墨色を得ることができる。
雄勝硯はどこで購入・体験できますか?▼
宮城県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。宮城県の工芸品については宮城県の伝統工芸品一覧もご覧ください。