木工品・竹工品
一位一刀彫
いちいいっとうぼり
岐阜県高山市で一位材を用いた木彫り。彩色せず木肌の美しさを活かすのが特徴。
History
歴史
一位一刀彫は岐阜県高山地方に伝わる木彫工芸で、江戸時代後期の文化文政年間(1804〜1830年)に根付彫刻師・松田亮長が始祖とされる。イチイの木の美しい木目と色合いを活かし、彩色を施さず白木のまま仕上げる技法が特徴である。飛騨地方は良質なイチイの産地であり、古くから木工が盛んであった。明治以降は置物や欄間彫刻など多様な作品が生まれ、1975年に国の伝統的工芸品に指定された。飛騨の風土と職人の技が融合した独自の彫刻文化として現在も継承されている。
Technique
技法
一位一刀彫は飛騨地方産のイチイ材を用い、彩色を一切行わず、鑿と小刀による刀痕を意匠として活かす独特の技法である。まず原木を数年間自然乾燥させた後、荒彫り・中彫り・仕上げ彫りの工程を経る。職人は数十種類の鑿や小刀を使い分け、一刀一刀の切れ味鋭い刀跡をそのまま表面に残すことで、木肌の温かみと力強い造形美を表現する。イチイ材は年月とともに飴色に変化し、深みのある光沢を帯びる。この経年変化も作品の魅力の一つである。
Process
制作工程
全6工程
- 1
木材選別
飛騨地方産のイチイ材から木目が美しく質の良い原木を厳選し、彫刻に適した部位を選び出す
- 2
自然乾燥
選別した原木を数年間自然乾燥させて木の狂いや割れを出し切り、安定した彫刻素材に仕上げる
- 3
木取り
乾燥した材木から作品の大きさに合わせた木地を切り出し、彫刻の方向と木目の向きを見定める
- 4
荒彫り
鑿と小刀で大まかな形を削り出し、作品全体のプロポーションと動きの方向性を決定する
- 5
中彫り
数十種類の鑿や小刀を使い分けて細部の形を彫り進め、作品の表情や質感を表現していく
- 6
仕上げ彫り
彩色を一切行わず、切れ味鋭い刀跡をそのまま表面に残して木肌の温かみと力強い造形美を完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
中田 政弘
伝統工芸士
中田一刀彫工房
岐阜県高山市に生まれ、飛騨の銘木イチイを素材とした一位一刀彫の技を祖父から受け継ぐ三代目。彩色を施さず、刀痕の美しさだけで作品を仕上げる伝統技法を守り、根付や置物を中心に五十年以上制作を続けている。飛騨高山の伝統工芸を代表する職人の一人。
制作哲学
イチイの木肌の美しさを最大限に引き出すには、余分なものを一切加えない。刀の一彫りが作品の命を決める。
“一位一刀彫は引き算の美。彫れば彫るほど、木の中に眠っていた形が姿を現すのです。
長瀬 光
若手作家
東京藝術大学彫刻科を卒業後、飛騨高山の一位一刀彫に魅せられ移住。伝統的な根付や置物の技法を学びつつ、現代彫刻としての一位一刀彫の可能性を追求している。若手工芸展や現代アートの公募展で入選を重ね、注目を集めている。
制作哲学
刀一本で木と向き合う潔さの中に、現代アートにも通じる表現の核がある。
“イチイの木は年輪の一つ一つが飛騨の厳しい冬を越えた証。その強さを彫刻に込めたい。
FAQ
よくある質問
一位一刀彫とは何ですか?▼
岐阜県高山市で一位材を用いた木彫り。彩色せず木肌の美しさを活かすのが特徴。
一位一刀彫の産地はどこですか?▼
一位一刀彫は岐阜県で生産されている木工品・竹工品です。
一位一刀彫の技法・特徴は?▼
一位一刀彫は飛騨地方産のイチイ材を用い、彩色を一切行わず、鑿と小刀による刀痕を意匠として活かす独特の技法である。まず原木を数年間自然乾燥させた後、荒彫り・中彫り・仕上げ彫りの工程を経る。職人は数十種類の鑿や小刀を使い分け、一刀一刀の切れ味鋭い刀跡をそのまま表面に残すことで、木肌の温かみと力強い造形美を表現する。イチイ材は年月とともに飴色に変化し、深みのある光沢を帯びる。この経年変化も作品の魅力の一つである。
一位一刀彫はどこで購入・体験できますか?▼
岐阜県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。岐阜県の工芸品については岐阜県の伝統工芸品一覧もご覧ください。