漆器
飛騨春慶
ひだしゅんけい
岐阜県高山市で生産される漆器。木目を透かして見せる透明な春慶塗が特徴。
History
歴史
飛騨春慶は慶長年間の1607年頃、飛騨高山の大工棟梁・高橋喜左衛門が打割にした椹の木目の見事な美しさに着目し、塗師の成田三右衛門が透漆を塗って仕上げたことに始まるとされる。その光沢が名器・飛春慶の茶器に似ていたことから飛騨春慶と名付けられた。江戸時代には高山藩の保護を受け、飛騨の豊富な木材資源を活かして大きく発展した。木目の美しさを透漆で際立たせる春慶塗の技法は日本三大春慶の一つとして全国に名を馳せている。1975年に伝統的工芸品に指定された。
Technique
技法
飛騨春慶は木地に椹やヒノキなどの針葉樹を用い、柾目取りで美しく整った木目を最大限に活かす。木地の技法は大きく板物と曲物に分かれ、板物は指物技法で箱や盆を精密に組み上げ、曲物は薄い板を熱を加えて曲げ成形する。塗りの工程では、まず木地に豆汁や黄色の染料による下染めを施して木目の色調を整え際立たせる。その上に透明度の高い透漆を数回塗り重ね、木目が透けて見える美しい飴色の仕上がりとなる。温かみのある光沢と軽やかな使い心地が飛騨春慶の魅力である。
Process
制作工程
全6工程
- 1
原木選定
椹やヒノキなどの針葉樹から柾目の美しい材を選定し、木目が整った良質な板材を確保する
- 2
木地作り
板物は指物技法で箱や盆を精密に組み上げ、曲物は薄い板を熱を加えて曲げ成形して器の形に仕上げる
- 3
下染め
木地に豆汁や黄色の染料を塗布して下染めを施し、木目の色調を整えて美しい飴色の発色を促す
- 4
目止め
下染めした木地に薄い漆を摺り込んで木材の導管を埋め、透漆が均一に定着するための下地を整える
- 5
透漆塗り
透明度の高い透漆を刷毛で数回塗り重ね、木目が透けて見える美しい飴色の塗膜を丁寧に形成する
- 6
仕上げ
最終の透漆を塗り上げた後に乾燥させ、温かみのある光沢と軽やかな手触りの飛騨春慶に完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
中田 春雄
伝統工芸士
中田春慶工房
1948年岐阜県高山市生まれ。飛騨春慶の塗師として55年以上のキャリアを持つ。天然木の美しい木目を透かして見せる春慶塗の伝統技法を極め、飛騨の匠の技を現代に伝えている。透明感のある飴色の仕上がりは名人芸と称される。
制作哲学
飛騨春慶は木の美しさをそのまま活かす塗りである。自然が作った木目の美に、人が手を加えすぎてはならない。
“木目の表情を殺さず、むしろ引き立てる。それが春慶塗の極意です。
岩田 光
若手作家
1995年岐阜県飛騨市生まれ。高山市の木工学校で木地づくりを学んだ後、飛騨春慶の塗師に弟子入りした。飛騨の豊かな森林資源を活かし、木地づくりから春慶塗りまでを一人で手がけることにこだわっている。
制作哲学
飛騨の山が育てた木を、飛騨の技で仕上げる。その一貫した流れの中に、ものづくりの喜びがある。
“春慶塗を通して見える木目は、飛騨の山の年輪そのものです。
FAQ
よくある質問
飛騨春慶とは何ですか?▼
岐阜県高山市で生産される漆器。木目を透かして見せる透明な春慶塗が特徴。
飛騨春慶の産地はどこですか?▼
飛騨春慶は岐阜県で生産されている漆器です。
飛騨春慶の技法・特徴は?▼
飛騨春慶は木地に椹やヒノキなどの針葉樹を用い、柾目取りで美しく整った木目を最大限に活かす。木地の技法は大きく板物と曲物に分かれ、板物は指物技法で箱や盆を精密に組み上げ、曲物は薄い板を熱を加えて曲げ成形する。塗りの工程では、まず木地に豆汁や黄色の染料による下染めを施して木目の色調を整え際立たせる。その上に透明度の高い透漆を数回塗り重ね、木目が透けて見える美しい飴色の仕上がりとなる。温かみのある光沢と軽やかな使い心地が飛騨春慶の魅力である。
飛騨春慶はどこで購入・体験できますか?▼
岐阜県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。岐阜県の工芸品については岐阜県の伝統工芸品一覧もご覧ください。