漆器
若狭塗
わかさぬり
福井県小浜市で生産される漆器。貝殻や卵殻を用いた研ぎ出し技法の塗箸が代表的。
History
歴史
若狭塗は江戸時代初期の寛永年間(1634年頃)、小浜藩の漆塗師・松浦三十郎が中国の漆器技法に着想を得て創始したとされる。海底の美しい光景を模した独特の模様が藩主・酒井忠勝の目に留まり、藩の重要な保護産業として発展を遂げた。特に若狭塗箸は全国的に有名で、現在も塗箸の国内生産量の約八割を占めるほどである。江戸中期には多彩な変わり塗り技法が確立され、1978年に伝統的工芸品に指定された。福井県小浜市を中心に伝統が受け継がれている。
Technique
技法
若狭塗は卵殻や貝殻の細片、松葉、菜種などの天然素材を漆の層の間に蒔き込み、何層もの色漆を塗り重ねた後に丹念に研ぎ出すことで、海底を思わせる幻想的な文様を浮かび上がらせる技法が最大の特徴である。完成までに数十回の塗りと研ぎを繰り返し、約半年から一年もの歳月を要する。代表的な技法に起こし貝、貝散らし、磯草塗などがある。特に若狭塗箸は丸材に下地を施し、色漆と天然素材を交互に塗り重ねて研ぎ出すことで唯一無二の模様が生まれる。
Process
制作工程
全7工程
- 1
木地作り
箸の丸材や器の木地を所定の寸法に成形し、十分に乾燥させて漆の塗り重ねに耐える安定した素地を作る
- 2
下地塗り
生漆と地の粉を混ぜた下地材を木地に塗り重ね、乾燥と研磨を繰り返して堅牢な塗膜の基礎を丁寧に築く
- 3
素材蒔き
卵殻や貝殻の細片、松葉、菜種などの天然素材を漆の層の間に計画的に蒔き込み、文様の種を配置する
- 4
色漆塗重
天然素材の上に異なる色の漆を数十回にわたり塗り重ね、各層を丁寧に乾燥させて厚い多層の漆膜を形成する
- 5
研ぎ出し
砥石や炭で漆面を丹念に研ぎ出し、埋め込んだ天然素材と色漆の層が現れて海底を思わせる幻想的な文様を浮かび上がらせる
- 6
上塗り
研ぎ出した表面に透漆を薄く塗り重ねて模様を保護し、全体に深みのある光沢と奥行き感を与える
- 7
最終研磨
細かい砥の粉と生漆で表面を磨き上げ、唯一無二の天然素材の文様が鮮明に輝く美しい仕上がりにする
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
小浜 清左衛門
伝統工芸士
小浜漆箸工房
1946年福井県小浜市生まれ。若狭塗箸の名人として知られ、卵殻や貝殻を漆に封じ込める伝統技法を極めた。特に若狭塗箸の制作においては、十数回の塗りと研ぎ出しを重ねる工程を丹念に行い、海底のような幻想的な模様を生み出す。
制作哲学
若狭の海の美しさを箸の中に閉じ込める。小さな箸一膳に、職人の技の全てが凝縮されている。
“箸は毎日手に取るもの。だからこそ最高の技で、最高の一膳を作りたいのです。
古田 結衣
若手作家
漆工房 海月
1994年福井県敦賀市生まれ。京都の工芸学校で漆を学んだ後、若狭塗の研ぎ出し技法の奥深さに魅了されて小浜に移住した。伝統的な海底模様の箸に加え、現代的な色使いのアクセサリーなど新しい若狭塗製品の開発に取り組んでいる。
制作哲学
若狭塗の研ぎ出す楽しさを、もっと自由な形で表現していきたい。
“漆を研ぎ出した瞬間に現れる模様は、まるで宝石を発見したときのような喜びがあります。
FAQ
よくある質問
若狭塗とは何ですか?▼
福井県小浜市で生産される漆器。貝殻や卵殻を用いた研ぎ出し技法の塗箸が代表的。
若狭塗の産地はどこですか?▼
若狭塗は福井県で生産されている漆器です。
若狭塗の技法・特徴は?▼
若狭塗は卵殻や貝殻の細片、松葉、菜種などの天然素材を漆の層の間に蒔き込み、何層もの色漆を塗り重ねた後に丹念に研ぎ出すことで、海底を思わせる幻想的な文様を浮かび上がらせる技法が最大の特徴である。完成までに数十回の塗りと研ぎを繰り返し、約半年から一年もの歳月を要する。代表的な技法に起こし貝、貝散らし、磯草塗などがある。特に若狭塗箸は丸材に下地を施し、色漆と天然素材を交互に塗り重ねて研ぎ出すことで唯一無二の模様が生まれる。
若狭塗はどこで購入・体験できますか?▼
福井県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。福井県の工芸品については福井県の伝統工芸品一覧もご覧ください。