文具
熊野筆
くまのふで
広島県熊野町で生産される筆。書道筆や化粧筆など高品質な毛筆の国内最大産地。
History
歴史
熊野筆は広島県安芸郡熊野町で生産される筆で、その歴史は江戸時代末期にさかのぼる。農業だけでは生活が困難であった熊野の人々が、奈良や有馬で筆や墨の行商を行う中で筆づくりの技術を習得し、地元に持ち帰ったのが始まりである。明治以降は学校教育での毛筆使用の普及に伴い需要が急増し、日本一の筆の産地に成長した。1975年に伝統的工芸品に指定された。近年は化粧筆でも世界的な評価を得ており、産業の幅を広げている。
Technique
技法
熊野筆の製造は、原毛の選別・毛組み・穂立て・仕上げの工程で行われる。まずヤギ・イタチ・馬・鹿・タヌキなどの動物の毛を用途に応じて選別する。選んだ毛を「火のし」で整え、金属製の「さらえ」で逆毛や短い毛を取り除く。「練り混ぜ」で異なる毛を配合し、芯毛と上毛を組み合わせて穂先を形成する。穂を糸で締めて軸に接着し、形を整えて完成させる。熊野筆の特徴は毛先を切らずに自然の穂先を活かす「練り混ぜ」技法で、繊細なタッチを実現する。
Process
制作工程
全7工程
- 1
原毛選別
ヤギ・イタチ・馬・鹿・タヌキなどの動物毛を用途に応じて厳選し、品質ごとに分類する
- 2
火のし
選別した毛を加熱した金属板で整え、毛のくせや縮れを直して均一な質感に揃える
- 3
毛揃え
金属製のさらえを使って逆毛や短い毛を丁寧に取り除き、穂先に適した良質な毛だけを選り出す
- 4
練り混ぜ
毛先を切らずに自然の穂先を活かしながら異なる毛を配合し、繊細なタッチを実現する毛組みを行う
- 5
芯立て
配合した毛から芯毛を円錐状に形成し、筆の弾力と書き味の基礎となる穂の中心を作る
- 6
上毛巻き
芯毛の周囲に選び抜いた上毛を巻き付け、穂先の外形を美しく整えて所定の形状に仕上げる
- 7
軸固め
穂先を糸で締めて軸に接着し、糊で固定した後に最終調整を行って筆を完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
村上 義春
伝統工芸士
村上筆本舗
広島県安芸郡熊野町に生まれ、筆の町・熊野で三代にわたり筆づくりに携わる家系を継ぐ。書道筆・画筆・化粧筆のすべてを手がけるが、特に高級化粧筆の毛先を切らずに自然の穂先を活かす「先付け」の技術は業界屈指と評される。伝統工芸士として後進の育成にも注力している。
制作哲学
筆は毛の選別で八割が決まる。素材を見極める目と、毛を活かす手わざの両方を極めてこそ、一流の筆が生まれる。
“熊野の筆職人は毛と対話する。毛の性質を知り尽くしてこそ、使い手の期待に応えられるのです。
平田 奈々
若手作家
KUMANOFUDE studio
東京の化粧品メーカーでプロダクトデザイナーとして勤務した後、熊野筆の技術力に感銘を受け広島県熊野町に移住。職人のもとで修行しながら、海外の美容市場向けの高級化粧筆ブランドの立ち上げに携わっている。日本の伝統技術を世界に発信することに情熱を注ぐ。
制作哲学
熊野筆の繊細な技術は世界の美容業界を変える力がある。伝統と革新の架け橋になりたい。
“肌に触れた瞬間にわかる柔らかさ、それが熊野筆でしか実現できない品質です。
FAQ
よくある質問
熊野筆とは何ですか?▼
広島県熊野町で生産される筆。書道筆や化粧筆など高品質な毛筆の国内最大産地。
熊野筆の産地はどこですか?▼
熊野筆は広島県で生産されている文具です。
熊野筆の技法・特徴は?▼
熊野筆の製造は、原毛の選別・毛組み・穂立て・仕上げの工程で行われる。まずヤギ・イタチ・馬・鹿・タヌキなどの動物の毛を用途に応じて選別する。選んだ毛を「火のし」で整え、金属製の「さらえ」で逆毛や短い毛を取り除く。「練り混ぜ」で異なる毛を配合し、芯毛と上毛を組み合わせて穂先を形成する。穂を糸で締めて軸に接着し、形を整えて完成させる。熊野筆の特徴は毛先を切らずに自然の穂先を活かす「練り混ぜ」技法で、繊細なタッチを実現する。
熊野筆はどこで購入・体験できますか?▼
広島県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。広島県の工芸品については広島県の伝統工芸品一覧もご覧ください。